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臨床心理学各論 018 統合失調症・主観症状

■ 客観症状と主観症状 ■

▼ 1.主観症状
患者の体験している症状で、本人に聞かないと第三者からはわからない。主なものは以下の通り。

 ・妄想
 ・幻覚
 ・作為思考・影響体験
 
 
□ 1.妄想
妄想とは、絶対的な確信で、なんと訂正されようと訂正不能であり、その内容は多少なりとも現実離れしている誰とも共有されない一人だけの信念。

2人で妄想を共有する共有妄想の場合もマレにある。妄想は一次妄想と二次妄想にわけられる。

▽ 1.一次妄想
心理的な理由なしに不合理な思考が起り、直感的な確信で発生的に了解不能なもの。

以下の3つに分けられる。
 ・妄想気分
 ・妄想着想
 ・妄想知覚

1つ目の妄想気分とは、形を成さない妄想で、周囲が不気味で驚異的に感じられる妄想。世界没落体験として現れることがある。

2つ目の妄想着想とは、突然ひらめき、それを確信する体験。「私は神だ!」と確信する。過去の記憶が突然新しい意味を帯びて思い出される。

3つ目の妄想知覚とは、実際知覚したことに了解不可能な意味が与えられ、強く確信された妄想。「通り過ごしの異性を自分の恋人と思い込む」など。

▽ 2.二次妄想
妄想様観念と呼ばれ、了解可能な動機から生ずる妄想。幻聴や作為体験などを解釈するために生じた一時妄想でない分裂病の妄想や、分裂病以外の疾患にみられる妄想のほとんどがこれにあたる。

【キーワード】
●妄想
●絶対的な確信
●訂正不能
●信念
●一次妄想
●二次妄想
 
 
□ 2.妄想の内容からの分類
妄想は内容的に以下の4つに分けられる。

 ・被害妄想
 ・微小妄想
 ・誇大妄想
 ・その他の特殊な妄想

妄想の内容で一番多いものは、「人が自分に注目し、追いかけ、除け者にし、迫害する」という被害的な内容。

▽ 1.被害妄想(初期に多い)
自分が他者から害を与えられるという内容の妄想を被害妄想という。被害妄想は、以下の4つに区分される。

 ・関係妄想
 ・追跡妄想・迫害妄想
 ・嫉妬妄想
 ・その他

1つ目の関係妄想とは、取るに足らない他人の態度や話が、自分のことを言っていると確信する妄想。

2つ目の追跡妄想・迫害妄想とは、誰かが自分をつけ狙って後をつけてくる妄想。

3つ目の嫉妬妄想とは、配偶者や恋人が浮気をしているという妄想。

【キーワード】
●被害妄想
 
 
▽ 2.微小妄想
自分に対する過小評価を内容とする妄想。抑うつ気分や自我感情低下を背景にしている場合が多い。自分が貧乏になったという貧困妄想、自分は直る見込みのない病気であるという心気妄想などがある。

 ・貧困妄想
 ・心気妄想

【キーワード】
●微小妄想
 
 
▽ 3.誇大妄想
注目されるという確信が、「自分は特別な人間」という確信につながったもの。現実よりも自己の能力、経済力、業績、血統などを現実よりも過大に評価する。自分は高貴な生まれであるという血統妄想。「相手が自分のことを好きだ!」と確信する恋愛妄想などがある。

 ・血統妄想
 ・恋愛妄想

【キーワード】
●誇大妄想
 
 
□ 2.幻覚
外界の刺激がないのにも関わらず、知覚される異常体験で、「対象なき知覚」(エスキロール)とよばれる。

幻覚を示す感覚により

 ・幻視
 ・幻聴
 ・幻嗅
 ・体感幻覚

に分けられる。

精神分裂病のほとんどは幻聴。幻聴とは、自分にだけ他者の声が聞こえる聴覚的な幻覚。被害的な内容のものが多い。誇大的なものも少なくないが、相応の扱いを受けないことで被害妄想に発展することが少なくない。

独語空笑は幻聴に対して応答している状態。

幻聴は、以下の3つに大別される

 ・対話性幻聴
 ・機能性幻聴
 ・要素性幻聴

1つ目の対話性幻聴とは、自分に話しかけてくる幻聴。天井から話し声が聞こえ、それに答える体験。

2つ目の機能性幻聴とは、機械などの音に伴って幻聴が聞こえる体験。車の騒音つれて悪口などが聞こえてくる。

3つ目の要素性幻聴とは、物音などの幻聴。アルコール中毒や薬物中毒に出現する症状で、精神分裂病にはない。本当は音がしないのにも関わらず、音が聞こえる体験。

▽ 2‐1.幻聴と関係がある体験
主なものは以下の通り。

 ・思考化声
 ・思考伝播
 ・思考吹入
 ・思考奪取

1つ目の思考化声とは、幻聴に近い体験。

2つ目の思考伝播とは、考えていることが言語化していないのにも関わらず外界に伝わってわかってしまうとする体験。

3つ目の思考吹入とは、他人の思考が自分の中に無理矢理入ってくる体験。最後の思考奪取とは、考えが外に奪われる体験である。

これらの現象は自己と外界の境界が弱くなることで起る。

【キーワード】
●対象なき知覚
●幻覚
●幻聴
 
 
▽ 2‐2.幻聴以外の幻覚
主なものは以下の2つ。

 ・幻視
 ・体感幻覚

1つ目の幻視とは、意識障害の際の代表とされ視覚的な幻覚のこと。分裂病では急性期にみられ軽い意識変化を伴うことが多い。幻視の特殊なものに、自分の姿を目の前に見る自己像幻視(自己二重身)、考えが文字で目の前に見えてくる考想可視などがある。

2つ目の体感幻覚とは、通常意識にのぼらないものであるが「体の中に虫が入ってきて腐った」、「頭蓋骨の中を虫が動き回る」、「脳が溶けていく」など内臓感覚の幻覚のことである。分裂病、境界例、うつ病の心気妄想、心気症などでみられる。

【キーワード】
●幻聴
●独語空笑
●幻視
 
 
□ 3.作為思考・影響体験
「させられ体験」ともいう。自分が能動的に何かをしているという意識が障害され、他人に何かをさせられている、何かを考えさせられていると体験する。

分裂病に典型的に見られ、シュナイダーの一級症状の一つ。

【キーワード】
●作為思考
●影響体験

ver1.1

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