« 臨床心理学各論 027 人格障害・DSMによる分類 | トップページ | 臨床心理学各論 029 摂食障害 »

臨床心理学各論 028 カーンバーグの人格構造論

■ カーンバーグの人格構造論 ■

カーンバーグの人格構造論は、

 ・自我同一性統合の程度
 ・常用される防衛規制
 ・現実検討能力の差

によって病体水準を3つに分けて捉える。

病態水準とは、精神分析理論に基づいて精神病理を理解しようとする考え方。これは症状に基づき疾患として診断する立場とは全く異なる。

※症状を問題の程度で並べると以下の順になる。
 ・神経症人格構造(軽度)
 ・境界人格構造(中度)
 ・精神病人格構造(重度)

▼ 1.神経症人格構造
自己表現と対象表象が区別され、かつ矛盾した側面をも統合したもの。

抑圧、反動形成、隔離、打ち消し、合理化、知性化などの高度の防衛によって内的葛藤を防衛しており、その葛藤の解釈によって心的機能は改善が期待される。

自己と非自己、内界由来と外界由来のものを区別でき、自己と他者を現実的に評価できる。

▼ 2.境界人格構造
自己表象と対象表象は区別されているが、再構成され矛盾する側面が分裂。

良い対象と悪い対象が2極化されてしまう。分裂(splitting)を中心として理想化、投影同一化、否認、万能感、価値引き下げなどの原始的防衛が用いられているが、その解釈によって心的機能は改善が期待される。

現実との関係および感情は動揺する。

▼ 3.精神病人格構造
自己表象および対象表象の境界は失われがちで、妄想的な同一性が行われている。

防衛規制は原始的で解体と自己-対象融合から防衛している、

精神分析的解釈は退行を生じさせるため禁忌。現実検討能力は失われている。

【キーワード】
●神経症人格構造
●境界人格構造
●精神病人格障害

▼ 4.追加
境界性人格構造の特徴

得意な構造的特徴としては次の3つ。

▼ 1.自我の統合の障害
対象表象が分裂しており、同時にそれゆえ自己表象も分裂している
※対象表象は、対象に対するイメージのようなもの。対象に対するイメージが分裂しているため、それに従い自己表象(イメージ)も分裂している。

▼ 2.得意な防衛機制
分裂、投影制同一視、原始的理想化、脱価値化、否認など

1.投影性同一視
悪い攻撃的な自己と、対象から生まれる破壊性から、よい自己対象関係を守るための機制であって、本来は自
分の内部にある攻撃性が、あたかも他者からやってくるかのごとくに体験する構造をとる。

2.原始的理想化
外界の対象の悪い部分をみないようにして、対象とのよい関係を維持しようとの機制である。過剰におだて上
げ、過剰にへりくだり、相手を過剰に高く評価する。そして自身はそれにひれ伏し、帰依しようとする。

3.脱価値化
相手の価値を貶め、過剰に低く評価することである。

4.否認
それを認めてしまうと不安を引き起こすようなことを認めないでおく規制である。抑圧との違いは、抑圧が内的欲動や現実、願望などを意識から排除する働きであるのに比べて、否認は一方で外的現実を知覚していながら、他方でその知覚を否定するところにある。

▼ 3.現実検討力の維持

▼ 4.自我の脆弱制
不安耐性の欠如、衝動コントロールの欠如、発達した昇華経路の欠如。

▼ 5.超自我の統合不全
超自我と理想自我が統合されることなく別々に存在するため、超自我は非常に厳しく、サディスティックな性質を帯びる。そこで未熟なままの理想自我は、現実的な理想を生み、自我が現実的な目標をつくれない。よって現実的な対象関係ができにくく、対象の正しい評価、対象からの学習もできない。超自我が人格発達の有効な力を発揮できないのである。

ver1.1

|

« 臨床心理学各論 027 人格障害・DSMによる分類 | トップページ | 臨床心理学各論 029 摂食障害 »

第03回 臨床心理学各論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10820/1387397

この記事へのトラックバック一覧です: 臨床心理学各論 028 カーンバーグの人格構造論:

« 臨床心理学各論 027 人格障害・DSMによる分類 | トップページ | 臨床心理学各論 029 摂食障害 »