« 臨床心理学各論 028 カーンバーグの人格構造論 | トップページ | 心理療法 001 心理療法について »

臨床心理学各論 029 摂食障害

■ 摂食障害 ■

▼ 1.摂食障害とは
DSM-Ⅲにおいて、不食(anorexia)、過食(bulimia)、異食(pica)の3つに分類されている。臨床的に異食はマレ。

拒食・やせが中心である神経性食欲不振症(神経性無食欲症)と過食・嘔吐が中心である神経性過食症(神経性大食症)とに大別される。過食症は拒食症からはじまり、移行していくことが多い。

※異食症とは
食べ物として適当でない物を口に入れる行為。幼児に多く見られる。心理的要因としては、ストレスによる心因反応やそれが習慣化した神経性習癖。
 
▼ 2.特徴
拒食症は、一般的にダイエットをきっかけとして食物をとらなくなり、期待される体重の極度に痩せていく(期待される体重の85%以下の体重が続くような体重減少)。体重の減少に伴い、月経の停止・血圧の低下など多くの身体症状が出現する。

本人に痩せているという自覚がないことと、極度な痩せにも関わらず過活動を示すことが特徴的である。過食の後、後悔の念にかられ、下痢の服用や嘔吐をするものも多い。

▼ 3.原因
母子のいずれか、あるいは双方の問題から生じた母親から子供への母性(あるいは女性性)の受け渡しの失敗。患者の9割以上は女性。前景として、母親からの愛情不足や親との葛藤からくる成熟拒否。

□ 1.家族の特徴
本人は、従順・内気、完璧主義・脅迫的、気は小さいが負けず嫌い、ずっとよい子といった特徴を持つ。

母親は、過保護・過干渉、しっかり者で世話焼きタイプ、自分の気持ちを子供に押しつけがち(母と子の境界が消失)といった特徴を持つ。

父親は、非常に仕事熱心でまじめなタイプ、家にいる時間も少なく家族との関わりも希薄といった特徴もある。しかし逆に、活動的で家族に対して支配的である人も。

他に、痩せを美徳とする文化的要因も考えられる。

▼ 4.治療
内科的なものから精神的なものまで広がりがあるので、入院治療が望ましい。拒食症の場合、点滴による栄養補充は不可欠。ある程度体重が戻ってくると病識(自分が病気であることに気がつく)が出てくる。

心理療法では、病初期にさかのぼってこころの奥底に入り込んでいく方法には非協力的な場合が多いので、患者との信頼関係の確立を優先し、その上で認知行動療法や指示療法を行っていく。

一般的に背景には家族の問題があるため、患者の家族も呼び、家族療法も行われる。薬物療法では、食欲増進剤、抗うつ剤、抗精神病薬などが用いられる。

【キーワード】
●神経症無食欲症
●神経症大食症
●母性の受け渡し失敗
●入院治療
●病識の回復

ver1.2

|

« 臨床心理学各論 028 カーンバーグの人格構造論 | トップページ | 心理療法 001 心理療法について »

第03回 臨床心理学各論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10820/1387413

この記事へのトラックバック一覧です: 臨床心理学各論 029 摂食障害:

« 臨床心理学各論 028 カーンバーグの人格構造論 | トップページ | 心理療法 001 心理療法について »