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知覚・認知心理学 15 二重貯蔵モデル

■ 5: 二重貯蔵モデル ■
短期記憶と長期記憶という2つの貯蔵システムを想定する記憶モデル。単語列の自由再生における系列位置曲線から2つの貯蔵システムを支持。

アトキンソンとシフリンは、感覚登録器を加えて二重貯蔵モデルを情報処理モデルとして1つにまとめた。

このモデルによれば、情報はまず感覚登録器に一時的に保持され、注意により選択された情報だけが短期貯蔵庫に一定時間保持される。そしてリハーサルを受けた情報は長期貯蔵庫へ転送され、永続的に貯蔵される。

※モデル=理論

【キーワード】
●二重貯蔵モデル
●短期記憶
●長期記憶
●単語の自由再生課題
●系列維持曲線
●アトキンソンとシフリン
●感覚登録器
●短期貯蔵庫
●長期貯蔵庫
 

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知覚・認知心理学 14 記憶

■ 4: 記憶 ■
記憶とは、過去の経験を貯蔵(覚え)、あるいは保持(維持)し、何らかの形で再びそれを取り出して再現する(思い出す)機能。

1.符号化(記銘=覚え)
2.貯蔵(保持=続け)
3.検索(想起=思い出す)

の3段階から構成される。

符号化とは入力された刺激を記憶表象に変換し、貯蔵するまでの過程。記憶は永遠ではなく、貯蔵されている記憶表象(表象=representation「表現」、記憶表象=記憶がどのような形式によって貯蔵されているのか)が、時間の経過に伴い減衰・忘却する場合がある。

忘却の原因としては、記憶表象が減衰し利用可能性を失う場合(貯蔵が問題)と、記憶表象へのアクセス可能性を失う場合(検索が問題)の2つ。

【キーワード】
●記憶
●符号化
●記銘
●貯蔵
●保持
●検索
●想起

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知覚・認知心理学 13 情報科学・言語科学

■ 3: 情報科学・言語科学 ■
情報科学とは、人間の情報処理=コンピューターの情報処理と考える学問。言語科学とは、 チョムスキーの生成文法理論のこと。言語は全て共通の文法に従っている(普遍文法)ということは、脳に生得的な構造があり、これから思考が生まれるのではないか、と考える学問。

【キーワード】
●情報科学
●言語科学
●チョムスキーの生成文法理論
●普遍文法
 

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知覚・認知心理学 12 認知心理学とは

■ 2: 認知心理学とは ■
広義には、知的機能の解明に関わる心理学を全般的に指すが、狭義には1950年代後半以降に情報科学(人間=PCと見なす)の影響を受けて成立した心理学の一分野。

認知心理学では、人間のこころを一種の情報処理システム(入力=知覚:マウスなど)とみなす人間観に基づく。情報処理系を仮定、解明より、心的活動の理解を目指す。

現在の認知心理学は情報科学や言語科学(チョムスキー)との密接な関係を有する認知科学や、脳科学との連携のもとに発展。

※認知心理学は、知識・感情・意識のうちメインは知識
入力=知覚
貯蔵=記憶
処理=思考
出力=運動
上記4つがどのような流れ(プロセス)によって存在するのか? この解明が認知的な目的

【キーワード】
●認知心理学
●知的機能の解明
●情報処理利ステム
●情報科学、言語科学、脳科学
 

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知覚・認知心理学 11 アトキンソンとシフリンのモデル

■ 2: 認知心理学 ■

■ 1: アトキンソンとシフリンのモデル ■

▼ 1: 感覚記憶・短期記憶・長期記憶
感覚記憶とは、感覚器が受け取った刺激情報をそのまま保持するメモリー。保持容量は物理的情報そのもの。保持時間は、視覚的情報で1秒以下、聴覚的情報で数秒。選択的注意により短期記憶に転送される。

短期記憶とは、感覚記憶に入力された情報の中で、注意を向けられ符号化された情報。保持容量は、7±2(マジカルナンバー7)。保持時間は、十数秒。リハーサルにより維持され、長期記憶に転送される。

長期記憶とは、短期記憶に入力された情報の中で、リハーサルにより転送された情報。保持容量は、ほぼ無限。保持時間は、ほぼ永遠。長期記憶は、宣言的記憶(=エピソード記憶・意味記憶)と手続き記憶に区分される。

長期記憶には、二重貯蔵モデルに対抗するモデルと二重貯蔵モデルを発展させたモデル。処理水準モデルと作業記憶モデル。忘却の理論(減衰論・干渉論「順向抑制と逆向抑制」)などがある。

【キーワード】
●感覚記憶
●短期記憶
●長期記憶
●符号化
●マジカルナンバー7
●リハーサル
●宣言的記憶
●手続き記憶
●二重貯蔵モデル
●処理水準モデル
●作業記憶モデル
●忘却理論
●減衰論
●干渉論
●順向抑制
●逆向抑制
 

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知覚・認知心理学 10 情報処理アプローチ

▼ 2: 情報処理アプローチ
人間の知覚過程を情報処理過程とみなして考える。ノーマンらによって提唱され、情報処理の対極的な2種類の仕組み。

□ 1: ボトムアップ処理
データ駆動処理(data driven processing)ともいわれる。感覚入力のデータ群によって駆動され、スキーマを見出し、上位概念や枠組に取り込まれていく。

□ 2: トップダウン処理
概念駆動処理(conceptually driven processing)ともよばれ、既有の記憶に依存する。概念や理論などから駆動され、入力データを予想や仮説、期待などのもとに処理する。

【キーワード】
●ノーマン
●ボトムアップ処理
●データ駆動処理
●トップダウン処理
●概念駆動処理
 

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知覚・認知心理学 09 視覚認知研究

▼ 1: 視覚認知研究の動向
視覚認知研究における理論的立場

□ 1: ヘルムホルツ的見解(無意識的推論)
3次元の視覚対象と、2次元の網膜像は1体1対応ではない。このように不確定で不十分な感覚情報を、生体内に蓄積した既存の知識や記憶、期待や推論などの「内的媒介過程」が積極的に働くことにより、安定した一つの解釈に自動的に至る過程を無意識的推論という。これにより我々の知覚が成立しているとする考えは、ヘルムホルツ的見解と呼ばれる。

知っているから出来るという考え方。
 

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知覚・認知心理学 08 三次元空間の知覚

■ 7: 三次元空間の知覚 ■

網膜像には二次元しかも倒立像が映っている。それなのになぜ三次元の正立像が見える(´―`* )

奥行き知覚とは、視覚空間において事物が三次元的に定位されること。人間には、視覚、聴覚、触覚に能力が備わっているが、視覚が最も安定的であり、弁別力がある。片眼では、焦点の調整、きめの勾配、運動視差、遠近法、重なり、陰影が重要。両眼では、両眼輻輳(ふくそう)・両眼視差が重要。両眼輻輳とは、二重像を避けて単一像を得るため、内側に両眼を回転させる運動(=より目になること)。両眼視差とは、両眼の視線方向の差、両眼の網膜像に生じる差。

【キーワード】
●奥行き知覚
●焦点の調整
●きめの勾配
●両眼輻輳
●両眼視差
 

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知覚・認知心理学 07 大きさの知覚

■ 6: 大きさの知覚 

天頂にある月は小さく見え、地平線付近にある月は大きく見える。物理的な大きさは変わらないはずなのに(月の錯視・天体錯視)。

大きさの恒常性とは、網膜像の大きさ(視覚)が変化したにも関わらず、知覚される大きさ(見えの大きさ)が比較的恒常性(ほぼ一定)を保つこと。

天頂方向過小視とは、天体錯視に関するボーリングの仮説。上を見上げると動眼筋に緊張が生じ、過小判断する。

地平方向過大視とは、天体錯視に関するカフマン・ロックの仮説。地平に広がる風景と月が重なることで見かけの距離が拡大され、過大判断する。

図形残効とは、先行する視覚体験が直後の知覚過程に残効をもたらすこと。

【キーワード】
●月の錯視
●大きさの恒常性
●天頂方向過小視
●天頂方向過大視
●図形残効
 

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知覚・認知心理学 06 形の知覚

■ 5: 形の知覚 ■

ゲシュタルト心理学が有名。ゲシュタルトとはドイツ語で「全体」という意味。全体を見がちである、という意味。

多義図形(反転図形)とは、客観的には同一の図形だが、知覚的には2つ以上の形が成立する図形。図形反転や遠近反転図形など、様々な要因が知覚に影響を及ぼす。

構えとは、ある特定の状況に対して準備状態や、認知や反応の仕方に方向性を持つこと。知覚の枠組み。構えによって知覚が影響を受ける。

図と地とは、視野の中で形をもって浮き出て見える領域を図、その背景を地。ルビンが、壺の図地反転図形や、知覚の体制化について言及。2つの領域が視野内に存在するとき、一方の形のみが見え、もう一方はその背景を形成する。図と地の関係を規定するのは、輪郭の閉合、面積、内か外か、相称性(=左右対称)、方向性、安定性、幅の一定性。
 

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知覚・認知心理学 05 色の知覚

■ 4: 色の知覚 ■

▼ 1: 三原色説(三色説)
ヤング・ヘルムホルツの仮説。網膜に3種(赤・緑・青)の光受容器を仮定。受容器が興奮する度合いが波長によって異なり、三種の受容器の興奮比率によって知覚する。R受容器は長波長光に、G受容器は中間波長光に、B受容器は短波長光に大きく反応。全受容器が等量興奮すると白、RとGの等量興奮によって黄の知覚。
 

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知覚・認知心理学 04 視知覚

■ 3: 視知覚(visual perception) ■

▼ 1:感覚としての知覚
光は網膜上の光受容器で電気信号に変換される。
 1. 明るい場所→錐体細胞が反応
 2. 暗い場所→桿体細胞が反応

眼球は、300ミリ程度の間一点を見つめる固視と、数十ミリ秒で視覚移動するサッケードを繰り返している。このとき、一点を見ても眼球が細かく振動していることを固視微動という。

※色の知覚
●ヘリングの反対色説
●ヤング=ヘルムホルツの三色説
●段階説

▼ 2: 視覚野の構造と機能
眼球からの情報は、視交叉を経て左視野の情報は右半球に、右視野の情報は左半球に達する。
視覚情報処理の流れには、後頭葉から頭頂葉に向かうwhere経路と、後頭葉から側頭葉に向かうwhat経路があり、最終的などの出力計で統合される。

▼ 3: 錯視と恒常性
錯視とは、視覚における錯覚。
見誤りではなく、ほとんどの錯覚は錯視に含まれる。視対象の物理的性質と現象的には著しく適合しない知覚。錯視現象に対する包括的な説明はないが、種々の要因が我々の知覚に影響を与える。

恒常性とは、視対象の性質が網膜上で作用する物理的特性が変化したにもかかわらず、比較的恒常を保つこと。明るさの恒常性、形の恒常性、大きさの恒常性、視覚の恒常性がある。

▼ 4: 明るさの知覚(錐体と桿体)
暗闇の部屋では、眼が慣れるのに時間がかかる。しかし、電気をつけると慣れるのは速い。錐体と桿体とは、網膜に存在する主要な受容細胞のこと。

錐体とは、眼の網膜にある光受容器(視細胞)の一種。網膜中心部に多く分布し、明るい場所に強い。赤色に敏感。色や形に強い。

桿体とは、眼の網膜にある光受容器(視細胞)の一種。網膜の周辺部に多く分布し、暗い場所に強い。青色に敏感。

明順応とは、暗い場所で機能していた桿体から、明るい場所で機能する錐体に移行する過程で生じる現象。始まりが早いが、明るさの相対的刺激閾は鈍い。長波長の色(赤系の色)が、特に明るく見える。

暗順応とは、明るい場所から急に暗い場所に移ると、最初は何も見えなくなるが時間とともに見えるようになる現象。明るい場所で機能していた錐体(細胞)から、暗い場所で機能する桿体(細胞)に移行する過程で生じる。はじまりが遅いが、明るさの相対的刺激閾は敏感。短波長の色(青系の色)が明るく見える。

プルキンエ現象とは、明順応と暗順応での明るさの知覚の違い。同一の対象であっても明順応下では、錐体細胞が主に働くため、黄緑がもっとも明るく見え、暗順応下では、桿体細胞が主に働くため、青緑がもっとも明るく見える。

【キーワード】
●錯視
●恒常性
●錐体
●桿体
●明順応
●案順応
●プルキンエ現象

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知覚・認知心理学 03 精神物理学の基礎

▼ 2: 精神物理学の基礎
調整法とは、比較刺激を被験者自身が自由に調整して標準刺激と同等の刺激値を求める。長所は、簡易・時間の節約ができる。短所は、被験者の調整が難しく、予備的に使う以外は不適切。被験者の予想が入り込み・弁別閾の測定は困難。

極限法とは、比較刺激を実験者が段階的(上昇・下降)に調整する。恒常法よりは短時間、調整法よりは予想が入りにくい。刺激閾・弁別閾・PSEのいずれの測定にも適している。

恒常法とは、比較刺激の変化段階を実験者が予め設定し、ランダムに提示する方法。もっとも厳密な精神物理測定法だが、反復回数を多くしなければならないため時間がかかる。

マグニチュード推定法(スティーブンス)とは、被験者が感じる感覚の大きさを数値報告する。□を10としたら、□はいくつ? 「13」など。

【キーワード】
●調整法
●極限法
●恒常法
●マグニチュード推定法
●スティーブンス
 

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知覚・認知心理学 02 精神物理学の基礎

■ 2: 精神物理学的基礎(フェヒナー・精神物理学の祖) ■

▼ 1: 精神物理学の基礎
感受性とは、閾値、反応時間、正答率。刺激閾と弁別閾。刺激閾(絶対閾)とは、検出することのできる最小の刺激強度。弁別閾とは、弁別できる最小の刺激強度変化量・刺激強度差。

刺激頂とは、検出不可能になる最大の刺激強度。手が凍りつく冷たさ(弁別閾の反対概念)。PSE(Point of subjective equality)(主観的等価点)とは、標準刺激と感覚的に等しい効果を持つ比較刺激の物理量。「これが海の冷たさとの温度」→このPSEと標準刺激の差を、錯視量という。

ウェーバーの法則とは、ウェーバーの見出した弁別閾に関する経験的法則。弁別閾を原刺激との比で表すと、ほぼ一定の値。⊿I(弁別閾)/I(現刺激)=C(ウェーバー比)。

フェヒナーの法則とは 刺激の物理量と、対応する感覚量との関係を数量的に示したもの。感覚量は刺激量の対数に比例する。S(感覚量)=a log I (刺激量の対数)。

スティーブンスの法則 とは、スティーブンスがマグニチュード推定法による測定結果に基づき、刺激の物理量とそれに対応する感覚量との関係を数量的に示した法則。感覚量は、刺激量のベキ関数となる。φ(感覚量)=a I b (刺激量のベキ関数)。

【キーワード】
●感受性
●刺激閾
●弁別閾
●刺激頂
●ウェーバーの法則
 

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知覚・認知心理学 01 感覚・知覚・認知

■ 1: 知覚・認知心理学 ■

■ 1: 感覚(sensation)・知覚(perception)・認知(cognition)とは ■

▼ 1: 感覚
感覚とは、感覚受容器に対する刺激による興奮に直接対応する体験、過程、機能、構造のこと。一般的に、受容する刺激の種類により、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、皮膚感覚の5感と、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚の8種類に分類。各感覚には、独自の受容器が存在する。刺激は大脳に入ることはなく、脊髄・脳幹あたりまで。

▼ 2: 知覚
知覚とは、刺激の受容器の性質に依存し、内外の環境を知ること。受容器(感覚器官)を通して、過去の経験をもとに、現前の事物、事象を把握する過程・機能。知覚は、現前の刺激に依存する特定の受容器に限定されるのではなく、いくつかの受容器の相互作用、経験にも関係する。海の香りは嗅覚刺激によるものだけではなく、視覚像とも不可分である。

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研究方法・統計 06 信頼性

▼ 2: 信頼性
結果の正確性を示す概念。同一の対象に対して何回も繰り返し測定したときの測定値間の一貫性の程度を表す。時期が変わっても同じ結果が得られるか、という安定性と、内容的に反復するものについて同じ結果が得られるか、という一貫性により示される。信頼性では、繰り返し測定における個人内変動ではなく、集団での個人間変動を問題にする。

古典的テスト理論では、測定値を真値と誤差に分解し、信頼性を評価する。信頼性係数は、測定値=真値(非変動値)+変動値である時、測定値の分散に占める真値の分散のこと。信頼性係数の真値は、1つの検査を2分割する折半法、時期をおいて同一の検査を行う再検査法、2種類の検査を同一人に行う平行検査法などによって推定される。例えば、測定値50=真値40(本当の値・変動しない)+変動値10(テスターが影響を受けるもの)と想定する。

【キーワード】
●信頼性
●安定性
●一貫性
●集団での個人間変動
●真値
●誤差
●信頼性係数
●折半法
●再検査法
●平行検査法
 

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研究方法・統計 05 妥当性

■ 3: 統計基礎知識 ■

▼ 1: 妥当性
妥当性とは、「尺度が測定しようとしているものを、実際に測っているかどうかという、その程度のこと」。心理測定においては、信頼性よりも妥当性が重要。
 

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研究方法・統計 04 統計基礎

▼ 4: 標本・標本抽出分布・標準誤差
調査に当たり、調査対象集団(母集団)から何らかの基準で選び出された要素や集合体を標本(サンプル)、選び出す手順を標本抽出(サンプリング)という。

標準誤差とは、標本分布の標準偏差のこと。標本抽出分布とは、ある標本の統計量の分布。

▼ 5: データに対応がある・データに対応がない
「データに対応がある」とは、A条件とB条件を同一とみなされる被験者が行ったデータ(被験者内要因)。

「データに対応がない」とは、A条件とB条件を別々とみなされる被験者が行ったデータ(被験者間要因)。
 

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研究方法・統計 03 統計基礎

■ 2: 統計法 ■

▼ 1: 名義尺度・順序尺度・感覚尺度・比例尺度
名義尺度では数は、単なる符号。数量的な関係を相互に持つことはない。分類と数えることが目的。ID番号、郵便番号、商品番号、スポーツ選手の背番号。

順序尺度とは、大きさに関して順序をつけたもの。尺度内の感覚や絶対0点をもたない。クラスの順位、星の明るさの等級、製品の等級。

間隔尺度とは、数値的な大きさに関してその間隔の差を等しくしたもの。絶対0点はもたない。西暦年号、摂氏温度、時刻、標準テストの点数。

比例尺度とは、的確な順序と間隔を持ち、絶対0をもつ尺度。時間、高さ、長さ。

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研究方法・統計 02 調査的方法

□ 1: 調査的方法

▽ 1: 量的調査
一般に質問紙法あるいは心理検査のこと。一定の尺度に基づいて量的な(数値化した)調査を行い、ある変数間の相関仮説を検証。さらに母集団の推定を行うことで、被験者の偏差値を求め、人格特性や心理状態を査定。一度に多数の回答者を対象に標準化された質問を行える点にメリットがあるが、回答者が置かれた状況と統制しにくい点や、回答が自己報告であり個人の言語能力に大きく依存せざるを得ない点に問題がある。
 

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研究方法・統計 01 研究方法・実験的方法

■ 研究方法・統計 ■

■ 1: 研究方法(研究の手段と計画) ■

▼ 1: 研究方法の重要性
自分の考えや知見を研究として成立させるためには、適切な研究方法を手段とする必要がある(適切な研究方法=各領域で認められた研究方法)。心理学の場合、研究方法(手段と方法)と統計学的検討は密接な関係にあり、適切な研究方法(手段)に沿った統計法、あるいは適切な統計法に沿った研究方法(計画)を取る必要がある。
 

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発達心理学・発達臨床 35 治療過程

■ 2: 治療過程 ■

▼ 1: 見立て・目標
治療を始めるに当たって治療目標を定める。主訴を取り除くという段階のものもあれば、その背後のパーソナリティや自我の問題にまで視野に入れる場合もある。目標をどう定めるかには、その子どもの年齢や、器質的問題の有無、知的・情緒的発達の状態、周囲の状況、治療者の力量などが関係する。

▼ 2: 経過
初期は、治療への導入と関係作りの時期。治療者は自由で好きなおもちゃで遊んでいい場所であることを積極的に保証し、子どもに伝える。中期には、子どもの欲求や情緒が表現されるようになる時期。治療者は子どもの情緒的表現をとらえながら子どものプレイを受け止めていく。攻撃性は直接又は象徴的な形で出現する。最後の終結期は、治療が終結へと向かう時期。自己否定の感情が薄れ、肯定的な感情が芽生えてくる。建設的で自立的な方向に向かうことになる。子どもは「もうやることがなくなった」と言い、外での遊びに興味を示すようになる。

▼ 3: 親面接の意義
親面接がケースを繋ぎ止める。子どもを対象とした心理療法では、並列して親(主に母親)を対象とした面接をすることが一般的。初心者の治療者が子どもを、熟練した治療者が親を担当し、相互に連結しながら治療を進めていく。子どもは治療への動機付けが乏しいことから、親自身の動機付けを高めることが必要。 子どもの性格傾向などの子どもの側の要因だけでなく、その背景に家族や学校などの環境側の要因が様々な形で関わっていることが多く、親から得られ得る情報が意味を持ってくることが多い。子どもの問題で、それまで困惑してきた親に対するカウンセリングに意味がある。親の子どもに対する態度や親のパーソナリティ変容が子どもの治療に有効。

【キーワード】
●治療への導入と関係作り
●子どもの欲求や情緒の表現
●治療が終結へと向かう
●母子平行面接
●治療関係の維持
●情報の収集・提供
●親自身への心理療法
 

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発達心理学・発達臨床 34 治療の構造・制限

▼ 6: 治療の構造・制限
制限が必要な場合なのは、以下の理由による。治療場面と現実場面に連絡するルートを設けるため、自己の感情発散の方法を学習するため、子どもに治療場面である程度責任を持たせるため、治療者が、子どもを受容できるようにするため、子どもの身体的安全を保障するため、子どもにむやみに罪悪感を引き起こさせないため、 プレイルームの運営上の問題。

具体的な制限は、以下の通り。治療者への身体的攻撃、備品への物理的攻撃、社会的に許容できない行為(喫煙や自慰など)、安全と健康に関するもの(泥水を飲むことや高い窓枠にあがることなど)。

【キーワード】
●治療場面と現実場面に連結するルート
●自己感情発散の方法の学習
●子どもに責任を持たせる
●受容できるようにする
●身体的攻撃
●許容できない行為
●安全と健康
 

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発達心理学・発達臨床 33 プレイ・セラピーの原則

▼ 5: プレイ・セラピーの原則
アクスラインの8原則
1. 良い治療関係を成立させる
2. あるがままの受容を行う
3. 許容的な雰囲気を作る
4. 適切な情緒的反応を行う
5. 子どもに自信と責任を持たせる
6. 非指示的態度をとり、治療者は子どもの後に従う
7. 治療はゆっくり進む過程であるから、じっくり待つ
8. 必要な制限を与える

【キーワード】
●プレイ・セラピーの原則
●アクスラインの8原則
 

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発達心理学・発達臨床 32 遊戯療法の理論と意義

▼ 3: プレイ・セラピーの理論
精神分析的遊戯療法は、A. フロイトとクラインとの間で立場は異なる。A. フロイトは、教育的配慮や家族への教育的指導などを重視した。それに対し、クラインは遊びを自由連想と同様に捉えて解釈を与えることや乳児期の母子関係を重視した。両者は激しく対立。

児童中心的遊戯療法は、ロジャースの弟子であったアクスラインを基調とする流れであり、多くの遊戯療法がこの流れに基づいている。子どもの持つ潜在的な力を信頼し、遊びを通して自ら成長していくことを重視する立場。

▼ 4: 遊びの治療的意義
大人とは異なり、心理療法の導入に当たって来談意欲を持たない子どもは、遊びを媒介とすることによって、その楽しさを求めて来談するようになる。そして治療者との間にポジティブな関係を結ぶことが出来る(関係の絆としての遊び)。子どもは言葉の代わりに遊びを表現の媒体に使うことに長けている。遊びは言葉の代わりとして用いられ、言葉ではとても表現し尽くせないような感情が、むしろ遊びの中では生き生きと象徴的に表される(表現の手段としての遊び)。遊びは鬱屈、鬱積した感情を発散させ、それだけで精神的な健康を回復させる働きをもつ(カタルシスとしての遊び)。遊びを通じて、子どもは自我成長に必要な様々な体験を直接ないし擬似的に得ることが出来る(体験としての遊び)。

【キーワード】
●精神分析的遊戯療法
●A. フロイト
●クライン
●児童中心的遊戯療法
●遊びを媒介
●関係の絆としての遊び
●表現の手段としての遊び
●表現の手段としての遊び
●カタルシスとしての遊び
●体験としての遊び
 

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発達心理学・発達臨床 31 遊戯療法

■ 遊戯療法 ■

■ 1: 遊戯療法(プレイ・セラピー) ■

▼ 1: 定義
遊戯療法(プレイ・セラピー)とは、遊びを通して子どもの心理療法を行うものである。遊びは子どもにとって本質的なものであり、言語表現よりも基本的な自己表現手段であり、もっとも自然な伝達法である。また、それと同時に子どもの意識のみならず無意識とも関わることのできる有効な手段である。子どもの利用するおもちゃは、子どもの空想を示し、心理機制への洞察を促し、子どもの無意識についての手がかりを与える。コルブは「人形の無名性にかくれて、両親や同胞に向けられた死の願望を語る」こともあると述べている。一般的には2、3歳から思春期までの子どもが中心。

子どもは「ここ(遊戯治療室)では何をやっても自由であり、しかも(セラピストとの関係において)守られている」という確信を得る。この信頼に満ちた暖かい人間関係に支えられながら、子どもはありのままの自分を表現し、内的な葛藤の解決や自己成長へと方向づけられる。

▼ 2: 形態・場所・道具
形態は、個人療法(子どもと治療者が1対1)、集団療法、母子療法(母子分離が不可能なときや母子の関わり方の変化を扱う場合)などがある。場所は、治療者や他のメンバーからの心理的圧迫を受けるほど狭くもなく、かつ何の心理的影響を受けることもないほど広過ぎもしない広さ。およそ12から30畳。道具は、特に決められたものはないが、子どもの関心を引くもの、治療関係を作りやすいもの、自己表現に適したもの、攻撃性などの感情の発散に適したもの、そして使用方法が簡単なものなどを基準に選択。

【キーワード】
●遊戯療法
●プレイ・セラピー
●内的な葛藤の解決
●自己成長へと方向付け
●自己表現手段
●無意識の手がかり
 

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発達心理学・発達臨床 30 基本的目標と治療上の問題点

▼ 5: 基本的目標と治療上の問題点
修正的経験を提供することと、 回復的経験を提供すること。治療上の問題点としては、逆転移の問題(ネガティブな感情、救済者幻想)。

【キーワード】
●修正的経験
●回復的経験
●逆転移の問題
●ネガティブ感情
●救済者幻想
 

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発達心理学・発達臨床 29 虐待の治療

▼ 4: 治療
虐待を受けた子どもの治療として主なもの6つ。1つ目は、急性トラウマ反応の軽減。箱庭・描画などをもちいて急性のトラウマ反応を軽減させる。2つ目は、自我機能の修正。何でも行動化(暴力など)するので言葉でルールや規則を働きかけ、修正し強化する。3つ目は、対人関係の改善。セラピストとの関係を通して、ちゃんとした対人関係を持つ経験をさせる。4つ目は、自己イメージ・自己評価の改善。虐待により低められた自分が受け入れられる経験をさせる。認知の修正・正しい自己のイメージを持たせる。5つ目は、自立的活動の促進。一端受け入れられると、「捨てないで」としがみつくので自分から自立的な行動ができるようにしていく。6つ目は、学校・養育者への情報提供。みんなでこの子を支えていこうとすることが大切。

【キーワード】
●急性トラウマ反応の軽減
●自我機能の修正
●対人関係の改善
●自己イメージ・自己評価の改善
●自立的活動の促進
●自立的活動の促進
●学校・養育者への情報提供
 

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発達心理学・発達臨床 28 虐待の情緒的影響

□ 1: 情緒的影響
子どもは自分を取り巻く「歪んだ」環境に抵抗した結果、様々な問題行動や性格傾向を発達させたという視点。心的外傷後ストレス障害(PTSD)、対人関係の障害、攻撃性、自己概念の障害、解離性障害、その他の心理的影響などがある。心的外傷後ストレス障害(post traumatic stress disorder:PTSD)とは、非常に強いトラウマを受けた人が、そのトラウマを引き起こした体験の後に示す様々な症状。トラウマの再体験(性的虐待を受けた人に多い)、睡眠障害などの自律神経系の症状(身体的虐待を受けた人に多い)。対人関係の障害とは、無差別的愛着傾向と極端なディタッチメント、分離に対する不安の欠如や、虐待関係の反復傾向などがあげられる。

【キーワード】
●情緒的影響
●心的外傷後ストレス障害(PTSD)
●対人関係の障害
●無差別愛尺傾向
●極端なディタッチメント
●分離不安の欠如
●虐待関係の反復傾向
 

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発達心理学・発達臨床 27 子どもへの影響

▼ 3:虐待が子どもに与える影響
身体的な発育障害は、物理的な栄養の問題により、身体的な発育不良が起こる。また、養育者との愛着関係の不足により、よく食べているのにも関わらず大きくならない。頭部への外傷の結果としての神経学的障害は、身体的な暴力が頭部に加えられることにより生じる。障害としては、知的発達遅滞、言語発達遅滞、運動機能発達の遅れ、学習障害など。

知的・認知的発達への影響としては、学習機会の制限、不適切な刺激・支持、子どもへの過剰な期待と失敗体験の3つ。1つ目の学習機会の制限とは、子どもの好奇心による探索を、親がいたずらと見なして禁止しようとすること。2つ目の不適切な刺激と支持とは、子どもの自己表現を奨励することが少なく、フィードバックは身体的な攻撃行動で行われることが多いこと。これにより、言語能力の発達が阻害される。3つ目の子どもへの過剰な期待と失敗体験とは、親の子どもへの非現実的で歪んだ期待により、子どもが失敗を重ねると親は罰をもって応じる。「失敗を経験しながら挑戦を重ねて課題を達成する」という学習の基礎を放棄するようになる。

【キーワード】
●身体的な発育障害
●神経学的障害
●学習機会の制限
●不適切な刺激と支持
●子どもへの過剰な期待と失敗体験
 

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発達心理学・発達臨床 26 虐待に関わる家族

▼ 2: 虐待に関わる家族の諸特徴
虐待はどのような家族にも起こりうる。また、虐待という現象は、単一の要因から生じるのではなく、親の性格的な要因に家族の社会・経済的なストレスが加わるなど、いくつかの要因が重なることによって結実すると考えられる。従って、はっきり原因を定義づけることは難しい。

虐待傾向のある親の特徴としては、依存性・受動性、衝動的・攻撃的、社会的未熟性、知的能力および不適切な期待感、精神疾患、(父親に見られる特徴)家庭内暴力、アルコール依存症との関連などがあげられる。虐待を生じる家族の特徴としては、夫婦関係の不安定さ、社会経済的状況の貧困さ、社会関係の脆弱さがあげられる。虐待されやすい子どもの特徴としては、未熟児、多胎児、育てにくく手のかかる子、発育・発達に遅れのある子。

出産・育児の特徴としては、妊娠そのものが計画的でなく、夫が妊娠に否定的、出産を不快な体験と捉えている、育児を楽しまなかった、父親が子どもに関心を持っていないと認知する、家庭内外の援助をあまり受けることなく子育てを行うなどがあげられる。親の認知的特徴としては、子どもの行動に自己への非難や攻撃を認知する、子どもの自立的な行動による「捨てられ体験」などがある。

【キーワード】
●単一要因ではない
●親の性格的要因
●社会・経済的ストレス
●親の特徴
●家族の特徴
●子どもの特徴
●出産・育児の特徴
●親の認知的特長
 

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発達心理学・発達臨床 25 虐待

■ 4: 虐待 ■

▼ 1: 定義
虐待は、身体的虐待、性的虐待、情緒的虐待、 ネグレクトに大別される。一般的には、幼児・児童虐待や夫婦間での虐待、老人虐待が問題とされる。近年、虐待への関心が高まり、対処法が検討されている。
 

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発達心理学・発達臨床 24 不登校の治療

▼ 3: 治療
分離不安説の見解に立てば精神分析的アプローチ、自己像防衛説ならばロジャース流のカウンセリング、回避不安説ならば行動療法的アプローチや環境調整が適用されることが多い。不登校の原因や状態が様々であり、不登校児を抱える問題に即して援助していくことが大前提。治療方法としては、カウンセリング、行動療法、薬物療法、入所療法などがあるが個々により異なる。

【キーワード】
●分離不安説には精神分析的アプローチ
●自己像防衛説にはロジャース流カウンセリング
●回避不安説には行動療法的アプローチ
 

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発達心理学・発達臨床 23 不登校の成因

▼ 2: 成因

□ 1: 分離不安説
母子間の依存関係(乳離れできていない)。子どもが主たる養育者から離れることに対して示す不安反応。学校場面での不安・緊張を体験し、それにより母親への依存欲求増大。母親側の無意識的迎合が起こり、子どもは自宅への逃避するようになる。

□ 2: 自己像防衛説
自己像とは、自己概念を意味し、自らが自己を対象(客体)として把握した概念。自分の性格や能力、身体的特徴などに関する比較的永続した自分の考え。自己像防衛説とは、自己のイメージが虚像的肥大(すごく出来る!という自己イメージの肥大化し、学校場面での試練で現実直面を恐れる。自己像を防衛するために自宅へ逃避する。

□ 3: 回避反応説
学校で不安、恐怖、緊張を反復経験する。それにより学校という場面に対する恐怖条件付けが行われ、回避反応が生じる。それにより不安低減により強化され、習癖化される。学校に行かないとラクなので、行けなくなる状態。

□ 4: その他
心理的挫折説、抑うつ説など。

どれがこの原因か、ちゃんと見極める必要がある。

【キーワード】
●分離不安説
●自己像防衛説
●回避反応説
 

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発達心理学・発達臨床 22 不登校

■ 3: 不登校 ■

▼ 1: 分類
学校に登校しない全ての状態をさす。登校できない正当な理由がないのにもかかわらず登校しない、もしくは登校できない状態。広義に捉えると登校拒否は、怠学や精神疾患による不登校の場合を含み、学校に行かない全ての現象をさす。不登校とほぼ同義。

□ 1: 学校恐怖症(school phobia)
学校に行かなくてはと思うが、不安・恐怖・心身症が存在して行けない。比較的低学年に多いが、青年期にも見られる。登校拒否や不登校とほぼ同義の用語。近年、学校恐怖症を含めた登校拒否児童・指導方法は、治療者によって異なる。

□ 2: 登校拒否(school refusal)
一応の理由をつけていかない。中学から高校にかけて多くなる。不登校と学校恐怖症と同義。

□ 3: 学校脱落(school dropout)
理由もなく関心もなく、行く気もなくなって行かなくなる。情動的反応や合理化を欠くことで前者とは異なる。

□ 4: 2次性
うつ病、統合失調症、妄想反応、各種神経症の随伴症状として登校できない状況を示す。

【キーワード】
●不登校
●学校に登校しない全ての状態
●学校恐怖症
●登校拒否
●学校脱落
 

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発達心理学・発達臨床 21 遺糞症

▼ 7: 遺糞症
通常の排便のコントロールが確立される年齢になっても、器質的な原因がないのにも関わらず、排便の自立が出来ていない状態。小児科領域では器質的障害がないのにもかかわらず、排便行為が自立すべき4歳以降になっても不随意の排便をみる状況。成因としては、神経学的発達の未熟性・時期尚早な厳格なトイレット・トレーニング、家族の特徴として、父親が不在で母親に共感性か乏しく感情的に不適切であること、患児自身の性格傾向として他者との交流を好まず受動的依存的であることがあげられる。

【キーワード】
●遺糞症
●排便の自立が出来ていない
●神経学的発達の未成熟
●トイレット・トレーニング
 

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発達心理学・発達臨床 20 遺尿症

▼ 6: 遺尿症
排尿の制御が自立し得ない状態を遺尿という。夜間睡眠中に起きる夜尿症と、日中覚醒していても起きる昼間遺尿と大別され、両者を合併する場合も。夜尿症については、身体レベルのみ熟成(膀胱機能・発達遅延・内分泌型の未発達・睡眠の未熟など)が基盤にあり、時にストレスなど心理レベルの問題が2次的要因となって症状を持続・悪化させる。昼間遺尿については、9歳未満の女児に多く学校場面の不安からトイレに行けずに生じることが多い。治療としては、薬物療法に重点に置かれている。小児心身症に特有な成長に伴う治療を考慮に入れて、生活指導を配慮すべき。

【キーワード】
●遺尿症
●排尿の制御
●夜尿症
●昼間遺尿
●身体レベルの成熟
●2次的に心理レベルの問題

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発達心理学・発達臨床 19 抜毛症

▼ 5: 抜毛症(trichotillomania)
体毛を引き抜くことが習慣化した結果として、部分的な脱毛巣を生じる。頭髪や眉毛が対象となることが多い。脱毛行為は自分の気持ちを和らげたり慰めたりする意味があり、病的な移行現象と見なせる例も多い。発症する年代では、幼児期以前では家庭内の問題、前思春期では神経症、思春期以降になると人格障害に伴うものが多い。

【キーワード】
●抜毛症
●頭髪や眉毛
●家庭内の問題
●神経症
●人格障害
 

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発達心理学・発達臨床 18 チック・トゥレット障害

▼ 4: チック・トゥレット障害
チックとは、目をパチパチするなど、身体の特定の筋肉に生じる不随意的、突発的な反復運動反応。急速で、非律動的、情動的な運動、あるいは発声が生じる。言語性チックと運動性チック(=クセっぽくて治らない)があり、運動性チックの方が、予後が悪い。トゥレット障害とは、反響言語と汚言を伴い、運動の共同失調を特徴とする神経疾患。幼児期から青年期に発症し、男性に多い。器質的要因(中枢神経伝達物質の代謝や伝達障害)にも注意が必要。

【キーワード】
●チック
●言語性チック
●運動性チック
●トゥレット障害
●反響言語と汚言
 

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発達心理学・発達臨床 17 食事上の問題

▼ 3: 食事上の問題
主なものは、異食、反芻性障害、小児・早期児童期の食物摂取障害の3つ。異食とは、食物ではない草、土地、砂、紙、糞などを口に入れる行為。ストレスによる心因反応が習慣化したもの。反芻(はんすう)とは、吐き気なしに胃の内容が口まで戻る状態。嘔吐とはまったく別のもの。

【キーワード】
●異食
●反芻性障害
●食物摂食障害
 

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発達心理学・発達臨床 16 睡眠上の問題

▼ 2: 睡眠上の問題
主なものは、夜驚症、夢中遊行、悪夢の3つ。夜驚症(やきょうしょう)とは、小児の睡眠障害で、強い不眠と夜泣きを特徴とする。家庭環境の不安定要因が原因になることが多い。夢中歩行(夢遊症)とは、睡眠中歩き回り、いろいろな行動をとる。多くは自然消滅するが、不安や葛藤、てんかんの症状として出現することもある。悪夢とは、強い恐怖におそわれ、しばしばうめき声をあげて眠りから覚める症状。夢の内容の多くは恐ろしい動物や人物。1、2分で意識ははっきりし、周囲の人物や物体の識別が可能となる。

【キーワード】
●夜驚症
●夢中遊行
●悪夢
 

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発達心理学・発達臨床 15 指しゃぶり・爪噛み

■ 2: 情緒障害・精神障害 ■

■ 1: 習癖・行動異常 ■

▼ 1: 指しゃぶり・爪噛み
指しゃぶりは、指、特に親指をしゃぶったり、すったりする癖。乳幼児期、幼児期によくみられる。一般的には注意を払う必要はなく、子どもの活動を他の活動に向けてやるのが良いとされている。しかし、慢性的に持続すると、歯科的問題・同輩や親の否定的態度・誤嚥・指の変形・他の習慣障害の合併などがみられる。治療的には口腔への装置装着・爪への嫌悪味覚物質の塗布・症状減少に対する報酬システムなどがある。

爪噛みは、習癖の一種で、乳幼児期から児童期まで広くみられる。一般的に不安・緊張・ストレスに対する反応と考えられる。爪噛みを促進する不安・ストレス要因の除去と、緊張やストレスの発散が治療的アプローチとなる。

【キーワード】
●指しゃぶり
●乳幼児期・幼児期
●爪噛み
●ストレスに対する対応
 

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発達心理学・発達臨床 14 学習障害

▼ 4: 学習障害(learning disabilities. learning disorder:LD)
知能が特に劣っているわけでもなく、感覚器官にも目立った問題が見られないのにもかかわらず、読み・書き・計算といった基本的な学習能力に様々な困難を示すこと子どもがいる。こうした子どもを学習障害とよぶ。治療では、LDというラベリング(決めつけ)の取り扱いに注意する。色々なところに問題があるので受診の背景を固定し、ラベリングによる自己評価の低下について親や教師に説明する。また問題とされる学習分野の小刻みな段階的目標設定とレベル設定、賞賛の必要性を助言する。

【キーワード】
●学習障害
●LD
●知能は劣っていない
●感覚器官に問題はみられない
●基本的学習能力に様々な困難
 

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発達心理学・発達臨床 13 注意欠陥・多動性障害

▼ 3: 注意欠陥・多動性障害(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)
注意の障害と多動を基本的特徴とする。自分の興味が移ると、それをやらずにはいられないので動いてしまう(注意が続かない)。衝動的で、情緒的に不安定であり、欲求不満耐性が低い。治療は、薬物療法(リタリン)と遊戯療法。

注意点としては、場によって症状(ADHD)が消失する場合は診断しない。年々多動が強くなる場合は環境に理由がある場合が多い。薬物を使用する場合、その効果と目的について子・親・教師が理解しておく。目的達成のために過程を細かく分け、小目標の達成ごとに賞賛を与える(楽しいことは短時間集中することが出来る)。

【キーワード】
●注意欠陥・多動性障害
●ADHD
●注意の障害
●多動
 

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発達心理学・発達臨床 12 レット障害・小児期崩壊性障害

□ 3: レット障害・小児期崩壊性障害 □
レット障害と小児期崩壊性障害ともに、有意味の消失を基本とする発達退行を主な特徴とする。レット障害は、生後、順調に発達してきたが、1歳半ばまでに特有の欠陥が多数現れる症状。頭部の発達が遅れ、技能の損失、対人関係・歩行・言語などに重篤な障害が見られるようになる。女児にのみにみられ、一般的には重度または最重度の精神遅滞を示す。一方、小児期崩壊性障害は、退行前の発達はより良好であり、発達退行もより明瞭な症状を表す。症例としては、退行に先行して心理・社会的ストレス(入院・引越し・犬恐怖・車からの転落)などが存在する例も多数報告されている。

【キーワード】
●レット障害
●小児期崩壊性障害
●発達退行
●頭部の発達の遅れ
●女児のみ
●心理・社会的ストレスの存在
 

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発達心理学・発達臨床 11 アスペルガー障害

□ 2: アスペルガー障害(asperger’s disorder) □
自閉的精神病質ともいう。広汎性発達障害の一つで、対人関係障害と情緒障害を主とするが、知的発達は保たれる。対人的交流の障害、非言語的なコミュニケーションの特徴(友人は必要ない)、言語の特異性、狭い独特な興味・関心(すごく限定したところに集中)、型にはまった行動パターン、運動の不器用さ、常識の無さなどを特徴とする。臨床的に著しい言語の遅れがない点が自閉性障害と異なる。アスペルガー障害の場合、言語面での能力は保たれているため、耳から聞き言語を覚えることができる。

【キーワード】
●広汎性発達障害
●対人関係の障害
●情緒障害
●言語の遅れはない
 

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発達心理学・発達臨床 10 自閉性障害・自閉症

□ 1: 自閉性障害(autistic disorder)・自閉症(autism)
カナーにより報告された情緒的接触の自閉的障害。発達障害として考えられ、原因としては何らかの中枢神経系の機能不全が推定される(内因)。

▽ 1: 行動的特徴
他者との相互的やり取りの欠如に代表される対人関係の重度の障害で、言語および非言語の両面にわたるコミュニケーション障害。ごっこ遊びなどの創造的活動の欠如と常同的・反復的な行動パターン(こだわり)。

人の刺激に対して興味を持たず、視線が合うことがない。人の思考、「言葉」(聴覚)について興味・必要がなく、従って創造性が欠如する。しかし、「視覚」には関心があるため、絵本から学ぶ。感覚遊びが、こだわりに変化する。こだわりが乱されると、パニックになる。ただし、対処法を学ぶことで制御できるようになる。逆にこだわりすら表せない例も。
 

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発達心理学・発達臨床 09 広汎性発達障害

▼ 2: 広汎性発達障害
広汎性発達障害とは、特定の能力のみに障害が認められるのではなく、対人的相互作用、言語、情動行動といった領域に発達上の障害が認められるもの。

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発達心理学・発達臨床 08 精神遅滞

▼ 1: 精神遅滞(知的障害)(mental retardation:MR)
ICD-10では、精神の発達停止あるいは発達不全の状態であり、発達期に明らかになる全体的な知能水準に寄与する能力、例えば認知、言語、運動および社会的能力の障害によって特徴づけられる。

一方、DSM-Ⅳ-TRでは、明らかに平均以下の知的機能、個別施行による知能検査で、およそ70またはそれ以下のIQ(幼児においては、明らかに平均以下の知的機能であるという臨床的判断による)。同時に現在の適応機能の欠陥又は不全が、以下のうち2つ以上の領域で存在。コミュニケーション・自己管理・家庭生活・社会的/対人的機能。地域社会資源の利用・自立性・発揮される学習能力・仕事・余暇・健康・安全。発症は18歳以前である。

□ 1: 治療的アプローチ
知的障害の程度に応じて、4段階の重症度(軽度・中度・重度・最重度)に分けられる。目安は、知能指数(IQ)。
 

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発達心理学・発達臨床 07 発達生涯

■ 発達臨床 ■

■ 1: 発達障害(developmental disorders) ■

発達障害とは、幼児期、児童期、青年期に始めて診断され、その障害の起因が精神的、身体的、あるいはその両面に渡る。いつまで続くのか予測できず、以下の項目のいくつかの領域において機能上制限がある。自己管理、言語機能、学習、移動、自立した生活、経済的自立など。
 

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発達心理学・発達臨床 006 発達理論

■ 6: 発達理論 ■

▼ 1: 精神・性的発達理論・フロイト(Freud)
発達過程を「リビドー」といわれる性的エネルギーに対応させていくつかの段階に区分した。

□ 1: 精神・性的発達理論
 口唇期
 肛門期
 エディプス期
 潜伏期
 性器期

▼ 2: 心理・社会的発達理論(自我発達理論)・エリクソン(Erikson. E.H.)
発達過程における社会的経験の効果を考えた生涯についての発達理論。それぞれの段階で解決するべく求められる基本的な個人的、社会的課題を設定した。

□ 1: 心理・社会的発達理論
 基本的信頼 × 不信
 自立性 × 恥・疑惑
 自発性 × 罪悪感
 勤勉性 × 劣等感
 アイデンティティの確立 × アイデンティティの拡散
 親密性 × 孤立
 生殖性 × 停滞性
 統合性 × 絶望
 
▼ 3: 認知発達理論・ピアジェ(Piaget. J.) 

□ 1: 認知発達理論
 感覚運動期
 前操作期
 具体的操作期
 形式的操作期

※ピアジェにはじまる道徳性の発達研究はL.コールバーグに引き継がれ、3水準6段階からなる道徳性の発達段階を設定した。

1.習慣以前(水準)
  A 罰と服従への志向
  B 手段的相対主義への志向
2.習慣的(水準)
  A 人間関係における協調への志向
  B 法と秩序への志向
3.脱習慣的(水準)
  A 社会契約的な遵法主義への志向
  B 普遍的な倫理的原理への志向
→後に教育の場に影響を及ぼしていく。

▼ 4: 比較行動学(ethology)に基づく発達理論
生得的触発機構(ティンバーゲン)と刻印付け(imprinting)(ローレンツ)。生得的触発機構とは、動物に生まれつき備わった、特定のサイン刺激に対して特定の反応をする生理学的な仕組み。刻印付けとは、
アヒルなど、離巣性の鳥類のヒナで、孵化後の特定の時期に目にした動くものに対して後追い反応を示すこと。行動を生じさせる触発因に対して感受性が高い臨界期が存在する。

【キーワード】
●精神・性的発達理論
●心理・社会的発達理論
●自我発達理論
●エリクソン
●認知発達理論
●ピアジェ
●比較行動学
●生得的触発機構
●ティンバーゲン
●刻印付け
●ローレンツ

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発達心理学・発達臨床 05 青年期・成人期

■ 5: 青年期・成人期 ■

▼ 1: ピアジェの形式的操作期
形式的操作期は、11歳前後以降の青年期。重要概念は、メタ認知と領域固有性。メタ認知とは、人が自らの認知そのものを自覚することをメタ認知と呼ぶ。メタ認知は、人が自らの情報処理活動をモニタリングし、コントロールするものと考えられるが、過度の自覚は逆に妨げとなる。領域固有性とは、思考が内容に影響されない形式的な操作によって行われているのではなく、扱う領域に依存したものであるという説(領域により知識は別で、他では利用できないとするもの)。

【キーワード】
●形式的操作期
●メタ認知
●領域固有性
 

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発達心理学・発達臨床 04 児童期

■ 4: 児童期 ■

▼ 1: ピアジェの具体的操作期
ピアジェは、6歳前後から11歳前後までの思考は具体的操作により特徴づけられるとした。具体的な場面だと論理的に考えることができるようになる時期。重要概念は、保存性と脱中心化。保存性とは、対象の形や状態を変形させても性質は変化しないという概念。脱中心化とは、自己中心性からの脱却で、多様な視点の存在に気づき、他者の視点からも対象を認知することが出来るようになること。

▼ 2: 性役割の発達
性役割の発達は、理論により異なる。精神分析理論(フロイト)では、1:母親に対する熱望、2:父親からの報復の恐れ、父親との同一視、3:性同一性の獲得、という順をたどる。社会的学習理論(バンデューラ)では、1:主たる報酬や罰を与える者としての父親への愛着、2:同一視、父親のモデリング、3:性同一性の獲得、という順をたどる。認知発達理論(ポールバーグ)では、1:(父親に向けて)性同一性の獲得、2:父親へのモデリング、3:父親への愛着、という順をたどる。
 

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発達心理学・発達臨床 03 幼児期

■ 3: 幼児期 ■

▼ 1: ピアジェの前操作期
ピアジェは、1歳半ないし2歳前後から6歳前後までの思考を前操作期とした。表象の世界を持つ時期で、文字の「りんご」と、本物の「りんご」が繋がる。重要概念は、自己中心性、表象の発達、アニミズム。自己中心性とは、自己とは違う他者の視点があることに気がつかないこと。表象の発達とは、シェマを頭に思い浮かべること。アニミズムとは、生命のない事物・事象に生命や意識などの生物的・心理的実在性の属性を与える考え方。克服するのは、具体的操作期の最終段階。すべてのものに生命、働くものだけに生命、自分の力で働くものだけに生命、生物だけに生命、という順に認める。
 

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発達心理学・発達臨床 02 乳児期

■ 2: 乳児期 ■

▼ 1: 生まれたときから持っている行動
身体を支えている足の先が床につくようにすると、左右の足を交互に前に出す第1次的歩行は、生まれつき備わっている行動。生後一ヶ月以内では、乳児の足の裏に触ると指を上か下に広げるような反射を示すバビンスキー反射や、突然首や頭の支えを外すと万歳をするように手を広げるモロー反射。また、3ヶ月で消える新生児模倣を行う。人間にはいくつかの情緒を表す表情が生まれながらに備わっており、表情を模倣する能力を持って生まれてくる(=共鳴動作)。

▼ 2: 知覚の発達
ファンツ(Fantz. R,L,)によって開発された選好注視法(preferential looking method)によると、人の顔、文字、複重丸、赤色、白色、黄色の順に好んで注視する。ギブソンとウォークは、乳児の奥行き知覚の発達を研究した。
 

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発達心理学・発達臨床 01 発達心理学

■ 第6回 発達心理学・発達臨床 ■

■ 1: 発達心理学 ■

発達心理学とは、受胎から死に至るまでの生体心身の形態、機能の生長・変化、などを解明し、発達法則の樹立を目指す心理学の一分野。発達は、狭義では時間変化とともに組織や機能が複雑化し、完成に向かうという上昇的変化。広義では、生涯発達である。

■ 補足 生涯発達心理学
成人期には成人期の、中年期には中年期の葛藤に巻き込まれることが少なくない。さらに老年期になれば、さまざまな機能の衰えや死の問題など、人生の終末をどのようにむかえるかという人生課題が待ち受けている。

これらの人生上の諸課題をどのように身に引き受けていくかに、個人それぞれの人生の意味があり、従ってそこには喜びも悲しみもつまずきもある。

こうして最近では、従来の発達心理学の分野に、成人期心理学、中年期心理学、老年期心理学をふくめ、誕生から死にいたるまでの生涯発達心理学が提唱されるようになってきている。

※レヴィンソン(Levinson)
レヴィンソンは、児童期、青年期、成人前期、中年期、老年期からライフサイクル論を展開し、生活構造を変えなければならない過渡期における内的変化と外的変化を重視した。

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心理アセスメント 38 職業興味検査

■ 2: 職業興味検査(VIP. Vocational Preference Inventory) ■

▼ 1: 概論
ホランド(Holland. J.L)が開発した、個人が特定の職業活動に参加することを好む程度を測定する検査。大学生の進路指導、職業経験のある成人のキャリアカウンセリングなどを目的とする。職業興味尺度(現実興味尺度、研究的興味尺度など)6つ、傾向尺度(自己統制傾向尺度、地位思考傾向尺度など)5つから構成され、適応年齢は20歳以上の成人、大学生。

【キーワード】
●職業興味検査
●VIP
●ホランド
 

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心理アセスメント 37 一般職業適性検査

■ 1: 一般職業適性検査(GATB. General Aptitude Test Battery) ■

▼ 1: 概論
アメリカ労働省雇用安定局が1947年に出したものが原案。仕事を遂行するのに必要な適正能力(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さの9種類)を測定し、個人の職業領域、職業選択のための1つの資料を得る。適応年齢は中2から高3。

多くの職業の中から、ある職務を遂行するにあたって必要な能力を測定する検査であるため、将来において適正のある職務を予測するという予測的妥当性は、(設計方針からして)備わっていない。現時点での、職業に必要な能力を備えているかどうかを判定するもの。

【キーワード】
●一般職業適正検査
●GATB
●アメリカ労働省
 
※適性検査という場合には、学力検査を除くのが普通であり、職業、職務への適性を判定するためのものである。しかし、適正とは学力はもちろん、さまざまな能力を包括して本人の適性を予測するためのものといえる。

2007/10/30

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心理アセスメント 36 職業適性検査

■ 5: 職業適性検査 ■

職務遂行に必要とされる能力を測定する検査。能力を広く測定し適合する職業を選出する一般職業適性検査と、特定の職務についての処理能力を測定する特殊職業適性検査の2種類に分けられる。基準に達しない職業については成功の可能性が低いことを意味するが、どのような職業が出来るかを予測しているわけではない。今日では、職業適性検査の結果をもとに個人の自己理解を深めるという目的が重視されている。

【キーワード】
●一般職業適性検査
●特殊職業適性検査
●個人の自己理解
 

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心理アセスメント 35 ゲゼル発達診断

■ 4: ゲゼル発達診断(Gesell’s Developmental Diagnosis) ■

▼ 1: 概論
ゲゼル(Gesell. A.L)により、障害の早期発見、治療、指導のために開発された発達診断。日常場面での子どもの自然な様子を重視(母親からの問診+観察からDA(発達年齢)を算出)する。運動(移動、把握など)、順応(目と手の協応など)、言語(コミュニケーション手段など)、社会性(遊び、微笑反応など)の4領域から判断。

【キーワード】
●ゲゼル発達診断
●ゲゼル
 

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心理アセスメント 34 新版K式発達検査

■ 3: 新版K式発達検査 ■

▼ 1:概論
京都市児童院で開発、標準化した検査で、2歳から13歳まで適応可能。検査用具や問題の多くは子供にとって遊びのように感じられるため、子供の自発的で自然な行動が観察されやすい。検査問題は、姿勢-運動領域・認知-適応領域・言語-社会領域の3つに大別。

【キーワード】
●新版K式発達検査
 

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心理アセスメント 33 津守式幼児精神発達検査

■ 2: 津守式乳幼児精神発達検査 ■

▼ 1: 概論
0歳から7歳の子どもの日常生活の中に表れるままの行動を集め、標準化の手続きに従い整理した検査。子どもの日常生活の行動を、運動、探索、操作、社会、食事、生活集団、言語の各領域の計438項目から理解する。全て親からの問診に頼り、発達指数を算出することはない。

【キーワード】
●津守式幼児精神発達検査
●日常生活の中に表れるままの行動
●親からの問診
●発達指数の算出はない
 

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心理アセスメント 32 遠城寺式幼児分析的発達検査

■ 4: 発達検査 ■

■ 1: 遠城寺式幼児分析的発達検査 ■

▼ 1: 概論
乳幼児の発達を、運動・社会性・言語の分野ごとに評価し、発達上の特性を明らかにする。移動運動、手の運動、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の各機能を分析的に評価可能で、精神遅滞、脳性麻痺などの鑑別診断に役立つ。検査法が単純で短時間、親からの問診とその場での乳幼児に対する課題実施で評価。発達指数(DQ)を算出し、プロフィールにすることが出来る。

【キーワード】
●遠城寺式幼児分析的発達検査
●親の問診
●乳幼児に課題実施
●DQとプロフィール
 

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心理アセスメント 31 内田・クレペリン作業検査

■ 3: 作業法 ■

■ 1: 内田・クレペリン作業検査 ■

▼ 1: 概論
クレペリンが開発したものに基づいて、内田が性格測定のために改良・標準化した人格検査。無作為に並べた1桁の数を2つずつ連続加算させる作業を繰り返し、それによって得られた作業速度の変化を評価する。

▼ 2: 分析・診断
作業の過程(作業曲線)、意志、努力、気乗り、慣れ、練習、疲労などを分析し、性格や病理水準を測定・診断する。

【キーワード】
●内田・クレペリン作業検査
●1桁の数を2つずつ連続加算
●作業曲線
 

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心理アセスメント 30 ベック抑うつ性尺度

■ 12: ベック抑うつ性尺度(BDI:Beck Depression Inventory) ■

▼ 1: 概論
ベック(Beck. A.T)らが開発した、抑うつ症状の重症度を評価する尺度。本来は面接者が必要だが自己記入方式の質問紙として用いられることが多い。21項目から構成され、気分・認知に重点がおかれ、身体症状に関する項目は少ない。

【キーワード】
●ベック抑うつ性尺度
●BDI
●ベック
●自己記入方式
●気分・認知に重点
●身体症状は少ない
 

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心理アセスメント 29 ツァン自己評価式抑うつ性尺度

■ 11: ツァン自己評価式抑うつ性尺度(SDS:Zung’s Self-rating Depression Scale) ■

▼ 1: 概論
ツァン(Zung. W.W)により考案された、抑うつ症状の重症度を評価するための自己記入式質問票。患者の自己評価による抑うつ性の評価尺度20項目(通常健常者は対象でない)で構成され、正常群、神経症患者群、うつ病患者群に分けられる。適応年齢は成年から、成人。うつ病患者の評価、スクリーニング、教育相談、学校相談などで離量される。

【キーワード】
●ツァン自己評価式抑うつ性尺度
●SDS
●ツァン
●抑うつ症状の重症度
●自己記入方式
 

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心理アセスメント 028 CMI健康調査票

■ 10: CMI健康調査票(Cornell Medical Index) ■

▼ 1: 概論
コーネル大学のブロードマン(Brodman)やウルフ(Wolf)らによって医学的面接の補助手段のため作成されたテスト。初診時に短時間で患者の状態を把握するための問診票として作成されたチェックリストで、自覚症プロフィールと呼ばれるものが作成できる。心身の自覚症状の調査手段だけでなく、情緒障害の評価にも有効な手がかりとなることが特徴である。

適用年齢は14歳から成人までで、神経症の判断が可能である。質問項目はチェックリスト形式(「はい」「いいえ」)で身体的自覚症状144項目、精神的自覚症状51項目(+男性は16項目、女性は18項目)から構成される。病院などの初診時にスクリーニングとして実施されることが多い。

このCMIは、あくまで自覚症状に基づいての質問であるため、
・虚偽の反応に弱い
・無意識的なものは拾えない(内因性精神病には不適)
・二者択一にはそぐわない項目がある
という問題点がある。


【キーワード】
●CMI健康調査票
●コーネル・メディカル・インデックス
●医学的面接の補助手段
●心身両面にわたる自覚症状

ver1.1

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心理アセスメント 027 16PF人格検査

■ 9: 16PF人格検査(The sixteen personality factor questionnaire) ■

▼ 1: 概論
キャッテル(Cattle. R.B)の人格理論に基づく質問紙検査。187の質問項目で構成され、各々10段階の標準得点化されておりプロフィール化が可能である。

適応年齢は16歳以上で、16個の1次因子と4個の2次因子の各得点からの分析を行なう。

【キーワード】
●16PF人格検査
●キャッテル

ver1.1

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心理アセスメント 26 カリフォルニア人格検査

■ 8: カリフォルニア人格検査(CPI:California Psychological Inventory) ■

▼ 1: 概論
ハリソン・ゴーフにより開発された人格検査。精神医学的に疾患のない人を対象として、人格の健全で積極的な側面(対人適応状態、社会的適応状態、人格特性など)を把握できるように開発。適用年齢は中高生から70歳。

【キーワード】
●カリフォルニア人格検査
 

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心理アセスメント 025 アイゼンク人格目録(EPI)

■ 7: アイゼンク人格目録(EPI) ■

▼ 1: 概論
アイゼンクの人格理論に基づき作成された検査。

モーズレイ人格目録(MPI)の「外向性-内向性」次元(E尺度)と「神経症傾向」(N尺度)に、第3の次元、「精神病質傾向(衝動のコントロール性)」を重視し反映された人格目録。

第3次元は、精神病質傾向や非行・犯罪傾向を予測するとされる。1970年代に開発される。

・「外向性-内向性」
・「神経症傾向」
・「精神病質傾向」


【キーワード】
●アイゼンク人格目録
●精神病質傾向

ver1.1 

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心理アセスメント 024 モーズレイ人格目録(MPI)

■ 6: モーズレイ人格目録(MPI:Maudsley personality inventory) ■

▼ 1: 概論
アイゼンク(1959年)によって作成された目録式人格検査(質問紙検査)。

モーズレイは、アイゼンクが所属した病院の名前。

個人の性格を社会性に関連する「外向性-内向性」次元(E尺度)と、情緒の安定性に関わる「神経症傾向」(N尺度)の2次元から解釈する。虚偽的な回答の有無を判断する項目(L尺度)も含まれる。全80項目で、回答形式は3件法。

年齢や生別、知能の違いによる誤差が少なく、信頼度の高い検査。集団実施も可能で、検査時間は約30分と労力も少ない。

・「外向性-内向性」:E(extraversion)尺度
・「神経症傾向」:N(neuroticism)尺度
・虚偽尺度:L尺度

▼ 2: 分析・診断
性格および行動傾向を診断。

▼ 補足: アイゼンク
アイゼンクは、パーソナリティを外向性、内向性、神経症傾向といった因子で説明可能であるとしてMPIを作成し、後に精神病質傾向を加えてEPIを作成した。

アイゼンクは、個別的反応水準、習慣的反応水準、特性水準、類型水準から構成されるパーソナリティ構造を仮定し、類型論と特性論の統合を図った。

※現在特性論は、ビック・ファイブ(Big Five)をよばれる5つの主要なパーソナリティ特性を認める立場に収束しつつある。
1.神経症傾向
2.外向性
3.開放性
4.調和性
5.誠実性

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心理アセスメント 23 EPPS

■ 5: EPPS(Edwards Personal Preference Schedule) ■

▼ 1: 概論
EPPS性格検査、エドワーズ人格目録ともよばれる。作成者はエドワーズであり、マレーの顕在性欲求リストの内から15の欲求を選んで作成した。この欲求は、生理的(一時的)なものではなく、高次の二次的(社会的なもの)を主として選択された。つまり、人間の社会行動上、その動機となる可能性の高い側面を捉えようとしている検査。

マレー理論を基に選ばれた尺度は、達成、追従、秩序、顕示、自律、親和、他者認知、求護、支配、内罰、養護、変化、持久、異性愛、攻撃の15個。

この質問紙の特徴は、異なった欲求に関連する2つの文章が提示され、そのどちらかを強制選択法によって選択する点である。この2つの文章は、社会的望ましさの程度がほぼ等価になるように作成されており、社会的行動の動機となる諸欲求をパーセンタイル値として表示できるようにしてある。従って個々人の欲求体制が概観でき、教育指導など大いに利用である。なお、達成、顕示、支配など計15の欲求の強さを測定することが出来るが、異常性を検出する尺度はない。

この検査の優れた点は、「欲求構造」が類型化できる点であり、検査結果も被験者に理解しやすく興味を持たれやすいこと。また強制選択法によるため、社会的望ましさに依存した回答以上の情報を得ることが出来る。集団検査法も可能。

短所としては、項目数が多く(450の叙述文)、時間がかかる。結果のプロフィール分析が確立しているとは言い難く、15の各欲求の構成概念妥当性が不十分であることである。
 

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心理アセスメント 022 GHQ精神健康調査票

■ 4: GHQ精神健康調査票(the general health questionnaire) ■

▼ 1: 概論
GHQ精神健康調査法とは、ゴールドバーグ(Goldberg. D.P)により開発された精神的な健康を診断するための心理検査(質問紙法)である。このテストは、神経症の諸症状を広く収集し、それを健常者に実施することでどの程度その諸症状が存在するかを見極めることを目的とする。

主に神経症・心身症を中心とする非器質性、非精神病性(心因性)の疾患の症状の把握、スクリーニングテストとして使用される。実施時間は約10分程度で終了可能であるが、健康-不健康という一次的な尺度を想定しており、性格特性を把握するものではないため、構造面では理論的に弱い部分がある。

【キーワード】
●GHQ精神健康調査票
●ゴールドバーグ
●健康-不健康

ver1.1

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心理アセスメント 21 顕在性不安尺度(MAS)

■ 3: 顕在性不安尺度(MAS:Manifest anxiety scale) ■

▼ 1: 概論
MASはManifest Anxiety Scaleの略称であり、顕在性不安尺度とよばれる質問紙検査法である。テーラーが個人の不安を測定するため、N.キャメロンの慢性不安反応に関する理論を基にMMPIから50項目選び出し作成。日本版MASでは15項目の虚偽尺度が加えられ全65項目となっている。「そう」、「ちがう」のどちらかに○をつける二件法。

はじめは条件付けの動因として不安の測定を目的としたが、不安水準を測定する一般的な方法として広く用いられるようになった。実施時間は20分とかなり短時間で出来るが、因子的妥当性に関しては否定的な見方がされている。

この検査でもっとも問題とされるのは、顕在性不安の検出を目的とするもので、無意識的な不安の検出には適さないことである。不安反応は本質的に、行動や生理的変化などを含め多面的に評価されるべきものであり、MASのような主観にのみ頼る方法だけでは限界がある。従って、これらの問題を回避するためには、ロールシャッハなどの投影法的な検査をテスト・バッテリーとして組むことが望まれる。

なお、児童用MASとして、CMASも作成されている。

※STAI(State-Trait Anxiety Inventory)
不安を測定する類似尺度としてSTAIなどもある。これはスピルバーガーらが作成した自己評定型不安尺度の一つ。MASの因子分析の結果、一次元性に疑問が生じ、特性不安に加えて慢性不安も加えて検討したもの。状態不安と特性不安の両方が測定可能。状態不安の測定には、「特定時点での自己の状態」についての回答が求められ、一方、特性不安の測定には「一般的・通常の自己」についての回答が求められる。この点で2つの尺度は異なっている。STAIにはさまざまな日本語版があり、いずれも信頼性、妥当性に関してはかなり肯定的な検討がされている。

※状態不安
今の不安状態。主観的・意識的に知覚される。

※特性不安
比較的安定した性格特徴で、不安傾向のこと。
 

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心理アセスメント 20 矢田部・ギルフォード性格検査

■ 2: 矢田部・ギルフォード性格検査(YGテスト) ■

▼ 1: YG性格検査
YGとは矢田部ギルフォード検査の略称。ギルフォードの考案したアメリカのギルフォード性格検査を下に矢田部達郎らが作成に着手し、完成された。YG性格検査は、特性論の立場に基づき、一般的な性格をあらわす言語から因子分析法を用いて導き出された因子による尺度から構成される。日本ではMMPIと並んで非常に流布され、使用されている質問紙検査。

この検査は12の尺度からなる120項目の質問によって構成される。

12尺度とは、抑鬱、回帰性傾向、劣等感、神経質、客観性、協調性、攻撃性、一般活動性、のんきさ、思考的外向、支配性、社会的外向。

回答形式は、「はい」、「いいえ」、「?」の3件法。

結果の分析は類型化されており、プロフィールを分析することで、A型(平凡型)、B型(非行型)、C型(沈静型)、D型(適応者型)、E型(ノイローゼ型)に分けられる。

特徴としては、他の性格検査、特に質問紙の中では実施時間が短く、解釈が容易である。信頼性や妥当性に関しても長年の実証的、数量的蓄積があるという長所がある。しかし、短所としては、社会的望ましさの影響を受けやすく、12の尺度の因子的妥当性に疑問視されることが多い。

また、YG検査の捉えられる性格側面には限界があり、直接診断の手がかりを得ることも難しい。あくまでもテスト・バッテリーの一つとして治療上有益な情報を求めることが主眼となる。類型化されたタイプから判断する場合にも、被験者の自己実現といった方向が考慮されなければならないことがあげられる。

※テスト・バッテリー
被験者の心理的側面を理解するとき、単一のテストでは不十分な情報しか得られないため、複数の異なるテストを組み合わせて実施し、多面的に情報を得ること。

※自己実現
本来の自分自身に向かうこと。

▼ 2: 定義
ギルフォードらが開発した「人格目録」を基礎に、矢田部らが日本人用に標準化した特性論に基づく質問紙検査(性格を複数の特性からなる多次元的なものを考える)。因子分析で抽出された12の性格特性の尺度で構成(1尺度10項目=120項目)。

▼ 3: 分析・診断
抑うつ性、回帰性、劣等感、神経質、客観性の欠如、協調性の欠如、愛想の悪さ、一般的活動性、思考的外向、支配的、社会的外向の尺度で構成される。診断は、各尺度のプロフィールにより「平均型」、「情緒安定積極型」、「安定消極型」、「安定積極型」、「情緒不安定消極型」の5類型を典型とする評価も可能。性格と行動傾向を診断。

※ギルフォードの「思考」についての捉え方
ギルフォードは思考を、論理的に唯一の適切な回答を求める収束的思考と、ひとつに限らないさまざまな解決の可能性を必ずしも論理的にではなく広げて探る拡散的思考にわけた。

収束的思考 →知能検査で測定可能
拡散的思考 →創造性と密接な関係

【キーワード】
●矢田部・ギルフォード性格検査
●YGテスト
●人格目録
●日本人用
●特性論
●12の性格特性尺度

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心理アセスメント 19 ミネソタ多面的人格特性目録検査(MMPI)

■ 2: 質問紙法 ■

■ 1: ミネソタ多面的人格特性目録検査(MMPI:Minnesota multiphase personality inventory) ■

▼ 1: 概論
MMPIは、Minnesota Multiphasic Personality Inventoryの略称であり、ミネソタ多面人格目録とよばれる。ハザウェーとマッキンレーが精神医学的診断の客観化を目的として開発したもので、全550項目からなる質問紙検査法。被験者は各項目に「あてはまる」、「あてはまらない」、「どちらでもない」の3件法で回答する。「どちらでもない」の回答数が多いと、本来なら臨床尺度に加算されるものが加算されず、信頼度が落ちる。

この検査の特徴は、その基準を精神医学的診断という外的基準においていること。従って、正常群と臨床群(例えば鬱患者)とを弁別可能かどうかという客観的、経験的アプローチを取る。そのため因子特性論を基礎とするYG検査とは異なり、中間類型論が提唱される。

この検査の特徴は、虚偽尺度などを含む妥当性尺度を備えており、被験者の回答態度に関する情報を得られる点。この点で、質問紙法にみられる社会的望ましさの影響を脱することが可能。

この検査は特定の理論に依拠せず、幅広くさまざまな行動、特性などを含むことから、人間の行動、特性項目の総便覧として利用可能性が高い。しかし、同時に特性に関して理論的背景がないため、各項目の叙述文が示すものが相互に違いすぎ、また特定の利用目的として使用しにくいことが短所としてあげられる。また、項目数が多く、被験者の労力を必要とし、プロフィール分析にもかなり複雑になる点も短所である。加えて、当初の目的であったな精神医学的診断の客観化という目的が達成されていない。

※妥当性とは
テストが測定したいものを実際に測定している程度。

※内容的妥当性とは
テストの妥当性を、データによってではなく、専門化の目で判断することで確認しようとする考え方。
 

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心理アセスメント 18 ブラッキー・テスト

■ 8: ブラッキー・テスト(blacky test) ■

▼ 1: 概論
ブラム(Blum .G.S)が開発した児童用絵画を用いた性格検査。ブラッキーという名前の子犬を主人公にする12枚の絵について物語を作らせる。絵はフロイトの性発達段階理論からの強い影響を受けた、欲求不満場面がかかれている。

【キーワード】
●ブラッキー・テスト
 

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心理アセスメント 17 HTPテスト

■ 7: HTPテスト(House-Tree-Person Test) ■

▼ 1:概論
バックが(Buck .J.M)が開発した描画法を用いた投影法検査。特定の大きさの別々の紙に、家、木、人物の順で描かせる。知能や人格の査定を行うために用いられる。

【キーワード】
●HTPテスト
●バック
●家、木、人
 

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心理アセスメント 16 人物画テスト

■ 6: 人物画テスト(DAP:Draw-a-person test) ■

▼ 1: 概論
マコーヴァー(Machover. K)が開発した人格検査。特別な指定をせず、B5の縦長の白紙(2枚)に男女の人物(全身像)を描かせる。執行への抵抗が少なく、簡単に行うことが出来る。性格検査と言われるが、特に攻撃性、非社会性、退行的傾向等の判断に適当。基本的な仮説は、「人が描く人物にはその人が抱く自己像が反映される」とするもの。

▼ 2: 分析・診断
内容と形式的側面(サイズ・配置・末梢・線質)を分析する。

【キーワード】
●DAP
●人物画テスト
●マコーヴァー
●男女の人物像
●執行への抵抗が少ない
 

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心理アセスメント 15 バウム・テスト

■ 5: バウム・テスト(Baumtest. the tree test) ■

▼ 1: 概論
コッホ(koch. K)により開発された投影法性格検査。A4の画用紙、B4鉛筆、消しゴムを用意し「実のなる樹木を1本」描かせる。2回行い、2回目は1回目と異なる木を描くように要求。児童の精神発達の判断、成人の人格や能力の測定、心理療法の効果測定。簡単なスクリーニング目的や、ロールシャッハ・テストの前後に実施される。様々な年齢層に適用できる、言語表出困難な被験者にも用いられる、発達的理解や病理水準を理解できるなどの利点がある。また、一般的な人格診断だけではなく、職業適性、精神障害、心理療法の効果測定など広く行われる。

▼ 2: 分析・診断
大きさ、位置、形状、数、紙の向き、等、あらゆる要素を分析することで、性格傾向や病理水準、知的水準などを診断する。

【キーワード】
●バウム・テスト
●コッホ
●実のなる樹木を1本
●ロールシャッハ・テストの前後に実施
●心理療法の効果測定
 

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心理アセスメント 14 PFスタディ

■ 4: PFスタディ(Picture frustration test) ■

▼ 1: 概論
ローゼンツァイク(Rosenzweig. S)によって考案された、投影法による人格検査。左側の人が右側の人に欲求不満を起こすように働きかける場面(24場面)において、被験者は右側の人物の立場で会話欄に反応を記述する。欲求不満場面に対する反応様式から自我防衛水準での被験者の反応様式に潜む人格の独自性を明らかにする(精神力動的解釈)。また、欲求不満場面での反応傾向を、外罰傾向、自責傾向、無罰傾向に分け、その強弱から意識されやすい反応傾向を明確にする。

▼ 2: 分析・診断
反応を示す攻撃の方向(時分/相手)や反応の型(強調されている内容)を分析することで、性格傾向を診断する。

【キーワード】
●PFスタディ
●ローゼンウァイク
●欲求不満場面
●自我防衛水準
●外罰(または外責)
●自罰(または自責)
●無罰(または無責)
 

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心理アセスメント 13 SCT

■ 3: SCT(文章完成テスト:sentence completion test) ■

▼ 1: 概論
「私は子どものころ、・・・」のような不完全な文章を提示し、被験者に自由に文章を続けてもらう性格検査。一般的には投影法として分類されるが、質問紙法との中間的方法と分類されることもある。一般的な投影法が深層心理を明らかにするのに対し、この検査は比較的浅い前意識レベルを明らかにする。ロールシャッハ・テストとテスト・バッテリーを組まれることが多い。

※前意識とは
意識されてはいないが、思い出そうとすれば思い出すことのできる意識レベル。フロイトは、意識、前意識、無意識の3層から心が成り立っていると想定した。

▼ 2: 解釈とテスト形式
特に決まった解釈法がなく、分析は検査者の熟練に委ねられている。刺激文はパートⅠ、Ⅱ、各30項目、計60項目。適用年齢は小学生用(8歳から12歳)、中学生用(13歳から15歳)、成人用(15歳から16歳以上)。

▼ 3: 分析・診断
形式的側面(字体、言葉使い等)、内容的側面(内容、感情、イメージ等)を分析し、知的側面、情緒的側面、社会的態度、自己評価等を診断する。

【キーワード】
●SCT
●文章完成テスト
●質問紙法と投影法の中間
●前意識レベル
●形式的側面と内容的側面
 

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心理アセスメント 12 TAT

■ 2: TAT(主題統覚検査:thematic apperception test) ■

▼ 1: 概論
マレー(Murray. H.A)ら(1935年)によって開発された、投影法による性格検査。主題統覚検査の主題とは、内的な「欲求」と、環境側からの「圧力」との力動的な相互交渉のこと。統覚とは、意識の中である心的内容(表象)を他に比較して著しく明瞭に意識すること。過去の個人的経験や知識を用いて特定の状況に意味を与える心の働き。TATでは、人間の営みや体験を表す絵を提示し、その絵から登場人物の感情・欲求、そして過去・現在・未来を含めた物語を構成させ、作られた物語の内容から被験者の欲求体系を明らかにする。

▼ 2: 方法
場面設定の曖昧な絵を第1シリーズから10枚、第2シリーズから10枚を実施。1枚ごとに空想物語(登場人物の欲求・要求、過去・現在・未来を含む)を、その絵の状況を中心に作らせる。児童用にCAT(the children’s Apperception test)、老人用にSAT(the senior Apperception test)がある。

▼ 3: 分析・診断
主人公や他の登場人物の欲求と圧力、感情、思考、行動の結果などから分析する。内的欲求と外的ストレスとの関連から、性格傾向や病態水順を診断。

【キーワード】
●TAT
●主題統覚検査
●マレー
●物語を作る
●CAT
●SAT
 

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心理アセスメント 11 ロールシャッハ・テスト

■ 2: 人格(性格)検査 ■

■ 投影法 ■

■ 1: ロールシャッハ・テスト(Rorschach test ) ■

▼ 1: 概論
1920年にロールシャッハにより考案された、投影法による人格検査の代表的検査法。別命インクブロット・テスト。左右対称のインク染みの図版10枚(黒灰5、赤黒2、多色3)で構成される。図版を一定の順序で提示し、「何に見えるか」「どのような特徴からそう見えるのか」などを自由に答えてもらう。インクの染みを「どのように見えるか」によって分類・得点化・分析する。ロールシャッハ・テストの整理法、解釈法は様々あり、最近はエクスナーの包括システムが最も信憑性の高い方法であるとし、今後の研究が期待されている。

▼ 2: 分析・診断
全体/部分、動的/静的、色彩への反応、独創性、反応数、反応時間などから分析する。それにより被験者の性格傾向、認知機能、適応水準、適応の方、対人関係における情動表出のあり方、病理水準、知的水準まであらゆる方面の情報を捉えることが出来る。

【キーワード】
●ロールシャッハ・テスト
●インクブロット・テスト
●10枚
●エクスナー
●包括システム
●あらゆる方面の情報
 

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心理アセスメント 10 ITPA

■ 6: ITPA(Illinois Test of Psycholinguistic Abilities)

▼ 1: 概論
イリノイ大学のカーク(Kirk .S.A)らが開発した精神発達遅延児の言語能力の診断のための検査(学習障害にも使用する検査)。適応年齢は3歳から10歳。

▼ 2: 特徴
子どもの言語能力を、聴覚的刺激と視覚的刺激の受容、連合、表現といった情報処理過程のモデルに基づいて分析する。処理過程のどの部分に欠陥があるのかを診断。回路(聴覚―音声、視覚―運動)過程(受容、連合、表出)水準(表象、自動)の3つによる3次元の認知過程モデルに基づく。テスト結果に従い、欠陥部分の集中的訓練が行われ、その効果が報告されている。

▼ 3: 下位尺度
言語理解、絵の理解、言葉の類推、絵の類推、言葉の表現、動作の表現、文の構成、絵さがし、数の記憶、形の記憶。各下位検査と全体の偏差値(SS)と言語年齢(PLA. Psycholinguistic Age)を換算。

【キーワード】
●ITPA
●カーク
●精神発達知延児
●聴覚的刺激と視覚的刺激
●欠陥の診断
 

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心理アセスメント 09 ベンダー視覚・運動ゲシュタルト・テスト

■ 5: ベンダー視覚・運動ゲシュタルト・テスト(Bender visual gestalt test)

▼ 1: 概論
ベンダー(1935年)により開発された作業検査。視覚・運動形態機能の測定を目的。9つの幾何図形を被験者に模写させる。その描写の正確さ、混乱度、描画方法などが査定され、発達成熟度や視覚・運動機能の障害、脳の機能的損傷の障害などを調べる。図形はゲシュタルト心理学の創始者ウェルトハイマーが視知覚研究に用いたものを使用。

※ゲシュタルトとは
全体的な関連をもとに「まとまり」を持って表れる具体的な形象。

▼ 2: 分析・診断
模写された図形の形態(まとまりの状態)を基に分析を行い、知的水準や病態水準の診断を行う。

【キーワード】
●ベンダー視覚・運動ゲシュタルト・テスト
●ベンダー
●ゲシュタルト
●幾何図形を模写
 

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心理アセスメント 08 グッドイナフ人物描画テスト

■ 4: DAM(Draw-A-Man Test)・グッドイナフ人物描画テスト

▼ 1:概論
グッドイナフ(Goodenough. F. L)が開発した描画テストの一種。適応年齢は、精神年齢(MA)で3歳9ヶ月から9歳00ヶ月。目的は、幼児・小学生低学年・知的障害児(者)を対象にして、動作性(協応性、ボディーイメージ、空間認知など)の知的発達水準を測定するため。

▼ 2:方法
描画用紙を2つ折りにして縦に長く置き、人の頭から足まで全身象を描かせる。基本的に男子像を採点するため、女子像を描いた場合は男子像を描かせる。51項目(頭、目、胴、指の分化など)を採点し、知能を評価する。精神年齢に換算する。1963年には女性像と自己像の描画を加えて改訂を行い、73項目を設定し再標準化した。

【キーワード】
●グッドイナフ
●DAM
●グッドイナフ人物描画テスト
●人間を描く
●知能を評価
 

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心理アセスメント 07 K-ABC

■ 3: K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー

▼ 1: 概論
カウフマン夫妻(Kaufman. A. Z & Kaufman. N)により作成された幼児・児童用知能検査。適応年齢は2歳6ヶ月から12歳11ヶ月。検査結果が学習指導に直結する知能検査を目指して作成されたテストで、認知処理理論(継次―同時情報処理モデル)に基づく。認知処理理論では、情報を1つずつ時間的・系列的に処理する「順序」を軸にした継次処理と、一度に複数の情報を統合し、全体的な「まとまり」として処理する同時処理の2つで構成される。子どもの得意な認知スタイル(継次処理的か、同時処理的か)を発見し、実際の指導に役立てることが出来る。

▼ 2: 知能
知能を問題解決に要する情報処理能力と、情報処理能力を応用して獲得された習得知識・技能とに分けて評価する。利点は、学習不振児の何の能力に問題があるのか判断できる。例えば、習得知識・技術が低い子どもの場合、能力を発揮しきれていない学習不振児といえる。

▼ 3: 分析の着眼点
検査得点からのプロフィールおよび生育歴、日常の様子などから包括的に分析。IQは用いず、標準得点に換算する。

【キーワード】
●K-ABC
●カウフマン夫妻
●認知処理理論
●情報処理能力
●習得知識・技能
 

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心理学史 005 精神分析理論の発展

■ 心理学史 005 精神分析理論の発展 ■

精神分析(Psychoanalysis)とは、狭義にはフロイトが創始した心理療法の理論をさすが、そこから多数の心理療法理論が枝分かれし、その幅広い人間学的な視点によって20世紀の人間科学全体に大きな影響力をもった、いわゆる思想でもある。

▼ 1.アドラーの個人心理学
フロイトの「夢判断」を読んで精神分析に魅かれ、フロイトのもとに集まった一人。国際精神分析学会の創設に力をつくし、初期の精神分析運動の中心的メンバーの一人となった。しかし、フロイトの性欲説に不満を抱くようになり、人を行動にかりたてる動機はリビドーではなく、他者への優越の欲求(権力への意志)であると想定。この優越の欲求が主体の劣等感を補償しようとして生じ、その過補償ないしは補償不足が神経症をもたらすとした。

 ※フロイトと仲たがい
 ・人格の全体性
 ・劣等感

▼ 2.ユングの分析心理学
1907年のウィーン精神分析協会に参加しフロイトと出会い、国際精神分析学会の創設にアドラーとともに貢献してその初代会長となった人。フロイトがリビドーを「性的」なものとみなしたのに対し、ユングはもっと一般的な「心的エネルギー」とみなした。さらに無意識に対しても、フロイトのように快感原則に支配された「反理性的」なものとは考えず、むしろ意識を補償する積極的、肯定的な機能をもったものとみなす一方で、個人的無意識とならんで人類に普遍的な集合的無意識を仮定した。

 ※フロイトと仲たがい
 ・集合的無意識
 ・元型
 ・タイプ論

▼ 3.自我心理学
フロイトの娘、アンナ・フロイトによって創始された精神分析の一学派。一般心理学における自我心理学と区別するために、特に精神分析的自我心理学と呼ばれることもある。フロイトの自我・超自我・イドという構造論のうち、自我の機能を重視し、研究を発展させた。

※アンナ・フロイトは、最初は教育者として子供にかかわる仕事にたずさわっていたが、父親であるフロイトの影響をうけて、精神分析に児童分析という新分野を開拓する。その一方でフロイトとともに精神分析の理論の発展に大きく貢献した。クライントとは犬猿の仲。

 ・自我の適応的機能
 ・アイデンティティ理論

▼ 4.新フロイト派
フロイトの欲動論を批判し、文化的・社会的要因を重視した学派。フロイト左派とも呼ばれる。ホーナイ,K、フロム,E、サリヴァン,H.Sが有名。

 ・社会構造
 ・対人関係

▼ 5.対象関係論
精神分析的精神医学の一方法論。フロイトの理論を基にメラニー・クラインらが児童や精神病性疾患の精神分析に取り組む中で新しいやり方として発展させ、さらにそれをフェアベーン、ウィニコット、H.ガントリップらが推し進めた。

 ※クラインはアンナ・フロイトと犬猿の仲
 ・エディプス期以前の内的対象関係

▼ 6.その他:実存主義心理療法
フランクルは、第2次世界大戦中ユダヤ人であるという理由でアウシュビッツの強制収容所に送られ、家族や多くの知人をガス室で失った不遇な人(→人間は苦悩する存在)。
1950年頃、精神療法の一つとして実存分析(ロゴテラピー)を提唱。人間は身体的、心理的、精神的な3つの次元の統一体であり、フロイトの「快楽の意志」やアドラーの「権力への意志」だけでなく「意味への意志」をもつ精神的実存であると仮定した。だからこそ、人は心理的、身体的な欲求不満に陥るばかりでなく、みずからの生に意味や価値を見いだせない時に実存的欲求不満や実存的空虚感に陥り、それが解決されないときには精神因性神経症になると考えた。

 ・実存分析
 ・意味への意志
 ・実存的空虚
 ・実存的欲求不満
 ・精神因性神経症

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心理アセスメント 06 ウェクスラー式知能検査

■ 2: ウェクスラー式知能検査 ■

▼ 1: 概論
ウェクスラー式知能検査とは、ウェクスラーによって作成された一連の知能検査。1939年、個人の知能を診断的に捉えるために診断性の知能検査を作成。検査は、児童用(適応年齢5歳00ヶ月から16歳11ヶ月)のWISC、成人用(適応年齢16歳00ヶ月から74歳00ヶ月)のWAIS、幼児用(適応年齢3歳10ヶ月から7歳01ヶ月)のWPPSIの3つから構成される。

▼ 2: ビネー式知能検査との相違点
知能をビネーは、外界を全体として再構成するために作用する認識能力であるとした。一方、ウェクスラーは、知能を個人が目的に向かい行動し、合理的に思考し、効果的に外界を処理する個々の能力の集合体的能力であるとした。また、IQについてビネーは、年齢と共に直線的に発達するものとした。一方、ウェクスラーは、IQ分布の分散が同一年齢集団ごとに異なるとし、被験者の属する年齢集団の平均からのズレ(偏差)で表すべきものとした。従って、偏差IQで算出される。

▼ 3: 知能構造の診断算出の工夫
言語性検査と動作性検査で構成され、それぞれ5から7つの下位検査を含む。WISC-Ⅲの場合、言語性検査は、知識、類似、算数、単語、理解、(数唱)の5つ、動作性検査は、絵画完成、符号、絵画配列、積木模様、組み合わせ、(記号探し)、(迷路)の5つ。それぞれの検査から言語性IQ(VIQ:Verbal IQ)と動作性IQ(PIQ:Performance IQ)、および全IQ(FIQ:Full IQ)が算出される。下位検査から、言語理解(知識・類似・単語・理解)、知覚統合(絵画完成・絵画配列・積木模様・組合せ)、注意記憶(算数・数唱)、処理速度(符号・記号探し)の4つの群指数が算出される。

▼ 4: 分析の着眼点
IQそのもの、FIQとVIQの差、下位検査間での得点のばらつき、群指数間の差、下位検査プロフィール分析、検査態度など。

【キーワード】
●ウェクスラー式知能検査
●個人の知能を診断的に捉える
●ビネーは知能を認識能力
●ウェクスラーは知能を個々の能力の集合体
●ビネーはIQを直線的に発達するもの
●ウェクスラーはIQを同一年齢集団ごとに異なるとし、平均からのズレ
●WISC
●WAIS
●WPPSI
●言語性検査
●動作性検査
●下位検査
 

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心理アセスメント 05 田中ビネー式知能検査

■ 代表的な知能検査 ■

■ 1: 田中ビネー式知能検査 ■

▼ 1: ビネーの知能観
知能の本質的な機能は、問題解決するまで思考に一定の方向を取らせ続ける能力で(方向性)、本質を理解し目的を達成するために適応する能力であり(目的性)、解決が正しいかどうかを自己批判する能力(自己批判性)。知能は他の能力には分割できない包括的な能力(一般的知能)。一定の方向へ向かう持続性である方向性、目的の達成である目的性、行動・反応の結果の吟味である自己批判性の3側面から構成される。

▼ 2: 特徴
精神年齢(mental age)をもとに、個人間の知能発達の遅速度を比較できる。1歳から成人までの各年齢段階に応じた検査項目が配列されており、IQ(intelligence quotient)は、精神年齢(MA)/生活年齢(CA)×100で算出される。

【キーワード】
●田中ビネー式知能検査
●分割できない包括的な能力
●知能指数
●精神年齢/生活年齢×100
 

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心理アセスメント 04 知能検査の表示法

▼ 3: 知能検査の表示法
結果は、精神年齢(MA・Mental Age)、知能指数(IQ・Intelligence quotient)、知能偏差(ISS・Intelligence standard score)、偏差IQ(DIQ)らにより示される。

□ 1: 精神年齢(MA・Mental Age)
ビネーが作成した知能検査において初めに使用された。被験者の発達の程度を示す指標。生活年齢(CA.・chronological age)の集団の過半数(50%~75%程度)が合格するような問題をその年齢級の標準問題とし、達した標準問題の年齢級がその人の精神年齢とした。

□ 2: 知能指数(IQ・Intelligence quotient)
ビネー=シモン尺度がアメリカにわたり、ターマンらによってスタンフォード=ビネー知能検査に発展した過程に取り入れられ実用化。実際の年齢を生活年齢(CA)、検査結果から判定される知能を精神年齢(MA)とするとき、知能指数はIQ=(MA/CA)×100で表される。

□ 3: 知能偏差(ISS・Intelligence standard score)
偏差値と発想な同じで、知能テストによって測定された知能得点を、その個人が属する年齢集団の中に占める相対的な位置によって表現する方法。通常、平均50、標準偏差10のT得点の形で示される。

※標準偏差とは
バラツキの程度を表した単位。低ければ低いほどバラツキは小さく、大きければ大きいほどバラツキは大きい。

※T得点とは
平均50、標準偏差10の正規分布に告示するように変換しても止められた得点。T得点を見ることにより、その集団の相対的位置が把握できる。

※ISSとは
ISS=10(X-M)/SD+50
X=個人の知能検査得点
M=個人の所属する年齢集団の知能検査得点の平均
SD=個人の所属する年齢集団の知能検査得点の標準偏差

□ 4: 偏差IQ(DIQ)
知能検査を平均が100になるように修正したもの。見やすく、知能指数とは違うもの。DIQ=K(X-M)/SD+100で表される。

【キーワード】
●精神年齢
●知能指数
●知能偏差
●標準偏差
●T得点
●偏差IQ
 

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心理アセスメント 03 知能検査

■ 各論 ■

■ 1: 知能検査 ■

▼ 1: 概論
知能検査とは知能を客観的に測定するために考案された測定用具であり、結果は標準化された手続きをへて数量的に表示される。一般に知能検査は、難易度の異なる問題から構成され、一定の検査条件のもとで実施し、結果を統計的に処理する。それにより、個人の知能水準を一定の尺度上に位置づけたり、個人の知能発達の程度を捉えることができる。

▼ 2: 知能検査のタイプ
知能検査の様式による分類、問題構成による分類、実施の方法による分類により3つに分けられる。知能検査の様式による分類は、総合的な知能を測定する一般知能検査、特殊な能力のみを測定する特殊知能検査に2分される。問題の構成による分類は、言葉で回答する言語式検査、絵カードやパズルなどにより行われる非言語式検査、両者の長所を取り入れた言語・非言語混合式検査に3分される。

実施の方法による分類は、個別式知能検査と集団式知能検査に2分される。個別式知能検査は、検査者と被検査者が1対1で行う検査。検査実施に多大な時間と熟練を必要とするが、検査自体に意図的な問題を盛り汲むことが可能であり、信頼度の高い情報が得やすいことが特徴である。一方、集団式知能検査は、集団で実施可能な検査。検査実施が容易であり、採点基準が客観的で経験の浅い検査者でも容易に判定が可能で、短時間で多くの資料が手に入る。しかし、カンニングしやすい、検査時間が守られない、被験者の状態などに柔軟に対処できず検査結果に歪みが生じる可能性などの問題がある。

【キーワード】
●知能検査
●個別式知能検査
●集団式知能検査
 

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心理アセスメント 02 心理アセスメント

■ 心理アセスメント 02 ■

▼ 1: 査定内容による分類
最大の遂行量を見る検査と典型的遂行度を見る検査に分けられる。最大の遂行量を見る検査は、知能検査など能力的側面の検査に行われる。最初は簡単な問題を行い、段階的に難しくしていくことで、最大遂行量を測定する。一方、典型的遂行度を見る検査は、人格検査など行動や思考の特徴を捉える検査に行われる。

▼ 1-1: 特性論と類型論
特性論は、人間には複数の特量があるとし、その量的な差から性格を説明する。一方、類型論は、人間を質的な特徴に基づいて分類し、各々の方で性格を説明する。

□ 1: 特性論
特性論は、因子分析により統計的に研究される。人間には、典型的なタイプがあるものではないとし、諸特性の量的差を重視する。問題点として、人間の人格がモザイク的に測定され、全体像を把握することが難しいことや、因子分析にかけるデータを選択するのも、因子分析の手続きも、因子数の決定や因子名の選択も統一されていないことがあげられる。アメリカやイギリスの心理学者らにより発展。主な研究者は、アイゼンク、ギルフォード、キャッテルなどがいる。

□ 2: 類型論
類型論は、観察経験から直感的に研究される。人間の諸特性は細かい部分に分断できるものではないとし、質的な相違を重視する。問題点として、過度の画一化や単純化が行われること、中間型の分類が不可能であること、人間の人格を遺伝的に規定されたもの、固定化したものとみなす傾向が協調されることがあげられる。ドイツやフランスの精神科医や哲学者らにより発展。主な研究者はヒポクラテス、クレッチマー、ユングなどがいる。
 

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心理アセスメント 01 心理アセスメント

■ 心理アセスメント ■

▼ 1: 概論
心理アセスメントとは、クライエントや環境についての情報収集を行い、背景を明らかにし、援助計画を立てていくプロセス。診断面接や心理検査を行い、症状や心理的障害の特徴を分類する。病理の否定的側面だけでなく、人間の持つ積極的価値をも含めた側面も分析対象。心理臨床の3本柱(治療・査定・予防)の一つ。

▼ 2: 査定目的の決定

□ 1: 査定目的の決定
テスト条件としては、信頼性、妥当性、弁別性、客観性、実用性がある。信頼性とは、安定性や一貫性のこと。同一の個人に同じテストを繰り返したとき、同一の得点の得られる程度を信頼性という。妥当性とは、テストがその測定しようとしている物をどの程度測定し得ているかを表す。知能を測定したいときには、それ専用のものが求められる。弁別性とは、正しく測定したいテストで測定できるのかを表す。不安を検査したいときに、抑鬱のテストをしても意味がない。客観性とは、検査者独断であるかどうかを表す。実用性とは、実際に使用できるかどうか。測定時間に24時間もかかるようであれば使い物にならない。

□ 2: 被験者の条件
病態水準、言語機能、身体的機能、文化的背景を加味する。病態水準の重い統合失調症の人に投影法は、自我崩壊が起りうるので危険である。また、母国語かどうか、大人か、子どもかどうかについても考慮しなければならない。

□ 3:検査者の条件
使用する検査法に対する知識やスキルなどが必要。投影法や知能検査は、ある程度熟練しないと使い物にならない。複数のテストを組み合わせたテスト・バッテリーは、被験者をより包括的、多元的に把握することが出来るが、問題量には注意が必要。ロールシャッハとバウム、ロールシャッハとSCTの組み合わせで行われることが多い。

【キーワード】
●情報収集
●援助計画
●症状
●分類
●否定的側面
●積極的価値
●信頼性と妥当性
●被験者条件と検査者条件
 

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心理療法 20 箱庭療法

■ 18: 箱庭療法 sandplay therapy ■

▼ 1: 箱庭療法の成立と発展
カルフがユング理論の適用し、発展させた心理治療技法。砂に入った木箱と様々なミニチュアが用意され、クライエントは自由にそれらを使用し、イメージ表現を行う。非言語的表現技法の一つ。

▼ 2: 箱庭療法の特徴
非言語性、簡便性、触覚性(砂によりリラックスできる)、資格性(視覚的にクライエントの世界を確認できる)など。

▼ 3: 箱庭療法の理論
自由にして保護された空間の中で、箱庭を通して自己が顕現してくる。その過程でクライエントの内にある自己治癒力が働き始める。このようにして箱庭療法を続けていくと、心の全体性がより高次なものに向かい、その変化の過程として自己の象徴がマンダラ表現の形をとって生じる。

※例えば友達や恋人と海に行って、砂遊びした時の感覚と、箱庭療法を行った時の感覚は似ている。「なんとなく楽しい」し、「なんとなく落ち着く」という感覚(カタルシス)である。そこには気心知れた人がいるという安心や、作品が出来上がる過程、砂の質感などが合わさって、「なんとなくいい気持ち」になる。

【キーワード】
●箱庭療法
●カルフ
●ユング理論
●イメージ表現
●マンダラ

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心理療法 19 遊戯療法

■ 17: 遊戯療法 play therapy ■

▼ 1: 遊戯療法の原理
遊戯療法は、プレイ・セラピーとも遊び療法とも言われる子どもを対象とした心理療法。心理療法は通常、言語を用いて行われるが、子どもは言葉のやり取りにより自分の感情を表現することは出来ないので、遊びをその代わりに用いる。遊びは、自己表現手段での自然な伝達法であり、子どもの意識のみならず無意識とも関わる有効的な方法である。遊戯療法には、A・フロイトやクラインの「遊びは子どもの内的な世界を表現するのに最も適した方法である」という考えが背後にある。

▼ 2: 治療原則・アクスラインによる8原則
1. セラピストは、子どもと温かい友好的な関係を作るようにしなければならない。
2. セラピストは、あるがままの子どもを受容する。
3. セラピストは、子どもの関係で、受容的な感情を作り出すようにする。
4. セラピストは、子どもが表出している感情を敏感に察知し、これらの感情を子どもに返し、自分の行動を洞察しやすいようにしてやる。
5. セラピストは、子どもが自ら解決できる能力を持っていることを信じて疑わない。選択し、変化し始めるか否かは、子どもの責任にしておく。
6. セラピストは、子どもの行動や会話に指示を与えることのないようにする。子どもがリードをとり、セラピストが従う。
7. セラピストは治療を早くしようなどとはしない。治療は徐々に進歩する過程であり、セラピストはこのことを理解している。
8. セラピストは、治療を現実の世界に関係づけておくのに必要な、また子どもに治療関係での責任を自覚させるのに必要な制限を与えるだけである。

▼ 3: 遊戯療法の実際
設備は、プレイルーム(砂漠、水場、観察室等があった方が望ましい)、遊具(箱庭、人形、積み木、粘土、太鼓、木琴、ピアノ、トランポリン等)を用いる。週1回、50から60分の枠で行う。適応範囲は、3歳から思春期の始まる頃まで。また、自閉症などの発達障害のある子も。

【キーワード】
●遊戯療法
●プレイ・セラピー
●言語の代わり
●自己表現手段
●A・フロイト
●クライン
●アクスラインによる8原則
 

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心理療法 18 交流分析

■ 16: 交流分析 transactional analysis ■

▼ 1: 基本概念
バーンが開発した人間行動に関する理論体系とそれに基づく治療法。「互いに反応しあっている人々との間で行われている交流を分析すること」を目的とする。交流分析は、「今・ここで」の自我状態に気づくことによって、感情、思考、行動を自己コントロールする。また、対人関係における具体的なトランザクション(やりとり)を分析することによって、自分のマズイ交流様式の改善を図る。通常、構造分析、交流パターン分析、ゲーム分析、脚本分析の4つの分析を行う。究極のゴールは、人生早期にその源をもつ「脚本」の修正。

▼ 2: 交流分析の実際
エゴグラムの活用。

【キーワード】
●交流分析
●バーン
●今・ここで
●エゴグラム
 

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心理療法 17 ゲシュタルト療法

■ 15: ゲシュタルト療法 Gestalt therapy ■

▼ 1: 基本概念
パールズが考案した心理療法。心理的障害や悩みは心に2つの対立する要素が生じることによって起る。従って、この2つを対立させ、「有機体的自己制御」メカニズムの回復が治療の目的。患者の過去の体験や生育暦ではなく、「今・ここで」の体験と関連の全体性に重点をおく。

▼ 2: ゲシュタルト療法の技法
ロールプレイング、座席を写りながら演じ対話するホット・シート、否定的感情の行動化・追体験といったものがある。パール図は、図と地というゲシュタルト心理学用語を用い説明し、排除された自己が統合されることで、個人のゲシュタルトが完成されるとした。「気づき―言語化―コンタクト」の一連の過程。

※図と地
視界の中で浮き出る領域を図、その背景を地。同一の領域でも役割が異なると、まったく様相が異なる現象。

【キーワード】
●ゲシュタルト療法
●パールズ
●今・ここで
●ロールプレイング
●ホット・シート
 

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心理療法 16 認知療法

■ 14: 認知療法、認知行動療法 cognitive therapy/cognitive behavior therapy ■

▼ 1: 認知療法とは
ベックにより始められた心理療法で、認知の歪みに焦点を当てることにより精神疾患の治療を行う。認知療法の特徴は、知覚・記憶・判断・予測など認知のフィルターを通した主観的体験が、情緒体験と密接に関係しているとする理論に基づいている点である。認知の歪みが全て、という考え方。その歪みは、自動思考と仮説・スキーマに大別される。自動思考とは、ある状況においてすぐに思い浮かぶ考えやイメージである。一方、仮説・スキーマとは、心の深層にある自己・世界・将来に対する確信・態度・規制である。これは発達過程で形成されたものであり、対人関係や行動パターンに現れる。

▼ 2: 認知療法の適応領域
うつ病、不安障害、統合失調症など。

▼ 3: うつ病の認知療法
初期経験により歪んだ仮説が形成される。危機的な出来事に遭遇すると、仮説の活性化が行われ、否定的自動思考によりうつ病が発症する。

【キーワード】
●認知療法
●ベック
●主観的体験と情緒体験
●認知の歪みが全て
●自動思考
●仮説・スキーマ
 

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心理療法 15 森田療法

■ 13: 森田療法 Morita therapy ■

▼ 1: 森田療法とは
森田正馬により考案された神経症の精神療法。日本独自の精神療法で、安静療法、作業療法、説得療法、性格療法のエッセンスを取り出し、それをうまく組み合わせ独自の精神療法を考案した。

▼ 2: 森田理論
神経症の原因となるヒポコンドリー性基調と精神交互作用により、症状が発展固定し森田神経症という病的状態が発展する。治療の目標は、精神交互作用を生み出す「とらわれ」、「はからい」を脱し、生の欲望の発揮(自己実現)に向かっていくことである。

▼ 3: 森田療法の実際
第1期、4日から1週の間、絶対臥褥(がじょく)療法を行う。患者を個室に隔離して、面接、談話、読書、喫煙、その他全ての慰安を禁じ、食事、排便以外はほとんど絶対臥褥を命ずる。第2期、起床。第1期と同じく隔離療法であって、交際、談話、外出を禁じ、臥褥期間を7から8時間に制限。昼間は必ず戸外に出て、空気と日光に触れさせるようにする。第3期、庭造り、大工仕事、薪割りなどやや重い作業をさせる。期間は1週間前後。第4期、1週間から2週間の生活訓練。必要に応じて外出し、複雑な実生活を送る。

【キーワード】
●森田療法
●生の欲望の発揮
 

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心理療法 014 家族療法

■ 12:家族療法 family therapy ■

▼ 1: 家族療法とは
家族療法とは、家族を一つのまとまりを持ったシステムとみなし、その家族システムを治療の対象とする心理療法である。精神分析的な家族力動理論だけではなく、一般システム理論や、対人関係論、学習理論、行動理論など様々な理論的枠組みを持った治療的アプローチが行なわれる。

個人療法は病理を個人に求めるが、家族療法はそれを家族システムに求めることが特徴である。家族集団の中でその個人を捉えなおし、そこにある対人関係のプロセスに注目する。家族療法では、患者は家族システムの病理を代表して、症状や問題を表しているメンバーという意味で、IP(identified patient 患者の役割を担う人)と呼ばれる。

▼ 2: 一般システム理論
家族システム内には、家族メンバー間の複雑な相互作用が存在し、全ての事象が互いに関連を持ちながら循環している。このような家族システムでは、一つの原因から一つの結果が規定されるような直線的因果律の見方ではなく、因果的連鎖が円環状につながっている円環境的因果律の見方が当てはまる。

システムを「互いに影響し合う要素の複合体」として捉え、家族療法では「関係性」そのものを取り上げる。

▼ 3: 家族病理の鍵概念
家族の病理と理療に深く関係している概念は、二重束縛理論と家族ホメオステーシスの2つである。二重束縛理論とは、コミュニケーションの病理で、表に出されるメッセージとそれに対立・矛盾するメッセージが同時に伝達され、受け取り手が行動出来なくなることをいう。親がこれを行うと子どもは、混乱し、生存が脅かされ、対人的関心を喪失することにもなりかねない。

一方、家族ホメオステーシスとは、家族の一員の状態が改善されると、家族の他の成員に障害が現れるというものである。家族は、治療の進展を阻害しても1つ不変の状態を維持しようとする傾向があり、このような関係があるときには家族システム全体を治療対象とする必要がある。

【キーワード】
●家族療法
●家族力動理論
●一般システム理論
●二重束縛理論
●家族ホメオステーシス

ver1.1

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心理療法 013 バイオフォードバック法

■ 11: バイオフィードバック法 biofeedback technique ■

▼ 1: バイオフィードバックの定義と方法
普段あまり意識していない身体内の情報を、工学的な方法で助けを借り、本人に知覚させ、その局部的または全身的反応を訓練で制御させようとする方法。視覚、聴覚、触覚など知覚可能な刺激に変換して本人に呈示する。行動療法の一つ。

【キーワード】
●バイオフィードバック
●身体内情報
●呈示
●制御

ver1.1

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心理療法 012 動作法

■ 10: 動作法 dosa-ho(又はmotor action training) ■

▼ 1: 動作と動作法
動作とは、自分の意図通りの身体運動を実現しようと努力する自己活動過程のこと。動作法は、意図した運動パターンと実現する身体運動パターンを一致させていく心のプロセスである。「意図―努力―身体運動」として図式化され、自分の身体に対する自己制御活動といえる。

動作法(動作訓練)では、意図した通りに身体運動ができるようになることを目的とし、そのための訓練に焦点をあてていく。脳性マヒの患者が催眠で動くという事実から、心身は密接に関わっているため、自分を弛めるようにしていくことで、逆に心にも影響があると考える。

▼ 2: 心理臨床における動作法
ことばやイメージの心理臨床に、動作と動作法という新しい道具が導入されることにより、これからの心理臨床のあり方やその基本的理論などに変化が起こると予想される(・・・かも)。

【キーワード】
●動作法
●意図した通りの身体運動
●脳性マヒ

ver1.1

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心理療法 011 自律訓練法

■ 9: 自律訓練法 autogenic training ■

▼ 1: 自律訓練法
シュルツ、ルーテにより発展させられた自己催眠法の一種で、弛緩療法の一つ。ある条件刺激が不安反応を引き起こすとき、それに伴い生理的緊張なども引き起こされる。そこで不安と拮抗する弛緩反応を訓練形成することにより、条件刺激と不安反応の間の連結を弱め、断ち切ることが出来る。拮抗反応形成により、不安に基づく元の悩みは形を変え解消されるとする療法。

※行動療法の中でよく用いられる。

▼ 2: 自律訓練法の進め方
安心感、重量感、温感、心臓調整、呼吸調整、腹部調整、 頭部調整の順で進行する。1つの公式が十分に出来るようになってから次の段階へ進むことが必要である。

【キーワード】
●自律訓練法
●シュルツ
●ルーテ
●弛緩療法
●拮抗反応

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心理療法 010 催眠療法

■ 8: 催眠療法 hypnotherapy ■

▼ 1: 催眠療法とは
催眠療法とは、催眠現象を利用した心理療法。18世紀後半のメスメルの動物磁気療法から、眠現象を原型にして開発。現在の催眠療法は、暗示催眠療法、リラックス催眠療法、イメージ催眠療法の3つに分類される。

▼ 2: 催眠
催眠現象は、トランスと呼ばれる。この催眠状態では、通常とは違った特異な意識状態(変性意識の状態)であり、被暗示性(暗示へのかかりやすさ)が強まる。その結果、覚醒時に比べ、運動や知覚、記憶、思考などの異常性ないし非現実性が容易に引き起こされるようになる。

▼ 3: 催眠への治療的意義
温かく保護的な雰囲気のもとで、不安や苦痛のカタルシスが行われやすく、生理学的に催眠性トランスとされる状態そのものが、生体の心身に自然に備わっている自己回復機能を促進する。イメージや夢をはじめ、精神分析や行動療法などのアプローチを容易かつ効果的に進めるための「場」が提供され、治療的な操作もいっそう容易となる。
 
【キーワード】
●メスメル
●トランス
●カタルシス
●特異な意識状態
●被暗示性
●自己回復機能
 

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心理療法 009 行動療法

■ 7: 行動療法 behavior therapy ■

▼ 1: 概念
行動療法とは、1950年代から60年代にかけて台頭した治療理論・治療技法である。行動療法では、問題行動、不適応行動の発生・持続を学習心理学の立場から捉え、学習心理学の原理や技法により改変しようとする。

1959年にアイゼンクは、統一された治療法の概念として行動療法を提案。何人もの研究者によって行われた、行動に関する実験的な研究や分析方法や、それから導き出された理論や方法が臨床に導入された始められたものであり、最初から多様な治療法の集団といえる。

※行動療法と精神分析などのセラピー(カウンセリング)は全く別物である。その顕著な例として、行動療法では「無意識」の存在を認めていない。

※現在の心理療法の流れは、明らかに「行動療法」に傾いている。いわゆる正統派精神分析の先は暗い。

▼ 2: 治療の進め方
問題が改善されるにはどの行動が、どのように変わればよいのか、どんな行動を学習すればよいのか、という見方をしながら治療を進める。

▼ 3: 適応領域
適応領域は、ないと考えられるほど広範囲。不安障害、気分障害、統合失調症、物質情動障害、老年期精神障害、摂食障害、行為障害、注意欠陥・多動障害、自閉性障害、知的障害など。

【キーワード】
●行動療法
●学習心理学
●アイゼンク

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心理療法 008 心理劇(サイコドラマ)

■ 6:心理劇(サイコドラマ) psychodrama ■

▼ 1: 心理劇の特性
心理劇はモレノによって考案された、ドラマ形式を用いた集団心理療法。心理劇は、精神病院、教育施設、地域保健活動、治療者のトレーニングなど幅広く適用されている。対象も、障害者、健常者、治療者と幅広い。心理劇は、あらかじめ決められた筋書き通りに劇が進められていくのではなく、診断的・治療的な目的のもとに、即興的・自発的に、参加者がある役割を演じるという劇的な方法を用いて行われる。

▼ 2: 理論的背景
心理劇の目的は、カタルシスと自発性である。役割を演ずることで、日常生活場面では経験できないこと、自己のテーマ、ドラマを心理劇の中で経験・表現することが出来る。それにより、洞察やカタルシスを得る。

自発性は、ドラマ的状況(葛藤や危機など)に遭遇した時に、その人の内面に突然生じる葛藤や危機を克服させる力、様々な状況に即応して、適切な行為を遂行する力のこと。日常生活の中で埋没している自発性を引き出し、新しい自分の行き方を発見することが出来る。

▼ 3: 心理劇の手順
ウォーミング・アップ(自己紹介)、ドラマ、ドラマの終結、話し合い。

▼ 4: 心理劇の技法
相手の立場から自分を客観的に眺めることが出来る役割交換、他のメンバーや治療者が演ずる補助自我が主役の分身となって援助する二重自我などがある。

【キーワード】
●心理劇
●カタルシス
●自発性
●役割交換
●二重自我

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心理療法 007 フォーカシング

■ 5: フォーカシング focusing ■

▼ 1: フォーカシング
ジェンドリンが開発した心理療法および自己理解のための方法。ジェンドリンはクライエント中心療法の創始者ロジャーズの共同研究者。ジェンドリンは、体験過程が何らかの形で表現されることは自己を知るうえで重要なことであり、その意味を知る過程が、自己を形成し発展させるものであるとした。

1つの感情は多くの意味を含んでいる。これは無意識とか抑圧とかではなく、言語化することで意識化可能となる。この過程を1つの治療技法として取り入れようとしてジェンドリンは、フォーカシング技法を発展させた。

▼ 2: 体験過程
「気持ち」は今、生じている身体の感じとして体験される。この身体の感じはイライラしているときの腹部に感じられる圧迫感や、悲しいときの胸の詰まった感じなどで、単なる肩こり、頭痛といった身体感覚とは異なる。これはフェルト・センスと呼ばれる。また、体験的変化はフェルト・シフトと呼ばれ、過程的に変化する体験過程の中でフェルト・シフトを引き起こすことを目指していく。
 
【キーワード】
●フォーカシング
●ジェンドリン
●体験過程
●フェルト・センス
●フェルト・シフト

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心理療法 006 エンカウンター・グループ

■ 4: エンカウンター・グループ encounter group ■

▼ 1: エンカウンター・グループ
自己成長を目指す集中的グループ体験であり、ロジャーズの理論と実践に基づくグループ。ロジャーズらは、1946年以来カウンセラーの訓練に集中的グループ経験が有効であることに気づき、ワークショップでそれを用いるようになった。グループは非指示的に運営されるものから支持的に運営されるものまで多様である。

▼ 2: 方法
参加者7から20名の参加者とファシリテーター。1セッションを3時間とし、1日3セッション、1泊2日から5泊6日で通常30時間以上の集中グループ体験を経験。通常、合宿形態をとる。場所は、原則としてセミナーハウスなど日常生活から離れたところを使う。

【キーワード】
●エンカウンター・グループ
●ロジャーズ
●ファシリテーター
●合宿形態

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心理療法 005 クライエント中心療法

■ 3: クライエント中心療法 client-centered therapy ■

▼ 1: 定義
ロジャーズにより創始された心理療法で、初期には非指示的療法とよばる。それまで主流だった精神分析に対し「指示を与えない」という点が大きな特徴である。1951年に自らの立場をクライエント中心療法と名付ける。

クライエント中心療法は、人間の成長と変容に対する、絶えず継続的に発展しつつあるアプローチである。問題の解決法を一番よく知っているのはクライエント自身であるとし、それ故クライエントに何かを教える必要はない。

クライエントが、援助する人間(セラピスト)の「真実さ」、「配慮」、「感受性豊かで評価しない理解」を体験すれば、クライエントは本来の力を十分に発揮し、問題を解決するとした。

▼ 2: 理論体系

□ 2-1: 実現傾向
生体を維持し、強化する方向に全能力を発展させようとする傾向。どんな虫・動物・植物でも生に向かい努力することと同じ。

□ 2-2: 自己実現の傾向
人間のもっとも深いところで、発達・分化・協力など建設的に向かう傾向。依存から独立へ、単純で固定的な自己規制から、複雑で流動的な自己へと展開する。

▼ 3: 治療的パーソナリティ変化の必要十分条件
 1.二人の人が心理的に接触をもっている
 2.クライエントは不一致、不安な状態にある
 3.セラピストは一致し、統合された状態にある
 4.セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的な配慮を経験している
 5.セラピストはクライエントを理解し、それをクライエントに伝達しようと努めている
 6.クライエントは、自分に対するセラピストの無条件の肯定的な配慮と感情移入的な理解を、少なくとも最小限度は知覚している

【キーワード】
●ロジャーズ
●非指示的療法
●クライエント中心療法
●人間の成長と変容
●実現傾向
●自己実現の傾向
●パーソナリティ変化の必要十分条件

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心理療法 004 夢分析

■ 2: 夢分析 dream analysis ■

▼ 1: フロイトの夢分析
クライエントの夢から連想と象徴解釈に基づいて夢判断を行う。夢の中の抑圧された願望を夢解釈によって解釈する。夢の中では無意識の表象が表れてくるが、意識が受け入れられないものは選別され、夢を形成するものとなる。検閲の機能によって受け入れられないものは歪曲され、それが集合体となって夢を形成する。

▼ 2: ユングの夢分析
フロイトが夢を無意識へいたる手がかりとしてしか考えてなかったのに対し、ユングは夢を無意識の心の表現であると考えた。ユングにとって無意識は意識に対する秘密のこころが隠蔽されているだけでなく、無意識そのものが主体性と自立性をもち、豊かな内容と活動性を持った存在である。無意識は意識に対してメッセージを送り、意識の発展と安定を図ろうとしていると考えた。

【キーワード】
●連想
●象徴解釈
●夢分析
●夢解釈
●検閲
●心の表現
●主体性
●自立性
●意識へのメッセージ

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心理療法 003 精神分析療法

■ 心理療法の種類 ■

■ 1: 精神分析療法 psychoanalytical therapy ■

▼ 1: 精神分析療法の定義
フロイトの創始した心理療法。広義には寝椅子や自由連想法などを採用しない精神分析理論を採用した心理療法のこと。治療関係にあってクライエントは自らの現在と過去の生活体験、およびそれに関する現象を想起し陳述する。

内容は、クライエントの親子関係と性的感情についてのことが多い。想起に対しては抵抗が伴い、クライエントの想起された過去はクライエントとセラピストの治療関係そのものの中に再現される。

セラピストによって再現されたものの意味連関が解釈され、クライエントは自己の問題を解決する手段を手に入れる。それにより自己の生活を再構成し、生活の中に新たな安定した位置を獲得する。

 ・現在の話(親子関係・性的感情)
 ・抵抗と転移
 ・解釈と洞察
 
 
▼ 2: フロイトの精神分析技法

□ 1: 初期技法の時代
催眠術の比重が大きい。その後、自由連想法が確立される。それにより抑圧、抵抗という現象が明確に把握されていく。

□ 2: 無意識内容の解釈の時代
自由連想法の確立と抑圧の発見によって、無意識の世界の探求への道が開かれる。エディプス・コンプレックスなどの存在を発見し、それを生活体験の意味関連との関係において解釈し、クライエントに洞察させることにより、治療は完結するものと確信する。

※抑圧とは
代表的な防衛機制で、感情や思考、記憶を意識から締め出そうとする無意識の働き。本能や衝動を伴うものは、絶えず意識に上ろうとするが、抑圧によって無意識的なものに留まる。しかし抑圧される内容は、いい間違い、夢、症状などにより出現する。

□ 3: 力動的解釈の時代
セラピストの解釈の焦点は、想起されるべき過去の内容のみならず、想起しているクライエントとセラピストとの治療関係そのもの(すなわち抵抗と転移)へと当てられる。

※力動的解釈
行動的・心理的事象を動機、欲求、情緒、意思などの心的機能の結果として説明しようとする立場。心理的事象間の因果関係の解明を重視する。

□ 4: 攻撃感情への対処の時代
陰性感情転移への対応が主要な関心事となった時代。自我・超自我の概念の形成する。

【キーワード】
●自由連想法
●精神分析理論
●自らの現在と過去も生活体験
●想起・陳述
●再現
●意味・解釈
●洞察
●催眠術
●エディプス・コンプレックス
●抑圧
●力動的解釈
●抵抗と転移
●陰性感情転移
●自我・超自我
 
 
▼ 3: 新フロイト派
新フロイト派は精神分析諸学派の中ではフロイトに対して一番批判的な立場をとる。フロイトのリビドー論に基づいた小児性欲論・生物学的還元論と心的決定論を否定し、個人が生きる文化的要因と個人の相互作用を重視した。

フロム、ホーナイ、サリヴァンなど1930年代から40年代にかけてのアメリカの一群の精神分析家らを指す。
 
 
▼ 4: 自我心理学
自我を心理学における根本的な事実として、人間の経験や行動の理解や説明の中心におく心理学。大きくは、意識心理学的自我心理学と精神分析学的自我心理学の2つに分類される。

□ 1: 意識心理学的自我心理学
代表者はコーキンズ。心理学は意識的な自我についての科学であり、人間の自我は代用できず人間の存在は結局自我なので、自我心理学だけが人間の心理を取り扱いうるものであるとした。

□ 2: 精神分析学的自我心理学
フロイトの精神分析の中で、自我の力は弱く独自性があるとはいえない。その自我を重視したのがアンナ・フロイトであり、自我心理学を確立したのがハルトマンである。

自我は当初から独立した自律性を備えていると考え、その積極的機能に着目し、自我に中心的な役割を与えた。フロイトが仮定した心的装置イド、自我、超自我のうち、特に自我の重要性を強調する学派。

マーラー、スピッツ、エリクソンなどがこの学派に入る。

【キーワード】
●新フロイト派
●フロム
●ホーナイ
●サリヴァン
●自我心理学
●意識心理学的自我心理学
●コーキンズ
●精神分析学的自我心理学
●アンナ・フロイト
●ハルトマン
●自我の自律性
●積極的機能
●マーラー
●スピッツ
●エリクソン

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心理療法 002 心理療法における諸問題

■ 心理療法における諸問題 ■

▼ 1: 転移の発見
転移とは、治療者と患者の相互関係のことであり、フロイトにより発見される。フロイトは精神分析療法がある程度進むと、患者は治療者に対して愛情、賞賛、憎悪、不信といった強い個人的感情を向けてくることを経験した。しかも、それらは非合理的反応であり、原始的な仕方で表現される。

この現象に突き当たったフロイトは、患者が幼児期に重要人物(特に両親)に向けていた感情やイメージを、現在の治療状況の中で治療者に表現しているものと考え、これを感情転移と名づけた。

□ 1: 転移とは
(感情)転移とは患者から治療者に向けられるもので、患者が本来過去の重要な人物に向けるべき感情を治療者に向けてしまう現象である。転移は、対象へ近づこうとする肯定的で親近的な感情を伴う陽性転移と、対象を回避しようとする否定的で拒否的な感情を伴う陰性転移の2つに分けられる。

□ 2: 逆転移とは
逆転移とは、患者に対して引き起こされる治療者側の感情反応のことである。例えば、治療者が母親コンプレックスを抱いていると、同じように母親との関係でつまずいている患者には、自分の問題と重ねて必要以上に同調したり、反対に自分の問題に触れることを避けて防衛的になったりする。教育分析の必要性が説かれるものも、逆転移の弊害から免れるためである。

※教育分析とは
精神分析学の概念で、精神分析家になるため受ける分析のこと。自らの無意識的葛藤や抑圧されている問題を理解することが目的である。

※転移と逆転移
転移:クライエント(患者) →感情 →セラピスト
逆転移:セラピスト →感情 →クライエント(患者)

【キーワード】
●転移
●非合理的反応
●原始的
●過去の重要な人物
●感情
●陽性転移
●陰性転移
●逆転移
●教育分析
 
 
▼ 2: 共感
セラピストはまずクライエントを理解しなければならない。クライエントにとってこの理解されるという体験によって対人的な安全感が増し、治療促進的な場を作り上げることが出来る。クライエントの理解する方法は、知的な理解と体験的な理解の2つがあるが、共感は後者である。

体験的な理解とは、セラピストが自分自身の内的な体験(情緒を加えて)を通して、クライエントを理解することである。クライエントが感じていることを自分自身の中に移し変え、クライエントの内的世界と似た世界を自分の中に創り出していく。広範にはクライエントの内的状態をセラピストが体験的に把握することであるが、それは客観的・知的理解と機能的な調和をもつことにより意味をなすといえる。
 
 
▼ 3: 制限

□ 1: 面接時間
基本的に50分。患者が約束の時間に遅れても、時間は基本的に延長されることはない。

□ 2: 場所
面接室、プレイルームが使われる。場所も限定され、基本的に面接中は出入り禁止。時間と場所を特定化することで、面接の時間と場所が患者にとって安全で保護された空間、時間となりうる。また、心的交流が成り立つためには、現実的・物理的な構造条件が必要。

□ 3: 料金
患者は料金を払うことで、面接の時間を自分の時間だと感じることができる。自分の時間であるという感覚は、面接室での治療者に対する不満、否定的な感情を表現しやすくなる。

【キーワード】
●共感
●体験的な理解
●情緒
●クライエントの内的世界
●構造条件
 
 
▼ 4: 抵抗
抵抗とは、心理療法の過程でクライエントに見られる現象で、援助を求めながらも治療に反対しようとすることである。精神分析治療においては、無意識への到達を妨げるようなクライエントの全ての言動のことを指す。

一般には、面接によって無意識の欲望をあらわされることへの恐怖や心理的不快感から、連想過程や分析者の解釈、ひいては治療そのものに対して敵対的・拒否的になることである。遅刻、キャンセル、沈黙、話題の固定、話題の回避などがそれに当たる。

抵抗の分析は、特定の防衛の用いられ方や起源・発達を明らかにするものとし、転移の分析と共に精神分析療法において中心的な位置を占める。
 
 
▼ 5: 治療同盟
治療同盟とは、治療者・クライエント関係の中で、治療という共通の目的のために両者が手を組んでいる部分を示す構成概念である。

「やっていこう!」と契約を結ぶこと。
 
 
▼ 6: 治療構造論
治療構造論とは、時間、場所、治療形態などのセットのこと。ある病態に応じて処方されるべき手続きの全体を治療構造と呼ぶ。どのような契約を結び、構造を決定するかは治療対象や目標により異なるが、この治療構造はその後の治療者とクライエントの治療過程そのものを規定するため非常に重要。
 
 
▼ 7: 行動化(アクティング・アウト)
言語化を基礎とする心理治療において、無意識の衝動、記憶や態度や葛藤が言葉によらずに行動で表現されることを行動化と呼ぶ。狭義には精神分析の用語であるが、広義には、治療過程との関係なしに葛藤を外在化する行動一般を指す。自殺、自傷、他者に対する危害など。

【キーワード】
●抵抗
●無意識への到達を妨げる
●治療同盟
●治療構造論
●行動化
 
 
▼ 8: 心理療法におけるスーパービジョン
臨床心理士を志す人には、優れた専門的技術を持ち人間的修行につき合える指導者の存在が必要。スーパービジョンを受ける際の指導者をスーパーバイザーと呼び、被指導者をスーパーバイジーとよぶ。

【キーワード】
●スーパーバイザー
●スーパーバイジー
●スーパービジョン

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心理療法 001 心理療法について

■ 心理療法について ■

■ 1: 面接 ■

▼ 1: インテーク面接(受理面接)
クライエントに対して初めて行われる面接を受理面接、初回面接とよぶ。クライエントがどのような主訴・問題を抱えているかを把握し、それに対してどのような援助が最適であるかを判断する。クライエントに関する資料を収集することと、心身両面にわたり最良と思われる治療方針を決定することが、インテーク面接の目的である。

※主訴とは
インテーク面接におけるクライエントの主要な訴え。

※インテーク面接
インテーク面接は、はじめての面接のこと。問題を把握し、援助方針の決定を行なう。

▼ 2: 並行面接
並行面接とは、1人の治療者が来談者の面接を継続するのと並行して、別の治療者がその当人と関わりの深い人物を面接すること。一般的に人間関係が濃密な家族を対象とすることが多い。

▼ 3: 合同面接
合同面接は、治療場面に家族や配偶者を加え出席者全員に対して面接に当たる形態をとる。家族全体あるいは夫婦を対象とし、合同療法として行われる。

▼ 4: 訪問面接
問題のある児童・生徒らが居所としている特別な学級・病院・施設に出向いて面接・教育を行う。また、教師又は専任のカウンセラーが怠学・不登校などの児童・生徒に対し、家庭に訪問するといったことも行われる。

【キーワード】
●インテーク面接
●受理面接・初回面接
●主訴
●平行面接
●合同面接

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臨床心理学各論 029 摂食障害

■ 摂食障害 ■

▼ 1.摂食障害とは
DSM-Ⅲにおいて、不食(anorexia)、過食(bulimia)、異食(pica)の3つに分類されている。臨床的に異食はマレ。

拒食・やせが中心である神経性食欲不振症(神経性無食欲症)と過食・嘔吐が中心である神経性過食症(神経性大食症)とに大別される。過食症は拒食症からはじまり、移行していくことが多い。

※異食症とは
食べ物として適当でない物を口に入れる行為。幼児に多く見られる。心理的要因としては、ストレスによる心因反応やそれが習慣化した神経性習癖。
 
▼ 2.特徴
拒食症は、一般的にダイエットをきっかけとして食物をとらなくなり、期待される体重の極度に痩せていく(期待される体重の85%以下の体重が続くような体重減少)。体重の減少に伴い、月経の停止・血圧の低下など多くの身体症状が出現する。

本人に痩せているという自覚がないことと、極度な痩せにも関わらず過活動を示すことが特徴的である。過食の後、後悔の念にかられ、下痢の服用や嘔吐をするものも多い。

▼ 3.原因
母子のいずれか、あるいは双方の問題から生じた母親から子供への母性(あるいは女性性)の受け渡しの失敗。患者の9割以上は女性。前景として、母親からの愛情不足や親との葛藤からくる成熟拒否。

□ 1.家族の特徴
本人は、従順・内気、完璧主義・脅迫的、気は小さいが負けず嫌い、ずっとよい子といった特徴を持つ。

母親は、過保護・過干渉、しっかり者で世話焼きタイプ、自分の気持ちを子供に押しつけがち(母と子の境界が消失)といった特徴を持つ。

父親は、非常に仕事熱心でまじめなタイプ、家にいる時間も少なく家族との関わりも希薄といった特徴もある。しかし逆に、活動的で家族に対して支配的である人も。

他に、痩せを美徳とする文化的要因も考えられる。

▼ 4.治療
内科的なものから精神的なものまで広がりがあるので、入院治療が望ましい。拒食症の場合、点滴による栄養補充は不可欠。ある程度体重が戻ってくると病識(自分が病気であることに気がつく)が出てくる。

心理療法では、病初期にさかのぼってこころの奥底に入り込んでいく方法には非協力的な場合が多いので、患者との信頼関係の確立を優先し、その上で認知行動療法や指示療法を行っていく。

一般的に背景には家族の問題があるため、患者の家族も呼び、家族療法も行われる。薬物療法では、食欲増進剤、抗うつ剤、抗精神病薬などが用いられる。

【キーワード】
●神経症無食欲症
●神経症大食症
●母性の受け渡し失敗
●入院治療
●病識の回復

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臨床心理学各論 028 カーンバーグの人格構造論

■ カーンバーグの人格構造論 ■

カーンバーグの人格構造論は、

 ・自我同一性統合の程度
 ・常用される防衛規制
 ・現実検討能力の差

によって病体水準を3つに分けて捉える。

病態水準とは、精神分析理論に基づいて精神病理を理解しようとする考え方。これは症状に基づき疾患として診断する立場とは全く異なる。

※症状を問題の程度で並べると以下の順になる。
 ・神経症人格構造(軽度)
 ・境界人格構造(中度)
 ・精神病人格構造(重度)

▼ 1.神経症人格構造
自己表現と対象表象が区別され、かつ矛盾した側面をも統合したもの。

抑圧、反動形成、隔離、打ち消し、合理化、知性化などの高度の防衛によって内的葛藤を防衛しており、その葛藤の解釈によって心的機能は改善が期待される。

自己と非自己、内界由来と外界由来のものを区別でき、自己と他者を現実的に評価できる。

▼ 2.境界人格構造
自己表象と対象表象は区別されているが、再構成され矛盾する側面が分裂。

良い対象と悪い対象が2極化されてしまう。分裂(splitting)を中心として理想化、投影同一化、否認、万能感、価値引き下げなどの原始的防衛が用いられているが、その解釈によって心的機能は改善が期待される。

現実との関係および感情は動揺する。

▼ 3.精神病人格構造
自己表象および対象表象の境界は失われがちで、妄想的な同一性が行われている。

防衛規制は原始的で解体と自己-対象融合から防衛している、

精神分析的解釈は退行を生じさせるため禁忌。現実検討能力は失われている。

【キーワード】
●神経症人格構造
●境界人格構造
●精神病人格障害

▼ 4.追加
境界性人格構造の特徴

得意な構造的特徴としては次の3つ。

▼ 1.自我の統合の障害
対象表象が分裂しており、同時にそれゆえ自己表象も分裂している
※対象表象は、対象に対するイメージのようなもの。対象に対するイメージが分裂しているため、それに従い自己表象(イメージ)も分裂している。

▼ 2.得意な防衛機制
分裂、投影制同一視、原始的理想化、脱価値化、否認など

1.投影性同一視
悪い攻撃的な自己と、対象から生まれる破壊性から、よい自己対象関係を守るための機制であって、本来は自
分の内部にある攻撃性が、あたかも他者からやってくるかのごとくに体験する構造をとる。

2.原始的理想化
外界の対象の悪い部分をみないようにして、対象とのよい関係を維持しようとの機制である。過剰におだて上
げ、過剰にへりくだり、相手を過剰に高く評価する。そして自身はそれにひれ伏し、帰依しようとする。

3.脱価値化
相手の価値を貶め、過剰に低く評価することである。

4.否認
それを認めてしまうと不安を引き起こすようなことを認めないでおく規制である。抑圧との違いは、抑圧が内的欲動や現実、願望などを意識から排除する働きであるのに比べて、否認は一方で外的現実を知覚していながら、他方でその知覚を否定するところにある。

▼ 3.現実検討力の維持

▼ 4.自我の脆弱制
不安耐性の欠如、衝動コントロールの欠如、発達した昇華経路の欠如。

▼ 5.超自我の統合不全
超自我と理想自我が統合されることなく別々に存在するため、超自我は非常に厳しく、サディスティックな性質を帯びる。そこで未熟なままの理想自我は、現実的な理想を生み、自我が現実的な目標をつくれない。よって現実的な対象関係ができにくく、対象の正しい評価、対象からの学習もできない。超自我が人格発達の有効な力を発揮できないのである。

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臨床心理学各論 027 人格障害・DSMによる分類

■ 人格障害・DSM-Ⅳによる分類 ■

DSM-Ⅳでは、人格障害に3種の大カテゴリーとその下に10の人格障害を認めている。

■ 1: A群人格障害(3種類) ■
奇妙で風変わりな群、対人関係からの引きこもり・奇妙な話と態度が特徴。

▼ 1.妄想性人格障害
他人の動機を悪意あるものと解釈するといった広範な不信と疑い深さが、成人期に始まり、様々の状況で明らかになる。

 ・他人に対する不信感
 ・他人に対する疑い深さ
 ・自己評価に過敏

▼ 2.分裂病質人格障害
社会的関係の遊離、対人関係状況での感情表現の範囲の限定など広範囲に現れる。

 ・人と関わることを好まない
 ・自分の評価を気にしない
 ・対人場面で喜怒哀楽が乏しく冷たい

▼ 3.分裂病型人格障害
親密な関係で急に気楽でなくなることと、そうした関係を持つ能力の減少。認知的または知覚的歪曲と行動の奇妙さの目立った社会的および対人関係的な欠如の広範な様式。

具体的には変な信念、異質な知覚体験、奇妙な話し方と考え方、疑い深さ、親しい友人がいない、などの特徴が指摘されている。以前は精神病質、異常人格などと呼ばれていた障害。

 ・奇妙な空想や迷信深さ
 ・親しい関係を続けることが困難
 ・対人場面で過剰な不安

【キーワード】
●妄想性人格障害
●分裂病質人格障害
●分裂病型人格障害
 
 
■ 2: B群人格障害(4種類) ■
劇的で感情的、移り気を特長とする。

▼ 1.反社会性人格障害
集団や社会の秩序を無視し侵害する。犯罪者に多い。非社会的行動に比べ、積極的・攻撃的な行動として出現し、行動が人物などの対象に向かう。

 ・違法行為を繰り返す
 ・人をだます
 ・衝動性があり計画性がない
 ・怒りっぽく喧嘩っ早い

▼ 2.境界性人格障害
従来の境界例を受け継ぐ形で定められた人格障害の概念。激しい怒りや抑うつ(慢性的な空虚感)、焦燥などの著しい気分の変動が前景にあるのが特徴。対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性を備える。周囲の人間の感情を強く巻き込む。

 ・理想化とこき下ろしの両極端な対人関係
 ・不安定な自己像と空虚感
 ・不安定な感情・気分
 ・過剰な身捨てられ不安

▼ 3.演技性人格障害
過度な情緒と人の注意を引こうとする。

 ・常に注目の的になっていようとする
 ・芝居がかった態度
 ・感情は浅薄で移ろいやすい

▼ 4.自己愛性人格障害
誇大性、賞賛されたいという欲求、共感の欠如。

 ・自分が特別
 ・対人関係で相手を不当に利用
 ・尊大で傲慢な態度

【キーワード】
●反社会性人格障害
●境界性人格障害
●演技性人格障害
●自己愛性人格障害
 
 
■ 3: C群人格障害(3種類) ■

不安で心配の強さを特長とする。

▼ 1.回避性人格障害
人から悪く評価されること、批判されることに対するおびえや傷つきやすさなど、対人関係上全般的な不安をもつ。そのため人間関係や社会的、職業的活動を避けるなどの回避行動がみられる。

しかし、内面では人と関わりたいという気持ちがある点が、分裂病型人格障害と異なる。社会的生死、不適切感、および否定的評価に対する過敏性を備える。

 ・社会的制止、不適切感、否定的評価に対して過敏
 ・引っ込み思案

▼ 2.依存性人格障害
世話をされたいという広範で過剰な欲求があり、そのため従属的でしがみつく行動をとり、分離に対する不安を感じる。女性より男性に多いとされる。

 ・分離不安が強い
 ・拒まれることを恐れ不快なことを進んでする

▼ 3.強迫性人格障害
秩序、完全主義、精神面および対人関係で統制にとらわれ、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる。

 ・秩序、完全主義にとらわれ効率を犠牲にする
 ・娯楽や対人関係を犠牲にして仕事する
 ・道徳、倫理に過度に誠実で融通が利かない
 ・頑固

【キーワード】
●回避性人格障害
●依存性人格障害
●強迫性人格障害

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臨床心理学各論 026 人格障害

■ 人格障害 ■

人格障害(personality disorders)のDSM-Ⅳによる定義は、以下の通り。

 ・その人の属する文化から期待されるものから著しく偏った内的体験および行動の持続的様式で
 ・その様式は以下の2つ以上のよう領域に表れる
 ・認知(自己、他者、出来事を知覚し解釈する力)
 ・感情性(情動反応の範囲、強さ、不安定、および適切さ)
 ・対人関係機能
 ・衝動制御

 ・その持続的様式に柔軟性がなく、広範囲にみられる
 ・その持続的様式により、臨床的な著しい苦痛
 ・または社会的・職業的な機能の障害を引き起こす

 ・その様式が小児期早期または青年期から長期間続いている
 ・その様式は、精神疾患の症状でも後遺症でもない
 ・その様式は、薬物や一般的身体疾患によらない

つまり、思考・判断・行動が普通の人間に比べ特徴的でズレており、そのことで周りや本人が悩んでいる状態。加えて、現在の知識では疾患とはいうことができず、人格面の障害であるとしか判断できない状態をいう。

【キーワード】
●人格障害
●内的体験・行動の持続様式
●広範囲
●社会的・職業的な機能障害
●疾患とはいえない

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臨床心理学各論 025 気分障害・成因と治療

■ 気分障害の成因 ■

複数の要因の関与を考えなければならない。ここでは生物学的要因、心理学的要因、社会的要因の3つについて説明する。

▼ 1.生物学的要因
家族研究や双生児研究から、何らかの遺伝的要素が関与していると考えられる。

生化学的仮説、セロトニン仮説など。

▼ 2.心理的要因(性格特徴)

□ 1.躁うつ病・循環気質(クレッチマー)
循環気質あるいは同調性性格ともいう。人付き合いがよく、気がいい、親切で親しみやすいことを性格基調とする。

朗らかでユーモアに富み、元気で激しやすいという軽躁傾向と、静かで、落ち着き、ものごとを苦にしやすく、感じやすいという軽うつ傾向を備える。

□ 2.うつ病・執着気質(下田)
一度生じた感情が長く持続し増強する点を基本的特徴とする。

強い義務責任感、仕事熱心、徹底的、熱中的、几帳面、凝り性、正直などがみられる。

□ 3.うつ病・メランコリー親和型性格(テレンバッハ)
几帳面、対他配慮を本質的特長とする。

秩序を愛し、秩序と一体感をもつことを生活の基本原理とし、仕事面の堅実さのみならず私的な対人生活においても他人への配慮を怠らない。義理を重んじ、人と争わず、人の思惑を気にし、人に頼まれると断れない弱気な一面をもつ。

生活の秩序が脅かされると、メランコリー親和型の本質的特徴に含まれる自己矛盾が急激に進行し、前うつ状態からうつ状態へと追い込まれる。

□ 4.誘因(状況因)
発病に先だって特徴的な出来事がみられることもマレではない。

誘因としては、転勤(転任、転職、昇任、就職を含む)、子女の結婚・婚約・留学、家族成因の移動(死亡、別居、誕生同居人の増減など)、生命に関わらぬ程度の身体疾患(負傷)、負担の急激な増加・軽減、出産(ホルモンバランスの変化)、居住地の移動・改変、愛着する事物ないしは地位・財産の損失などがある。

▼ 3.社会的要因
地方から都市への人口集中、核家族化、個室中心の生活、寄るべき権威像の消失。執着気質やメランコリー親和型性格の人間の破綻か。

【キーワード】
●遺伝的要素
●クレッチマーの循環気質
●同調性性格
●下田の執着気質
●持続増強する感情
●テレンバッハのメランコリー親和型性格
●秩序
●誘因


■ 治療 ■

原則として外来で行われるが、自殺の危険のある時などは入院がよい。治療は、薬物療法と精神療法が主である。 

【キーワード】
●外来
●薬物療法
●精神療法

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臨床心理学各論 024 気分障害・躁状態

■ 気分障害・躁状態 ■

躁病の基本症状は

 ・生命感情の高揚
 ・生命力の高ぶり

の2つ。重症の躁状態では、周囲に迷惑をかけたり、治療に拒絶的なため入院する場合が多い。

※ハイテンションでうっとうしい状態。

▼ 1.症状
爽快な気分、抑制が外れる、自信過剰、観念奔逸、疲れを感じない、怒りっぽくなる、注意散漫、睡眠時間の減少、性欲亢進などの症状がみられる。

▼ 2.病型
気分障害は双極性障害とうつ病性障害(単極生うつ病)の2つに分けられる。双極性うつ病は躁とうつの2つの病相をもつものをいい、うつ病性障害はうつ病相だけを示すものをいう。

【キーワード】
●生命感情の高揚
●生命力の高まり
●単極生うつ病
●双極性うつ病

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臨床心理学各論 023 気分障害・うつ状態

■ 気分障害・うつ状態 ■

うつ病の基本症状は

 ・生命的悲哀
 ・生命的制止

であり、その他、離人、不安、絶望などの精神症状と、自律神経・内分泌障害を中心とする身体症状によって病像が彩られる。

▼ 1.精神状態
はっきりした原因なしに気分が憂鬱になる抑うつ気分(depressive mood swing)が感情障害の基調をなす。

その他、おっくう・面倒くさいと感じる抑制(inhibition)、不安・焦燥(anxiety and agitation)、自信の喪失(lose of selfesteem)、自責感・罪責感(self-reproach)などがある。

妄想(delusion)は微小妄想が主で、罪責妄想(delusion of guilt)、貧困妄想(delusion of poverty)、心気妄想(hypochondriacal delusion)の3つがが認められる。ただし、一過性で被害妄想が現れるときもある。

抑うつ気分などの症状が、朝の覚醒時は悪く、午後から夕方に向けて改善する日内変動が認められる。うつ病の抑うつは、神経症の抑うつに比べ日内変動や生命的悲哀感が認められ、何らかの誘因(主に喪失体験)を欠くことが特徴である。

▼ 2.身体症状
睡眠障害はほとんど必発する重要な症状。睡眠障害(sleep disturbance)は、過眠(hypersomnia)、不眠(insomnia)に大別される。

不眠はさらに寝付きにくい入眠障害、すぐに目が醒めてしまう熟眠障害、3時・4時に目が覚めてしまう早朝覚醒の3つに分けられる。

その他、食欲不振(loss of appetite)、性欲低下(loss of sexual desire)、体重減少、その他(いわゆる自律神経失調症的症状)が認められる。

※季節性うつ病
冬季のみ抑うつ症状、過眠が起こる。春になると元気になり夏期は軽繰うつ状態(光を制限するとよくなる)。光源療法が効果的、緯度の高いところに住む人に多く、緯度の低いところに行くと治る。

※仮面うつ病
精神症状を訴えず、身体症状を全面に出して訴える。注意深く聞くとうつ病だと判明する。

【キーワード】
●抑うつ気分が感情障害の基調
●抑制
●妄想
●睡眠障害

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臨床心理学各論 022 気分障害

■ 気分障害 ■

気分の高揚ないしは抑うつといった気分変化を優勢な症状とする精神障害。

▼ 1.定義
原因的には内因性の精神障害で、「感情(ないしは気分)の動揺」を中心とする一定の症状を呈し、その経過は相性、周期性があり、後に何らかの精神的欠陥を残さない。

・内因性の精神障害
・感情の動揺
・相性・周期性
・精神的欠陥はない

精神病レベルのものから軽い非精神病レベルのものまである。

【キーワード】
●気分の高揚と抑うつ
●内因性
●感情の動揺
●相性、周期性
●精神的欠陥を残さない

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臨床心理学各論 021 統合失調症・類型

■ 精神分裂病の類型 ■

精神分裂病は以下の5つの類型に区分される。

 ・解体型(破爪型)
 ・妄想型
 ・緊張型
 ・単純型
 ・残遺型

▼ 1.解体型(破爪型)
「破爪」とは思春期の意味。必ずしも思春期発症とは限らず、20歳前後から20代中頃までの発症が多い(妄想型は20代後半から30代にかけてと遅い)。

幻覚や妄想は顕著ではなく、あったとしても始終断片的で妄想型のように体系化することはできない。

中心症状は無関心、無為、思考障害、社会生活の不能、奇妙な行動などの陰性症状。社会生活の脱落、感情障害、自閉性は他の型に比べて特別顕著。発症は目立たぬ仕方でゆっくり始まり、慢性的に経過し、途中にみるべく好転なく進むタイプと、途中で残遺型に移行するタイプがある。一般的に予後は不良。

▼ 2.妄想型
妄想主導型で多くは幻覚を伴う。社会性からの脱落・感情障害・自閉性はあまり顕著でない。一見したところ、それほど重い精神病だとわからないことがある。

妄想型の発病は他の型の分裂病と比較して遅く、20代後半から30代、時には40歳前後のこともある。経過としては、人格の崩壊へ至ることも多いが最後までそれほど崩れない場合も多い。妄想型の患者は、寛解期での生活機能が他の型の患者よりも良好である。

▼ 3.緊張型
顕著な精神運動性障害を特徴とする型。緊張病性症候群を呈し、客観症状が派手でよくわかる。幻覚・妄想・作為体験などの体験に圧倒され外界の刺激に対し、適切に反応することが出来ない状態である。

急性に発病することが多く、一端良くなっても繰り返し、やがて人格の崩壊に至ることが多い。発病は破爪型と同様に20歳前後に多いが、今日はそれほど多くない。

▼ 4.単純型
本質的には破瓜型と同じく精神症状が極めて少ない。緩徐な経過を取っていつとなく非現実的で孤独な生活に移行していく類型。

人格障害の精神分裂病質人格障害と区別が付きにくく、独立の病型として単純型を置くかどうかは諸説に分かれる。

▼ 5.残遺型
過去に少なくとも一つ以上の統合失調症のエピソードをもつ型。現在精神病の症状はなく、社会生活の大部分は可能であるが軽度ながら統合失調症の残滓がある。

感情の平板さ、社会的引きこもり、連想のゆるみ、非論理的考え方、いささか常軌を逸した行動など。経過としては、この状態で長年続くタイプと、時々短いエピソードを再現するタイプがある。晩年寛解も。

【キーワード】
●解体型(破瓜型)
●妄想型
●緊張型
●単純型
●残遺型

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臨床心理学各論 020 統合失調症・陰性症状

■ 陽性症状と陰性症状 ■

▼ 2.陰性症状
正常の心理現象にあるはずのものが欠落している症状。

□ 1.情動の平板化・情動純麻
表情変化の欠如、自発的働きの減少、身振りによる表情の減少、視線による表情の減少、情動反応性欠如、場にそぐわない情動、声の抑揚の欠如など。

□ 2.思考の貧困
会話量の貧困、会話内容の貧困、途絶え、返答潜時の延長など。

□ 3.意欲・発動性の欠如
身だしなみと清潔度(だらしなさ)、職業・学校持続性の欠如、身体的不活発など。

□ 4.快感喪失・非社交性
娯楽への関心や余暇活動の低下、性的関心の低下、親密さや親近感を感じる能力の低下(孤立化)など。

□ 5.注意の障害
ぼーっとして、心ここにあらずという状態。

【キーワード】
●陰性症状

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臨床心理学各論 019 統合失調症・陽性症状

■ 陽性症状と陰性症状 ■

陽性症状は通常「みられないもの」が存在し、陰性症状は通常「あるはずのもの」が存在しない状態。

▼ 1.陽性症状
正常な心理状態ではみられない異常な心理現象である症状をさす。

□ 1.幻覚・妄想

□ 2.奇異な行動
奇妙な格好、独語、唐突で奇妙な行動、攻撃的・焦燥的行動、反復的・常同的行動(無意味な動作の繰り返し)などがみられる。

□ 3.(陽性の)思考形式の障害
話題の脱線、的外れの応答、支離滅裂など。

□ 4.場にそぐわない感情

【キーワード】
●陽性症状

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臨床心理学各論 018 統合失調症・主観症状

■ 客観症状と主観症状 ■

▼ 1.主観症状
患者の体験している症状で、本人に聞かないと第三者からはわからない。主なものは以下の通り。

 ・妄想
 ・幻覚
 ・作為思考・影響体験
 
 
□ 1.妄想
妄想とは、絶対的な確信で、なんと訂正されようと訂正不能であり、その内容は多少なりとも現実離れしている誰とも共有されない一人だけの信念。

2人で妄想を共有する共有妄想の場合もマレにある。妄想は一次妄想と二次妄想にわけられる。

▽ 1.一次妄想
心理的な理由なしに不合理な思考が起り、直感的な確信で発生的に了解不能なもの。

以下の3つに分けられる。
 ・妄想気分
 ・妄想着想
 ・妄想知覚

1つ目の妄想気分とは、形を成さない妄想で、周囲が不気味で驚異的に感じられる妄想。世界没落体験として現れることがある。

2つ目の妄想着想とは、突然ひらめき、それを確信する体験。「私は神だ!」と確信する。過去の記憶が突然新しい意味を帯びて思い出される。

3つ目の妄想知覚とは、実際知覚したことに了解不可能な意味が与えられ、強く確信された妄想。「通り過ごしの異性を自分の恋人と思い込む」など。

▽ 2.二次妄想
妄想様観念と呼ばれ、了解可能な動機から生ずる妄想。幻聴や作為体験などを解釈するために生じた一時妄想でない分裂病の妄想や、分裂病以外の疾患にみられる妄想のほとんどがこれにあたる。

【キーワード】
●妄想
●絶対的な確信
●訂正不能
●信念
●一次妄想
●二次妄想
 
 
□ 2.妄想の内容からの分類
妄想は内容的に以下の4つに分けられる。

 ・被害妄想
 ・微小妄想
 ・誇大妄想
 ・その他の特殊な妄想

妄想の内容で一番多いものは、「人が自分に注目し、追いかけ、除け者にし、迫害する」という被害的な内容。

▽ 1.被害妄想(初期に多い)
自分が他者から害を与えられるという内容の妄想を被害妄想という。被害妄想は、以下の4つに区分される。

 ・関係妄想
 ・追跡妄想・迫害妄想
 ・嫉妬妄想
 ・その他

1つ目の関係妄想とは、取るに足らない他人の態度や話が、自分のことを言っていると確信する妄想。

2つ目の追跡妄想・迫害妄想とは、誰かが自分をつけ狙って後をつけてくる妄想。

3つ目の嫉妬妄想とは、配偶者や恋人が浮気をしているという妄想。

【キーワード】
●被害妄想
 
 
▽ 2.微小妄想
自分に対する過小評価を内容とする妄想。抑うつ気分や自我感情低下を背景にしている場合が多い。自分が貧乏になったという貧困妄想、自分は直る見込みのない病気であるという心気妄想などがある。

 ・貧困妄想
 ・心気妄想

【キーワード】
●微小妄想
 
 
▽ 3.誇大妄想
注目されるという確信が、「自分は特別な人間」という確信につながったもの。現実よりも自己の能力、経済力、業績、血統などを現実よりも過大に評価する。自分は高貴な生まれであるという血統妄想。「相手が自分のことを好きだ!」と確信する恋愛妄想などがある。

 ・血統妄想
 ・恋愛妄想

【キーワード】
●誇大妄想
 
 
□ 2.幻覚
外界の刺激がないのにも関わらず、知覚される異常体験で、「対象なき知覚」(エスキロール)とよばれる。

幻覚を示す感覚により

 ・幻視
 ・幻聴
 ・幻嗅
 ・体感幻覚

に分けられる。

精神分裂病のほとんどは幻聴。幻聴とは、自分にだけ他者の声が聞こえる聴覚的な幻覚。被害的な内容のものが多い。誇大的なものも少なくないが、相応の扱いを受けないことで被害妄想に発展することが少なくない。

独語空笑は幻聴に対して応答している状態。

幻聴は、以下の3つに大別される

 ・対話性幻聴
 ・機能性幻聴
 ・要素性幻聴

1つ目の対話性幻聴とは、自分に話しかけてくる幻聴。天井から話し声が聞こえ、それに答える体験。

2つ目の機能性幻聴とは、機械などの音に伴って幻聴が聞こえる体験。車の騒音つれて悪口などが聞こえてくる。

3つ目の要素性幻聴とは、物音などの幻聴。アルコール中毒や薬物中毒に出現する症状で、精神分裂病にはない。本当は音がしないのにも関わらず、音が聞こえる体験。

▽ 2‐1.幻聴と関係がある体験
主なものは以下の通り。

 ・思考化声
 ・思考伝播
 ・思考吹入
 ・思考奪取

1つ目の思考化声とは、幻聴に近い体験。

2つ目の思考伝播とは、考えていることが言語化していないのにも関わらず外界に伝わってわかってしまうとする体験。

3つ目の思考吹入とは、他人の思考が自分の中に無理矢理入ってくる体験。最後の思考奪取とは、考えが外に奪われる体験である。

これらの現象は自己と外界の境界が弱くなることで起る。

【キーワード】
●対象なき知覚
●幻覚
●幻聴
 
 
▽ 2‐2.幻聴以外の幻覚
主なものは以下の2つ。

 ・幻視
 ・体感幻覚

1つ目の幻視とは、意識障害の際の代表とされ視覚的な幻覚のこと。分裂病では急性期にみられ軽い意識変化を伴うことが多い。幻視の特殊なものに、自分の姿を目の前に見る自己像幻視(自己二重身)、考えが文字で目の前に見えてくる考想可視などがある。

2つ目の体感幻覚とは、通常意識にのぼらないものであるが「体の中に虫が入ってきて腐った」、「頭蓋骨の中を虫が動き回る」、「脳が溶けていく」など内臓感覚の幻覚のことである。分裂病、境界例、うつ病の心気妄想、心気症などでみられる。

【キーワード】
●幻聴
●独語空笑
●幻視
 
 
□ 3.作為思考・影響体験
「させられ体験」ともいう。自分が能動的に何かをしているという意識が障害され、他人に何かをさせられている、何かを考えさせられていると体験する。

分裂病に典型的に見られ、シュナイダーの一級症状の一つ。

【キーワード】
●作為思考
●影響体験

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臨床心理学各論 017 精神分裂病・客観症状

■ 客観症状と主観症状 ■

▼ 1.客観症状
第三者が客観的にみることのできる症状。

□ 1.動作や表情の異常
感情的接触がない。人間的な接触をしようとしても、何となくうまく通じ合えないもどかしさが残る。姿勢・表情は硬く、行動は全体的に不自然である。視線が動かない、表情が乏しい、滑らかさにかける、パターン化された情動形式など。

すべての患者にあるわけではなく、妄想型にはみられない。

□ 2.自閉性
自分の内面の主観世界に閉じこもり、現実への関心を失う。

□ 3.両価性
同一対象に対して同時に全く相反する感情をもつ。

□ 4.感情の障害
無関心や感情純麻、感情不安定。

□ 5.思考障害(thought disorder)
考えがまとまらない、余計な考えが浮かぶ、観念同士のつながりが乱れるなどの連想弛緩や、意味のない言葉を羅列する支離滅裂がみられる。

また、「スイスは自由を愛する。私は自由を愛する。だから私はスイスが好き!」など、「おかしな三段論法」や、本人だけしかわからない言葉・文字を作り、使用する言語新作を行う。

□ 6.緊張病性症候群(稀)
緊張病性症候群はとても強い症状だが、最近は少ない。理由もなく無目的に衝動的な動作が生じる緊張病性興奮や、随意的行動がほとんど消失する緊張病性昏迷がみられる。

昏迷状態にある患者は、寝たままでも食事も排泄も自分で行わなくなる。ほとんどの場合、外界認知はちゃんと行われているが、ひどい場合になると行動がピタッと止まってしまい動かなくなる。

□ 7.社会的活動力の低下
何らかの知的障害や脳に見るべき異常がないのにも関わらず、社会性を失い、引きこもる。決して職場に恵まれていないわけではない。容易に回復しない。

【キーワード】
●客観症状
●動作や表情の異常
●緊張病性症候群
●緊張病性興奮
●緊張病性混迷

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臨床心理学各論 016 精神分裂病・シュナイダーの一級症状

▼ 2.シュナイダーの一級症状

□ 1.思考化声
考えが声になる、本を読んでいると先に読む声がする。

□ 2.対話性幻聴
幻聴同士が会話している幻聴。独語空笑は幻聴に対する応答。

□ 3.身体への影響体験
電気をかけられると感じたりする。

□ 4.思考奪取
自分の思考が外に奪われる影響体験、その他思考領域での影響体験。

□ 5.自分の行為に随伴して口だしする幻聴
例えば、顔を洗っていると「顔を洗っている」と聞こえる。

□ 6.思考伝播
自分の考えが外に伝わってわかってしまうと体験する。

□ 7.妄想知覚
知覚したことを何か意味のないことに意味づけをする。例えば「花瓶が壊れた、私が死ぬという意味だ」など。

※あの最後の葉が散ったとき、私は主のところに召される、など。

□ 8.感情や衝動や意志の領域に現れるその他の作為体験・影響体験
例えば、「性的な感情を吹き込まれる」、「グルグル歩き回らされる」など。

【キーワード】
●シュナイダーの一級症状
●思考化言
●対話性幻聴
●身体への影響体験
●思考奪取

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臨床心理学各論 015 精神分裂病・ブロイラーの4A

■ 精神分裂病の理論 ■

▼ 1.ブロイラーによる分類(ブロイラーの4A)

□ 1.自閉性(Autisim)
自分の殻に閉じこもり、内的な妄想的世界や病的体験の世界に没頭し、現実との接触が障害されている。

「現実との生ける接触の喪失」は、分裂病の基本障害を捉えたミンコフスキーの言葉である。

二重の見当識(double orientation/Bleuler.E)をもち、妄想的な部分と現実的な部分とを使い分けて生活する。病識がないのに入院を受け入れるのが、その典型である。

□ 2.両価性(Ambivalence)
矛盾した感情を同時に抱く現象。同一人物を愛して憎んだり、苦しいといいながら笑顔を示したりする。

通常、一方の面(望ましくない面)が無意識下に抑圧され、その人の行動に影響を与えるとされる。

□ 3.感情の障害(disturbance of Affect)
無関心が進行し感情純麻(表情が全くなくなる)や、一つの感情が長続きせず急激に変化する感情不安定の状態になる。

□ 4.連想弛緩(loosening of Association)
考えがまとまらず、余計な考えが浮かぶ。観念同士のつながりが乱れる。末期になると、意味のない言葉を羅列する支離滅裂の状態になる。

□ 5.副症状
多く存在するが代表は幻聴・幻視などの幻覚、妄想、観念念慮。
妄想とは、現実にはありえない誤った確信の世界を持ち、訂正不可能な信念。観念念慮とは、他者の言動が自分に関係していると体験する症状。

被害的な内容のものが多い。

【キーワード】
●ブロイラーの4A
●自閉性
●両価性
●感情の障害
●連想弛緩
●副症状

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臨床心理学各論 014 統合失調症

■ 精神分裂病(統合失調症) ■

1911年にBleuler.E(ブロイラー)によって提唱された障害。精神分裂病の基本的な障害は様々な精神機能が統合して機能することの障害にある、と考え分裂という用語を用いた。

▼ 1.定義
原因的には内因性の精神病(psychosis)で、主として青年期に発病し、しばしば進行性に経過し、末期には特有の人格欠陥にいたる可能性を持つ。

▼ 2.症状
人格・思考・感情・行動・興味関心・対人関係などに障害をきたす。

身体症状に特徴的なものはない。
精神症状は、以下のように大別される(タイプ別に整理)。
 ・主観症状
 ・客観症状

  または
 ・陽性症状
 ・陰性症状

【キーワード】
●内因性
●精神病
●青年期に発症
●進行性
●特有の人格欠陥

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臨床心理学各論 013 精神病

■ 精神病 ■

精神病とは、病識をもたず、現実検討能力が極めて低く、自己治癒力も低い心の病の一群。精神障害の中で病理水準が1番高い。

精神分裂病(統合失調症)や躁うつ病がこれにあたる。

※精神病状態
精神病状態とは、現実と非現実の区別がつかない現実検討能力の障害された状態をいう。日時・場所・人物に対する認識がなくなり、幻覚や妄想といった非現実的な世界が混在し、日常生活が困難となる。

【キーワード】
●現実検討能力の障害
●幻覚・妄想
●日常生活が困難

※このサイトでは、心理学書籍と連動するために「統合失調症」(Schizophrenia)を「精神分裂病」と併記します。

注・2002年(平成14)7月に日本精神神経学会が病名を「精神分裂病」を「統合失調症」変更しました。

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臨床心理学各論 012 神経症と心身症

■ 神経症と心身症の違い ■

▼ 1.神経症
 ・精神症状の比重が大きく、症状が多発し、一過性で、移動しやすい
 ・機能的障害で、心因性に生じる
 ・情動の認知は豊かで、患者の訴えが多い
 ・情動の言語化や不安の表出は多い
 ・社会には不適応が多い
 ・心理療法が中心で、補助的に抗不安剤を用いる
 ・医学的には直しようがない

▼ 2.心身症(より身体がメイン)
 ・身体症状の比重が大きく、特定の器官に固定して持続的に症状が現れる(胃潰瘍など)
 ・障害は機能的障害にとどまらず、しばしば器質的障害を伴う(器官がダメージ)
 ・体質的・身体的な基盤があり、これに心理社会的因子が加わって症状が生じる
 ・情動の認知は乏しく、失感情(言語)症(アレキシサイミア)的である
 ・情動の言語化や不安の表出は少ない
 ・社会には過剰適応が多い(一生懸命適応しすぎ)
 ・心身両面からの総合的な治療を必要とし、医学的にも異常が認められる

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臨床心理学各論 011 心身症

■ 心身症(psychosomatic diseases) ■

▼ 1.概論
心身症とは、「身体症状を主とするが、その診断や治療に心理的因子についての配慮が特に重要な意味を持つ病態」と定義される。

広義に理解すると、身体的原因によって発生した疾患でも、その経過に心理的因子が重要な役割を演じている症例や、一般に神経症とされるものであっても身体症状を主とする症例は、広義の心身症として扱うこともある。

心身症の条件は以下の通り。
 ・身体症状の成立に精神的要因が重要な役割を担っていること
 ・身体症状が自律神経系支配領域の器官変化にまで至ること
 ・身体症状に器質的ないし機能的障害が認められること

▼ 2.症状
シフネオスらは、心身症に失感情症(アレキシサイミア)とい概念を提唱し、自分の内的な気づきとその言語的表現が制約されている状態であるとした。自分の感情状況をうまく表現することができない状態である。

身体面にでる症状としては、循環器系に本能性高血圧症・心筋梗塞・狭心症・心臓神経症、呼吸器系に気管支喘息、消化器系に胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、神経・筋肉系に緊張型頭痛・自律神経失調症、内分泌・代謝系に糖尿病・神経性過食症。

その他の心身症としては、心因性無月経、更年期障害、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、神経症頻尿などがある。

▼ 3: 治療
身体は専門の医師が、心は別の専門の医師が担当する。心理治療は、一般精神療法、催眠と自律神経訓練法、行動療法、森田療法などが用いられる。また薬物療法では、主に抗不安剤、抗うつ薬、鎮静催眠剤が使用される。

【キーワード】
●心身症
●心理的因子
●身体症状が主
●器質的変化
●アレキシサイミア

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臨床心理学各論 010 神経症の成因と予後

■ 3: 神経症の成因 ■

 ・心因・環境因
 ・心理的疲労
 ・心理的防衛機制(症状形成)
 ・特徴的な性格
 ・素質(体質)
 ・社会的条件など。

予後は、神経症から精神病への移行はマレで、比較的早く症状の消失する群と長期化する群とがある。

神経症に急性というものはない。そもそも神経症は慢性病であり、5年以上の経過をとるものが約半数ともいわれている。

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臨床心理学各論 009 心気神経症

▼ 7.心気神経症
些細な身体感覚あるいは兆候を重症な疾患の症状だと考え、しかも医師の検査や説得によってその非現実性を指摘されても、なかなかそれへのこだわりを捨てられない神経症(ささいな病気を超重症だと考える)。

心身の些細な不調にこだわり、苦痛を訴え続ける。よく訴えられるものとしては、睡眠障害・頭痛・肩こり・全身倦怠・便秘・めまい・耳鳴り・吐き気・腹痛などの身体症状が多い。

精神分裂病などで心気症状が出現する時は、
  ・体感異常
  ・体感幻覚
  ・心気妄想
など奇妙な内容が異常な確信を持って語られる点で異なる。

心気神経症の患者は、医者を渡り歩くという意味で「ドクターショッピング」と呼ばれる。ただし、本当に病気の時もあるので注意が必要である。

【キーワード】
●心気神経症
●身体感覚へのこだわり
●ドクターショッピング

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臨床心理学各論 008 抑うつ神経症

▼ 6.抑うつ神経症
憂鬱気分・悲哀・制止・外界への関心の低下・自信の損失などのうつ症状を主症状とする神経症。内因性うつ病との鑑別が問題となる。

抑うつ神経症は、
  ・症状が内因性のものに比べ軽症(生活に困るほどのものではない)
  ・不安などの感情が強くストレスとの関係がみられる
  ・人格障害を伴う
  ・日内変動がみられない
  ・薬物療法が効きにくい
  ・対象喪失(特に肉親を亡くした場合)
などと結びつきがみられることが多い。

【キーワード】
●抑うつ神経症
●軽症
●ストレスとの関連
●人格障害
●日内変動は見られない
●薬物療法は効きにくい
●対象喪失

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臨床心理学各論 007 離人神経症

▼ 5.離人神経症
自己の存在や、外界、自己の身体に関する自己所有感(自分に所属している感じ、自分が自分である感じ)が失われる意思体験。「自分が自分でない感じがする」など非現実感、疎外感の訴えがある。離人症性障害がこれにあたる。

主な症状は以下の通り。
 ・「外界」の疎外感
 ・自己の「身体」に関する疎外感
 ・自己の「存在」に関する疎外感

現実検討能力は保たれており、十代後半から二十代後半の女性に多い。離人症体験は、統合失調症や内因性うつ病などの症状としても生じることがあるが、健常者でも過労時に体験することもある。

【キーワード】
●離人神経症
●自己の存在・外界・自己の身体
●自己所有感
●疎外感
●女性に多い

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臨床心理学各論 006 ヒステリー

▼ 4.ヒステリー
現実に問題となっていることを解決することが出来ず、葛藤が生じ、その葛藤のために自我の安定を保つことが困難な状況になると身体症状が生じることがある。

こうした病態をヒステリーとよぶ。

転換ヒステリーと解離ヒステリーがある。

▼ 4‐1.転換ヒステリー(conversion type)
神経疾患や身体疾患では説明できず心理的要因を背景にもつ症状を、DSM-Ⅳでは転換性障害とよぶ。

転換とは、抑圧された感情や欲動など心理学的問題が、身体的次元に姿を変えて現れること。飲み込めない、失声、失明、見えにくい、難聴、運動麻痺、痙攣発作、意識喪失などを示す。身体症状が多様に変遷するケースと特定の単一症状に固定するケースがある。

□ 1.転換症状の特徴
神経学的所見は見出されない。症状は患者の言葉の代わりの身体言語である。症状を持つことにより、患者は疾病利得を得る。必ずしも常ではないが、患者は一見重症な症状について無関心である。

※疾病利得
症状の発症や維持により患者に何らかの利益を得ること。自我防衛を果たす一次的利得と、嫌悪事態から回避する二次的利得がある。 

□ 2.治療
適切な診断と患者との間で病識・治療理論を共有することが重要。心因性疾患であることを説明しておかないと、患者は身体症状だと思いこみ、疾病利得に逃げ込んで症状の慢性化、固定化へと繋がる恐れがある。

【キーワード】
●転換ヒステリー
●転換性障害
●身体言語
●疾病利得
 
 
▼ 4‐2.解離ヒステリー(dissociative type)
DSM-Ⅳでは、解離性障害の中の
 ・解離性健忘(心因性健忘)
 ・解離性遁走
の2つがそれにあたる。

解離性健忘とは、嫌な体験が思い出せなくなる状態。通常の忘れ方とは異なり、丸ごと忘れることが特徴。

一方、解離性遁走(とんそう)とは、突然家庭や職場から離れ放浪し、過去の一部または全部を想起することが出来なくなる状態。通常ストレスの強い状況と関連し発症する。

□ 1.解離とは
解離とはジャネが用いた概念で、意識の上位構造と、下位構造との統合が失われる過程。本来一つになっているはずの人格の統合度がゆがみ、二つもしくはそれ以上の下位人格に分離するという意味。

※DSMの解離性障害は、次の4つ。
1.解離性健忘
重要な個人情報で、ストレスの強い性質を持つものが想起不可能となる。

2.解離性遁走
かつては心因性遁走とよばれたもので、放浪し、過去を想起することが出来ない。

3.解離性同一性障害
いわゆる多重人格性障害といわれるもの。2つまたはそれ以上の、はっきりと区別できる人格が存在する。

4.離人症性障害
自分の精神または身体から遊離して、自分が傍観者のように感じる障害。

【キーワード】
●解離ヒステリー
●解離性障害
●解離性健忘
●解離性遁走
●解離

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臨床心理学各論 005 強迫神経症

▼ 3: 強迫神経症
強迫観念・強迫行為が反復・持続し、時間の浪費や回避行動のために日常生活・人間関係が困難になることを特徴とする。人口の2から3%に見られ、過半数はうつ病と合併する。

□ 1.強迫思考
 ・バカバカしい(もしくは不快な)考えやイメージが
 ・意思に反し繰り返し頭に浮かんできて
 ・止めようと思っても意志ではどうにもできない

強迫思考は心理的防衛規制による不快の加工の産物と考えられる。フロイトは肛門性愛の基礎の上に、反動形成や取消しといった防衛機制が働いて症状が構成されていくと仮定した。

□ 2.強迫行動
上記の強迫思考への対抗策としてとられる行動で、不安を軽減するために出現する。第三者が無理矢理その行動を中止させると、強烈な不安が前に出てくる。

たしかめ、洗いなどが強迫行動に当たる。

□ 3.経過・治療
一般的に長い。多種多様な強迫症状を同時的、あるいは継時的に示す例と一つの強迫症状を長く続ける例がある。

治療については、エクスポージャーと反応妨害法を用いる行動療法や、薬物療法の有効性が明らかに。

【キーワード】
●強迫神経症
●強迫思考
●バカバカしいイメージ
●意思に反し繰り返し
●どうにもならない
●強迫行動
●行動療法

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臨床心理学各論 004 恐怖神経症

▼ 2.恐怖神経症
恐怖神経症とは、特定の対象に対する強い恐怖が慢性的に持続し、日常生活に支障をきたすものである。たいして危険でも脅威でもないはずの対象や状況に対し、不相応で激しい恐怖感を覚え、そのことが不合理だとわかっていても、その恐怖に駆られ、その対象や場面を回避しようとする。

□ 1.種類
 ・他人といることで不安と緊張が高まり、軽蔑・不快感を感じ避けようとする対人恐怖
 ・類似したものとして赤面恐怖
 ・視線恐怖
 ・体臭恐怖
 ・醜形恐怖
 ・動物恐怖

 ・自分だけ取り残されるのではないかと感じる広場恐怖
 ・類似したものとして閉所恐怖
 ・体に触れるもの全てが汚染され、不潔であると感じる不潔恐怖
 ・その他に高所恐怖
 ・暗所恐怖
 ・先端恐怖
など恐怖の対象別に分類される。

経過は、慢性的だが青年期から成人期にはいるにつれて軽快することもある。精神分析的心理療法や系統的脱感作などが有効である。

【キーワード】
●特定の対象に対する強い恐怖
●不相応
●不合理
●回避
●精神分析的心理療法
●系統的脱感作

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臨床心理学各論 003 不安神経症

■ 2: 神経症各論 ■

▼ 1.不安神経症
アメリカの医師ピアートにより、現代文明のもとでの過労からくる神経機能の消耗を意味する神経衰弱という病名が作られた。

フロイトは、この群から

 ・不安発作
 ・不安発作への予期不安

あるいは

 ・心悸高進のような身体症状による不安表出とする群

を分離し、不安神経症と名づけた。

□ 2.特徴
初発時、突然理由のない説明しがたい不安(不安発作)にみまわれる。身体症状として、呼吸困難・胸の行動が激しくなる・胸の締め付けられる感じ、発汗、めまい、手足の痺れ、気の遠くなるような感じ、ふるえ、などいくつかの身体症状が伴う。

発作が収まった後、もしくは発作と発作の間にも慢性不安状態となる。また、「再び発作がやってくるかもしれない」という予期不安があることも特徴である。不安が未来に対する情動反応である以上、予期不安こそ不安の本能であるといえる。

DSM-Ⅳでは「不安障害」の中で、全般性不安障害と恐怖性障害に2分されている。全般性不安障害は、日常生活・心配の種が過剰な不安の対象となる症状。一方、恐怖性障害とは、パニック障害のことであり、突然起こってくる種々の身体症状に強烈な不安、恐怖の感情を伴う恐怖発作を繰り返し起こす障害。

経過はよいものが多いが、最低一年程度は治療が必要である。抗不安剤による薬物療法、短期の力動的な支持的心理療法、行動療法が行われる。

【キーワード】
●フロイト
●不安発作
●身体症状
●慢性不安状態
●予期不安
●全般性不安障害と恐怖性障害
●パニック障害
●薬物療法

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臨床心理学各論 002 神経症

■ 神経症(neurosis) ■

※DSMが病因論を拝した記述的方法を採用しているため、DSM-Ⅲ以降、神経症という診断名は使用されていない。神経症という診断名は「無意識的葛藤に基づいている(病因)」という仮説に基づいており、病因論に関する中立性を保つために削除されている。

■ 1: 神経症とは ■

・心因性(心理的原因)に発現する機能性の精神障害で、可逆性(直る)である。
・遺伝や脳のダメージによるものではなく、治療後には基本的に後遺症を残さない。
・障害は心身両面にわたることがある。
・特有のパーソナリティが認められている。

自分が病気であるという病識があり、現実検討能力は保たれている。適応障害は社会が容認できる程度で、重大な社会的逸脱行動を認めない。神経症の具体的症状は多種多様にわたっているが、基本的には不安を基礎とした精神症状と、自律神経系の失調による身体症状が多くの場合出現する。

【キーワード】
●心因性
●可逆性
●心身両面
●特有のパーソナリティ
●病識あり
●逸脱行動なし
●多種多様
●不安を基礎とする
 
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臨床心理学各論 001 ストレス

■ ストレス概論 ■

医学では、生体に様々な刺激が加わった時、それに対して起こる反応で、病気の原因となりうる肉体的、化学的、感情的緊張のことをいう。ストレスとは、もともと「圧力」や「圧迫」意味したが、1930年代後半にカナダの生理学者セリエによって、
 ・「外界のあらゆる要求によってもたらされる身体の非特異的反応」
を表す概念として提唱された。

その後、ラザラスとフォルクマンは、環境からの要求に対する認知的評価やコーピングという個人的変数を導入し、環境と個人との相互作用を強調する心理的ストレス・モデルを提唱した。

【キーワード】
●セリエ
●認知的評価
●コーピング
●心理的ストレス・モデル
 
 
心理的ストレス・モデルでは、日常(daily hassless)から潜在的ストレッサーが湧き上がると、個体内で状況に対する認知的評価が、
 ・一次的評価
 ・二次的評価
と2度行われる。
 
 
▼ 1.一次的評価
 ・潜在的ストレッサーが自分にとって重要な意味があるのか?(関係性の評価)
 ・自己評価や社会的評価に対し、害や損失をもたらすのか?(脅威・挑戦の評価)
 
 
▼ 2: 二次的評価
一次的評価で認知した問題が、自分でコントロール可能か?

認知された問題が自分にとって重要なものであり、脅威や挑戦として、さらにコントロール不可能なものとして評価されたとき、抑うつや不安、不機嫌、怒り、興奮、高揚感などの感情が生じる。これを情動的反応といい、情動反応が生じてはじめて、その出来事や要求がストレスへと変化する。

こうした評価を経て喚起された情動的反応は、それを解決することを目的とした行動を動機付ける。

そのようなあらゆる認知的および行動的努力をコーピングという。コーピングは、そのスタイルの違いにより、問題焦点型と情動焦点型に2分される。

※流れ
認知された問題
 ・重要
 ・脅威・挑戦
 ・コントロール不可能
→抑うつ・不安・不機嫌・怒りなど(情動的反応)
→ストレスへ

この情動的反応の解決を目的とした行動(コーピング:▼3へ)
 →問題焦点型(状況を直接的に変化させようとする:▼1へ)
 Or
 →情動焦点型(情動を低減させようとする:▼2へ)
 
 
▼ 1.問題焦点型
状況を直接的に変化させようとする努力。状況がコントロール可能であると評価された場合に、その頻度は高まる。
 
 
▼ 2.情動焦点型
喚起された情動を低減する努力。状況がコントロール不可能であると評価された場合に、この頻度は高まる。
 
 
▼ 3.コーピング資源
主なものは
 ・疲労や消耗に耐えるような身体的健康
 ・行動をどの程度うまく行うことが出来るかという認知
 ・成功体験である自己効力感
 ・問題を対処するために方略を考え実行する問題解決スキル
 ・円滑な対人関係を形成し、それを保持するための技能である社会的スキル
 ・他者から提供される有形または無形の援助であるソーシャル・サポート
など。

コーピングにより問題焦点型と情動焦点型かが決定される。基本的には、コーピング資源があると問題焦点型に、ないと情動焦点型になる。

【キーワード】
●ストレッサー
●一次的評価と二次的評価
●問題焦点型と情動焦点型
●コーピング資源
 
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臨床心理学概論 008 アセスメント

■ 1: アセスメント ■

クライエントの病理水準を規定する目的で行う。
 ・人格検査
 ・知能検査
 ・発達検査
など。

【キーワード】
●病態水準の規定
●人格検査
●知能検査
●発達検査

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臨床心理学概論 007 青年・成人の障害

■ 1: 青年・成人の病理水準別障害 ■

▼ 1.神経症
19世紀後半から20世紀初頭にかけてのヒステリー研究を通じて、「心因によって起こる可逆的(もとに戻る)な障害」という概念に定着。

その特徴は、
 ・心因(心理的原因)
 ・機能的障害(器質的変化は認められない)
 ・特有の病態像
を示す。

また特有のパーソナリティが認められ、可逆性(治る)である。
 
 
▼ 2.人格障害
思春期もしくはそれ以前から性格の偏りが強く、しかもそれが成人まで長期持続するもので、
 ・対人関係
 ・社会的適応の障害
 ・自己の悩み
として表れるもの。

DSM-Ⅳでは、人格障害に3種の大カテゴリーとその下に合計10の人格障害を認めている。
 ・奇妙で風変わりを特徴とするA群(3種類)
 ・劇的で感情的、移り気を特徴とするB群(4種類)
 ・不安・心配の高さが目立つC群(3種類)
 
 
▼ 3.精神病
本人の素質が作用(内因)しており、人格面でいろいろな問題が出現する。病理水準としてはもっとも高い。

 ・統合失調症
 ・感情障害

がこれにあたる。

また現実と非現実との区別がつかない現実検討力の障害された状態を精神病状態と呼ぶ。

【キーワード】
●神経症
●心因
●機能的障害
●特有の症状・パーソナリティ
●可逆性
●人格障害
●精神病
●内因
●統合失調症・感情障害
●現実検討能力の障害

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臨床心理学概論 006 子どもの発達障害・情緒障害

■ 1: 子どもの発達障害 ■

▼ 1. 精神遅滞
ICD-10では、

精神遅滞は、精神の発達停止あるいは発達不全の状態であり、発達期に明らかになる全体的な知的水準に寄与する能力、たとえば認知、言語、運動および社会的能力の障害

と定義づけられている。

精神遅滞の診断は、
 ・知的発達水準の遅れ
 ・社会的適応能力の弱さ
の2つの要素から評価される。100が平均。
 
 
▼ 2. 広汎性発達障害(自閉症・自閉性障害)
カナーが、情緒的接触の自閉的障害として特異な行動特徴を示す児童について報告したのがはじまり。

大きな特徴は、以下の3つ。
 ・対人関係の欠如
 ・特異な言葉の使用
 ・限定された能力

※追加項目:DSMでの特徴は以下の通り
 ・対人的相互作用の障害
 ・意思伝達の障害
 ・反復で常同的な行動様式
 
 
▼ 3. 学習障害(LD)
一般知能に大きな障害が見られないが、
 ・認知障害
 ・行動障害
を示す。

目で見て手で書くことは出来ず、記憶に問題がみられる。学校ではテストの点が低いため高揚感が得られず、さらに得点が低くなり問題となる。
 
 
▼ 4: 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
主に
 ・注意の障害
 ・多動
を基本的特徴とする。1つのことに集中出来ず、動いていないと落ち着かない。

【キーワード】
●精神遅滞
●広汎性発達障害
●学習性障害
●注意欠陥・多動性障害
 
 
■ 2: 子どもの情緒障害 ■

行動上に現れるものとしては、
 ・登校拒否
 ・非行
 ・落ち着きのない
 ・集団不適応
 ・分離不安
など。その他に、身体症状を中心とするもの、精神症状を中心としたものも存在する。

【キーワード】
●分離不安

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臨床心理学概論 005 病因論

■ 5: 病因論・心の問題のメカニズム ■

精神障害(心の病)を原因によって区分すると
 ・外因性障害
 ・内因性障害
 ・心因性障害
の3つに分けられる。
 
▼ 1. 外因性障害
医学的な対処が必要な障害で、外から個人に影響や障害を及ぼすもの。主に器質的な背景を持つものと、感染症や外傷・物質中毒を背景に持つものがある。厳密には、外因とは脳に直接侵襲する身体的病因と考える。

出生時の障害、頭部外傷、老人性痴呆、内分泌疾患、代謝性疾患がこれにあたる。

※ケガが原因で精神障害が起きたと仮定する。治らない。
 
▼ 2. 内因性障害
発症原因により分類したとき、個人の素因(遺伝子)が主たる発症原因であると考えられるもの。遺伝・体質的な背景があり、器質性障害は見出されないが、何らかの遺伝的・体質的な原因が想定される。

精神分裂病(統合失調症)、躁うつ病(気分障害)がこれにあたる。

※原因不明ないし遺伝が原因で、精神障害が起きたと仮定する。治らない。
 
▼ 3. 心因性障害
発症原因が、心理・環境的な要因によるもの。既知の気質的・遺伝的あるいは生物的な要因が存在せず、個人の心理的葛藤やフラストレーションに由来するもの。

神経症はその代表。

※ストレスなどの心理的なものが原因で、精神障害が起きたと仮定する。治る。「心因障害」は上記2つの「外因性障害」、「内因性障害」が否定された後に想定される。

【キーワード】
●外因性障害
●内因性障害
●心因性障害

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臨床心理学概論 004 クライエント中心療法

■ 4: クライエント中心療法 ■

ロジャーズにより創始された心理療法で、初期には非指示的精神療法とよばれた。

「問題は何か」、「どう解決したらよいのか」について、最もよく知っているのはクライエント自身であるとし、セラピストは何かを教える必要はない。

人間に本来備わっている「実現傾向」を信頼し、その自発的な働きを尊重すれば本人に意味のある変化が生まれるとし、そのための援助法である。この人間の成長を促進するセラピストの態度条件は次の3つ。

 ・共感的理解、
 ・無条件の肯定的配慮、
 ・自己一致

セラピーが生起するための条件は、以下の通り。

 1.2人の人間が接触している
 2.クライエントは不一致の状態にあり、傷つきやすく、不安定の状態にある
 3.治療者は2人の関係のなかで一致した状態にある
 4.治療者はクライエントに対して無条件の肯定的尊重を経験している
 5.治療者はクライエントの内的準拠枠に共感的理解を経験している
 6.クライエントは治療者の肯定的尊重と共感的理解を最低限度知覚している

【キーワード】
●ロジャーズ
●非指示的精神療法
●実現傾向
●セラピストの態度条件
●共感的理解
●無条件の肯定的配慮
●自己一致

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臨床心理学概論 003 ユング心理学

■ 3: ユング心理学 ■

フロイトから離反し、中年期の危機の体験から分析心理学を確立。ユングは心を

 ・意識
 ・無意識

に分け、さらに無意識を

 ・個人的無意識
 ・集合的無意識

に分けた。

個人的無意識とは、フロイトのいう無意識のこと。個人の行動を左右し、思考や感情の方向付けに大きな影響を与えながらも、本人には自覚されない心的過程。

一方、集合的無意識とは、人間だけでなく動物にも共通する個人の心の基盤のこと。この内容は、神話、夢、精神病者の妄想などに共通して認められる。

【キーワード】
●中年期の危機
●抑圧・忘却
●コンプレックス
 
 
▼追記
ユングはフロイトとともに今世紀初頭から精神分析学の発展に貢献したが、無意識の考え方をめぐり対立し、ユングは自分の精神分析を分析心理学とよんでフロイトの精神分析と区別した。ユングによると、無意識は2つの種類の内容から成り立っていると仮定する。それは個人的無意識と集合的無意識である。

 ・個人的無意識とは、個人が一度体験し、その後忘却、抑圧されたもの
 ・集合的無意識とは、人類に共通なもので決して意識化されたことのないもの。

フロイトとの対立は、この集合的無意識をめぐり勃発した。

分析心理学でのキーポイントはこれらの無意識の他に以下のものが挙げられる。
 ・元型
 ・ペルソナ
 ・影
 ・補償

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臨床心理学概論 002 精神分析

■ 2: 精神分析 ■

精神分析は、
 ・フロイトにより発見された人間の心の研究方法
 ・人間の行動に関する知識体系(精神分析理論)
 ・心の疾患に対する治療の体系(精神分析療法)
の3領域に分類される。

フロイトは、意識するには耐えない体験が無意識に「抑圧」され、それが不安や葛藤を引き起こすために心の疾患が生じると仮定した。従って精神分析療法では、無意識にあるものに気づき、それを「洞察」することにより治療は行われる。

【キーワード】
●人間の心の研究方法
●知識体系
●治療体系
●抑圧
●無意識にあるものに気づき、洞察することで治療は行われる
 
 
▼ 1. 人格の構造論
精神分析では

 ・エス(イド)
 ・自我(エゴ)
 ・超自我(スーパーエゴ)

の3領域に心を分け、その相互作用から心の働きを捉える。

エスとは、生物学的な本能に基づく直接的な充足を得ようとする心の働きで、様々な欲求の源泉。

自我とは、エスと超自我の中心にあり人間の内面を調整し、外界に適応する機能をもつ。この自我が葛藤を調節する際、さまざまな防衛機制が用いられる。

超自我とは、両親を中心とし社会的規範が個人に組み込まれたもので、価値規範となり自己を方向付ける機能をもつ。

【キーワード】
●エス
●自我
●超自我
 
 
▼ 2. フロイトの発達理論
フロイトは、性的な欲動は思春期から始めるのではなく、乳幼児期から存在しているものであり、エディプス期に抑圧されていたものが思春期に再現したものとした。

 ・乳幼児期(欲動のはじまり)
 ・エディプス期(抑圧)
 ・思春期(再現)

その後、この欲動を満たす身体部位から、

 1.口唇期
 2.肛門期
 3.エディプス期
 4.潜伏期
 5.性器期

に分けた独自の「心理=性的発達理論」を提唱した。
 
 
▼ 3. 心理=性的発達
心理=性的発達理論は、口唇期、肛門期、エディプス期、潜伏期、性器期の5つに区分される。

第1段階の口唇期とは、口唇領域に快感(リビドー)を得ると考えた生後1歳ぐらいまでの時期。この時期、乳児は母親から授乳することを通して外界と交流が行われる。

第2段階の肛門期とは、肛門領域に快感を得ると考えた1歳から3歳くらいまでの時期。この時期、トイレット・トレーニングを経験することで、環境への主張的で能動的姿勢が芽生える。

第3段階のエディプス期とは、5歳から6歳になると異性の親への関心が芽生え同性の親を憎むようになるが、しかし、去勢不安により性への関心が強く抑圧される時期。またこの時期、両親への性同一視を行うことで性役割を獲得する。

第4段階の潜伏期とは、6歳から思春期に至るまでの性欲動が静まる時期。この時期、社会的規範の学習や知的活動にエネルギーが注がれる。

最後の性器期とは、部分欲動が性器愛を中心とする正常な性欲に統合される時期。

【キーワード】
●口唇期
●肛門期
●エディプス期
●潜伏期
●性器期
 
 
▼ 4.フロイトの精神分析の批判と拡大
代表格は、次の2人。

 ・個人心理学の創始者アドラー
 ・分析心理学の創始者ユング

アドラーは、人間は本能的な存在ではなく社会的な存在であるとし、性的衝動よりも社会的優越性を得ようとする自我の欲求を重視した。人間が劣等感を補償するためにより強く完全になろうとする意思があると考え、それを「権力への意思」と呼んだ。

一方ユングは、リビドーが生活力・心的エネルギーなどの原初的エネルギーの形態に過ぎないとし、無意識の積極的・肯定的側面を重視した。さらにユングは無意識を個人的無意識と人類に普遍的な集合的無意識にわけ、無意識の内容として抑圧された性的なものだけではなく、創造的なものが存在することも認めた。

【キーワード】
●個人心理学創始者アドラー
●社会的存在
●権力への意思
●分析心理学創始者ユング
●無意識の積極的・肯定的側面を重視
●集合的無意識と個人的無意識
 
 
▼ 5.心理療法の発展

精神分析では神経症のみを対象としていたが、より健康な人の自己実現や、より重度な障害の治療へと治療対象は移行。また、古典的精神分析療法は縮小したが、原理・技法を取り入れた治療は拡大している 。

【キーワード】
●神経症のみを対象としていた
●原理・技法は拡大

ver1.2

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臨床心理学概論 001 臨床心理学の歴史

■ 1: 臨床心理学の歴史 ■

臨床心理学は、基本的に個人の人格ないし適応上の困難を取り扱う心理学の一領域として理解されている。臨床心理学という名称は、19世紀末に心理学クリニック(ペンシルバニア大学)をはじめたアメリカのウィットマーにはじまる。

その後、心理テスト、児童や非行少年の指導、その他多くの心理学実践を背景にもちつつ、精神医学その他の隣接領域と協力して発展してきた。

19世紀後半から20世紀にかけて、
 ・ゴールトンの個人差の測定
 ・キャッテルのメンタル・テスト作成
 ・ビネーの知能検査の開発
により個人の能力の測定、鑑別などの実際研究の領域が大きく進展。

一方、身体症状が心理的原因によることに着目したフロイトは、精神分析理論の提唱に至る。

1930年代になるとナチスによるユダヤ人弾圧の影響を受け、多くの精神分析学者や心理学者がアメリカに移住。

さらにコロンビア大学に臨床心理学者育成コースが開設されることにより、アメリカが臨床心理学の中心地となる。
 
【キーワード】
●ウィットマー
●ペンシルヴァニア大学に心理クリニック開設
●コロンビア大学に臨床心理学者育成コース開設
●アメリカが臨床心理学の中心地

Ver1.2

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心理学史 004 新行動主義

■ 心理学史 004 新行動主義 ■

ワトソンの行動主義心理学 →新行動主義へと発展
刺激(S)と反応(R)の間に行動的な変数として媒介変数(O)を仮定し、ハル、トールマン、スキナーなどが代表格。

※新行動主義を厳格なワトソニズムに反対する広義の行動主義ととらえ、1930年代以降の行動主義をすべて新行動主義と理解する立場もある。

ワトソンとの共通点
 ・直接観察可能な行動を対象とする
 ・刺激と反応関係によって記述する(S-R説)

新行動主義の特徴
 ・行動をバラバラな分子行動ではなく全体として1つのまとまりをもった総体的行動とする
 ・刺激と反応の間に仲介変数を仮定する(S-O-R)

新行動主義を積極的に推し進めたのはトールマンである。トールマンは、個体は盲目的に行動するのではなく、特定の目標に向かって進み、内在する目標や状況の認知をその媒介過程(S-O-Rの「O」)の内容として考える必要があるとした。ちなみに、今日では、行動主義、新行動主義という言い方よりも行動理論という用語が包括的に用いられている。

※仲介変数とは
心理学的な現象を予測・説明するために、推測される「よくわかっていないカラクリ」。

▼ 1.ハル,C.L
行動の予測と説明のために仮設構成体を認める立場。強化説、S-O-R心理学が有名。

▼ 2.トールマン
ドイツ留学時にゲシュタルト心理学に触れ、影響を受ける。
トールマンによれば、人間は環境を認知し、行動している。それゆえ人間の行動を理解するためには、環境をどのようにとらえているか(認知しているか)、を知らなければならない。この認知の過程を仲介変数とみなし、それを重視するのがトールマンの特徴である。
 ・目的的行動主義
 ・認知理論的行動主義

▼ 3.スキナー
アメリカの心理学者。大学院生の頃、ネズミがバーをおせば餌がでる「スキナー箱」を考案し、動物の自発的な行動(=オペラント行動)は、随伴性強化(=その行動を行えば餌を与えられること)によってその生起確率が増すというオペラント条件付けの基本原理を確立した人。新行動主義を批判し、徹底的行動主義の立場をとった。
 ・レスポンデント条件付け
 ・オペラント条件付け
 ・実験的行動分析
 ・三項強化随伴性
 ・シェイピングの原理
 ・徹底的行動主義

【私的に…】
行動理論は流行り。
ワトソンと行動主義はワトソニズム(古典的行動主義)と呼ばれ、現在の新行動主義と区別されている。ワトソニズムは、その素朴な機械論的立場のために激しい非難をあびてきたが、行動の客観的研究の道を切り開いてきたことは、現代行動科学の一つの源泉として位置付けられる。
※ワトソンの行動主義 → 新行動主義

【キーワード】
●ハル
●トールマン
●スキナー
●行動はバラバラではなく、1つのまとまりを持った総体的行動
●仲介変数

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心理学史 003 行動主義ワトソン(とジェームズ)

■ 心理学史 003 行動主義ワトソン(とジェームズ) ■

▼ 1.ワトソン(inドイツ)
アメリカの心理学者。「動物の訓練」という論文で学位を獲得。ヴントの意識心理学を批判する行動主義を提唱したが、妻との離婚がからんで学会を去り、実業界に転じた。

ワトソンは、心理学が「客観的な行動を対象とすべきである」と主張。ワトソンの行動主義では、心理学の目的は「行動の予測と制御」であるとし、心理学は客観的、実験的な心理科学の一領域であるから、行動だけに焦点を当て、意識や内観は排除されなければならないとする。

ワトソンは、「全て目に見える行動でなければならない」とし、客観的行動(overt behavior)を重視した。

※意識心理学とは
意識を対象とする心理学。心理学はすべて意識に関わるともいえるが、特に意識をその構成要素を明らかにすることにより説明しようとする心理学を指す。

※ワトソンの名言
「私に、健康で、いい体をした1ダースの赤ん坊と、彼らを育てるための私自身の特殊な世界を与えたまえ。そうすれば、私はでたらめのそのうちの1人をとり、その子を訓練して、私が選んだある専門家-医者、法律家、芸術家、大実業家、そうだ乞食、泥棒さえも-に、その子の祖先の才能、嗜好、傾向、能力、職業がどうだろうと、きっとしてみせよう」(安田一郎訳「行動主義心理学」)

▼ 2.ジェームズ(inアメリカ)
アメリカの哲学者であり、心理学者。プラグマティズムを思想的に大きく発展。

ヴントに対してジェームズは学問のフロンティアを目指し、新しい研究傾向にオープンな態度をとった。

ヴントの心理学が、ドイツだけではなく、全世界のアカデミックな心理学に影響を残したのに対し、ジェームズの心理学はパーソナリティ理論に見られる人間理解に多くの教訓を与えたといえる。

ちなみにジェームズは、ヴントについて「単なる教育というものが、一人の人間に、何を与えることができるかという、完全な見本」と評し、フェヒナーの精神物理学については「まったく、何にもならない」と述べている。

【私的に…】
ワトソンにみられる行動主義(→後の行動心理学)は、人間の行動理論を生理学や生物学へと還元していくことであり、もはや人間を全体としてとらえようとする心理学から離れた領域にある。とはいうものの、人間行動の客観的な分析は、従来の心理学では見通せなかった視野を持っていることも否定できないのも事実。

【キーワード】
●行動主義の提唱者ワトソン
●心理学の目的は行動の予測と制御
●客観的行動(overt behavior)

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心理学史 002 ヴント(構成主義心理学)

■ 心理学史 002 ヴント(構成主義心理学) ■

ヴントは、実験心理学を築いたドイツの心理学者であり哲学者。始めは医学を修めだが、実験心理学を学んだことをきっかけに、生理学的心理学に興味が移った。

ハイデンベルク大学教授、チューリッヒ大学教授を経て、ライプツィッヒ大学教授。

1879年に世界ではじめての「心理学実験室」開設したことで有名。科学的心理学はこのときにはじまったとされる。彼の許で学んだ各国の研究者は、自国に同様の研究室をもたらし、世界中に心理学研究を広めていった。

ヴントによれば心理学は直接経験の学問であり、直接経験は意識の事実であるから、心理学の目的は、複雑な意識過程を分析してその要素を抽出し、その要素間の結合を支配する法則を明らかにすることにあるとする。内観の分析によって心的要素を抽出し、その結合としての心的複合体を考えて「創造的総合の原理」を提唱した。

ヴントの心理学が要素主義的な構成心理学、意識心理学といわれる所以である。

 1.心理学=直接経験
 2.直接経験=意識の事実
 3.意識過程を分析
  →要素を抽出
  →要素と要素の(連合)法則を解明

※この連合法則として「創造的統合の原理」を提唱。創造的結合とは、個々の要素が集まってできたものが、個々の要素を越えた性質をもつという考え。

ヴントは内観法を用い、要素を構成することにより心を説明しようとする構成主義的立場をとった。従って内観法では観察できない無意識を扱ってはいない。

その後、
 ・意識内容について、フロイトから「無意識に着目すべきである」
 ・内観について、ワトソンから「客観的ではない」
 ・構成主義について、ゲシュタルト心理学から「こころは全体的である」
という批判があがった。
 
※心理学の流れ
A.ヴントの構成主義心理学(操作的定義)
  a.ゲシュタルト心理学 →認知心理学
  b.行動主義心理学 →新行動主義
  c.精神分析学 →人間性心理学
B.機能主義心理学(ジェームズ.W)(目的的行動)

※実験心理学とは
狭義には、実験室において実験的方法をもちい、感覚、知覚、記憶、学習、思考などを解明する立場のこと。

【私的に…】
ちなみに、ヴントは典型的なドイツ帝国の大学教授らしく、あくまでアカデミズムの窓を通してしか人間を見ず、自分の立場をあくまで守り、それに反する説を受けつけなかった。そのために、ヴントの心理学からは人間的な色とりどりとなまなましさが失われている。

ヴィルヘルム・ヴント(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%83%88


【キーワード】
●ヴント
●ライプツィッヒ大学
●心理学実験室
●内観法
●要素主義・構成主義
●心を要素に分解
●人間の意識内容=意識=部分・要素
●連合法則

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心理学史 001 イギリス哲学

■ 心理学史 001 イギリス哲学 ■

心理学の歴史は、19世紀「イギリス哲学」を起源とする。

イギリス哲学では、ある事柄を思い浮かべた時、その事柄に対して生じる連想を「連合法則」により明らかにしようとした。連合法則とは、感覚や観念の連合の法則のことであり、当時は内省(哲学的思弁)によって研究された。

※内省とは
自分自身の「意識」過程を心理学の直接的な「データ」と見なし、それを観察すること。

この考え方は、次のヴントの時代まで引き継がれる。

また、当時の批判として、
 ・私的な経験に過ぎない
 ・哲学者だけの法則である
 ・普遍的ではない
というものが多くみられた。

※連合とは
感覚印象や概念などの心の活動が、個人の経験により互いに結びつくこと、および結びついたものの一方が生じると他方が引き出されること。

※連合主義とは
イギリス経験論主義者(ホッブズから、ロック、バークリー、ヒューム)が、複雑な概念や高級な心的過程は、最も単純な心的要素(感覚、単純観念、印象など)が連合することによって成立すると考えたこと。連合主義が、要素論的ないし原子論的といわれるのはこのため。

【私的に…】
イギリス哲学は、おいしい料理(=複雑な概念や高級な心的過程)が、なぜおいしいのかを一生懸命考えるようなもの。材料(=単純な心的要素)か、火の加減や時間(=感覚)か、料理人(=印象)か。結局、どうすればいいのかわからないところが、美味たる所以(むろん、それゆえ学問として成立する)。

【キーワード】
●連想
●連合法則
●哲学的思弁

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はじめに 院試勉強法 001 英語勉強法

■ はじめに 院試勉強法 001 英語勉強法 ■

■ 英語勉強法 ■

心理系大学院の英語入試は、英語超長文全訳で出題される形式であることが多い。解答するために必要なことは、英文法を基礎として日本語を書き出すことと、心理英語に慣れることの2つ。

ちゃんと勉強すれば専門科目の試験(心理学)に比べ、正答が明確である以上、英語で満点を取ることは難しいことではない。

英語の勉強は、文法がどの程度理解できているかにより勉強法は異なる。判断基準は、大学受験時の英語偏差値55以上あったか、またはSVOC、TO不定詞、関係詞など基礎文法を理解し、それを長文読解に利用することが出来るかどうかの2点。

【キーワード】
●心理英語の独特な雰囲気に慣れる
●日本語として書き出す
●英語で満点とることは難しくない

▼ レベル別英語勉強法

● 英語の偏差値55以上、または基礎文法を利用し長文読解できる(→▼ 2)
英語が得意な人向け。

● 英語の偏差値55以下、または基礎文法を利用し長文読解できない(→▼ 1)
英語が苦手な人向け。
 
▼ 1. 偏差値55以下、または基礎文法を利用し長文読解できない
英語が不得意な人向けの英語勉強法。

英語のテストは全訳形式で出題されることが非常に多いため、文法が出来ないと解答することは出来ない。文法を無視してもっともらしい解答を作り出したとしても、それが見破れないほど採点者(教授陣)はバカではない。

重要なことはたとえ遠回りだとしても、大学受験の参考書を利用し再学習することである。

英語学習には非常に時間がかかるため、なるべく早くから取り組まないとキツイ。

▼ 1-1. お薦め英語参考書
英語のテストで文法問題が出題されることは、大学院により多少異なると思うが、出題されることはない。従って重要なことは、長文読解に必要な最低限度の文法のみを獲得することである。

以下に紹介する4冊は、それにもっとも適した参考書である。最低でも必須参考書基礎編を、時間がある人は応用編まで勉強することをお薦めする。

【必須参考書: 基礎編】
英語の文章を1文ずつ精読することにより、英語を学ぶ段階。長文といっても、所詮は1文の集合体に過ぎない。1文を正しく訳せない限り、長文を訳せるわけがない。次の2冊の参考書は、1文を訳す技術に特化した参考書である。

■ 富田の基礎から学ぶビジュアル英文読解基本ルール編―代ゼミ方式

富田の基礎から学ぶビジュアル英文読解基本ルール編―代々木ゼミ方式
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富田 一彦


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■ 富田の基礎から学ぶビジュアル英文読解構文把握編―代ゼミ方式

富田の基礎から学ぶビジュアル英文読解構文把握編―代々木ゼミ方式
4896807715
富田 一彦


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【必須参考書: 応用編】
1文ずつ読むことのできる知識をつけたら、次にそれを長文に応用する段階である。1文ずつ訳す技術と長文を訳す経験が合わさってはじめてヒルガードを正しく訳せるようになる。

■ 富田の〈英語長文問題〉解法のルール144 (上)

富田の〈英語長文問題〉解法のルール144 (上)
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富田 一彦


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■ 富田の〈英語長文問題〉解法のルール144 (下)

富田の〈英語長文問題〉解法のルール144 (下)
4479190430
富田 一彦


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これらを学習・理解したら▼2へ。

【キーワード】
●大学受験用英語の再学習
●必須参考書
 
▼ 2. 偏差値55以上、または基礎文法を利用し長文読解できる
英語が得意な人向け英語勉強法。

院試の心理英語のレベル自体は、それ程難しいものではない。専門英単語が多く出題されることと、一文が非常に長いため文構造が見えにくくなることが多少あるが、これらは勉強することで容易に解決することが出来る。

問題なのは、心理英語独特の雰囲気に慣れなければならないことである。通常慣れ親しみのない学術書から出題されるため、慣れるためには音読する時間を別に設けることで対処するしか方法はない。

▼ 2-1. 必須参考書
心理英語に慣れるために最適なのは、アメリカで教科書として使用されている「ヒルガードの心理学(洋書)」である。

この本は、院試英語のレベルとほぼ同等であり分量も多く、実際の試験で使用されている洋書である。従って心理英語の勉強にはもっとも適している参考書といえる。加えて「ヒルガードの心理学」には日本語版も発売されているので、もし訳の正確さにこだわるのであれば利用することもできる。

【必須参考書: 英語テキスト】
Atkinson and Hilgard's Introduction to Psychology With Infotrac (ヒルガードの心理学 英語版)
0155050699
Edward E. Smith Susan Nolen-Hoeksema Barbara L. Fredrickson


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【補助参考書: 日本語テキスト】
ヒルガードの心理学 日本語版
4892428191
Edward E.Smith Susan Nolen‐Hoeksema Barbara L.Fredrickson


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【キーワード】
●専門単語
●独特の雰囲気
●ヒルガードの心理学
 
▼ 3. 「ヒルガードの心理学」勉強法
英語の勉強ですべきことはただ一つ、ヒルガードのテキストを読解し続けること。その際、絶対に組み込まなければならないことは、ノートやワードを利用し、日本語として書き出すことと音読することの2点。

テキストを見て心の中だけで意味を捉えるだけでは、実際に日本語として書き出すことは出来ない。テストを解答するためには、英語を日本語に訳し、実際に書き出す過程がとても重要となる。また音読することにより、英語のリズムや独特の雰囲気に慣れるだけでなく、単語や文章そのものを暗記することが出来る。

一度、読解した文章は、その後最低でも10回は音読することが重要である。

▼ 4. 実際の勉強法
ここで実際に私が行った勉強モデルを提示する。

正しい勉強法の1つだと確信しているが、人それぞれの勉強法があるので参考にしてもらえればと思う。

■■■■■■■■■■

試験日までの日数を、ヒルガードの心理学のページ数(約600ページ)で割り、1日の読解ページ数を決める。例えば、試験日まであと1年なら、1日2ページとなる(が、もちろん自分の能力に応じてページ数を決めるとよい。現実的に毎日行えるページ数を設定することが重要である)。

大体1日2ページから10ページぐらいが目安。

■■■■■■■■■■

読解1回目
まず、何も見ないで最初から最後まで心の中で訳す。文法を抑えるために書き込むが、それ以上書き込むことや、辞書を引くことはしない。意味をとらえることができなくても、最後まで強引に続ける。

読解2回目
リーダーズの辞書(電子辞書)や参考書を利用し、意味を捉える。テキストに知らない単語の意味を書き込み、心の中で意味を捉える。わからない部分は、下線を引いておくと自分のできが視覚的に理解できる。

読解3回目
テキストの内容を、ノートやワード(PC)に日本語として書き出す。ワードの方が書くための時間が削減できるし、鉛筆で書く疲労をなくすことが出来る。わからないところがあったとしても、辞書を利用し、なんとかして日本語を作る。

※はじめのうちは、この3つのプロセスを続けることになるが、そのうち英語の文章を見ながら(心の中で読みながら)、ワードで日本語を打ち出せるようになる。

■■■■■■■■■■

最後に音読。
今まで読解したテキストを20回音読する。しかし、現実的に1日20回音読することは不可能なので、1日10回程度が目安。

また同じ文章を10回も音読することは心理的に難しいため、今まで読解した文章であるのであればどこでもかまわない。

重要なことは、精読した英語を出来るだけ多く音読すること。音読することにより、単語の意味だけでなく、文法、リズム、雰囲気、復習など非常に多くのことを一度に再学習することが出来る。

音読なしに英語学習は成り立たない。音読が英語勉強の中で最も重要なプロセスである。

■■■■■■■■■■

【キーワード】
●日本語として書き出す
●音読
●毎日決まったページ数
●1回目、何も見ないで意味をつかむ
●2回目、辞書を利用し意味をつかむ
●3回目、日本語として書き出す
●精読した文章を最低10回、出来れば20回音読する
 
 
▼ 5. 辞典について
辞典は、リーダーズ英和辞典が良い。リーダーズなら心理学専門用語や、あやしい単語のほとんど全てを網羅している。試験で「辞書持込可」であるのなら、絶対に試験本番のために購入すべきである。

電子辞書は、お金に余裕があるのなら絶対に購入すべき商品。ヒルガードのテキスト「読解2回目」で非常に強いポテンシャルを発揮するし、院入試後も継続して使用できる。手引き辞書に比べ、電子辞書の検索速度・精度は目を見張るものがある。

【英和辞典】
リーダーズ英和辞典
4767414318
松田 徳一郎 東 信行 豊田 昌倫


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【電子辞書】
SHARP 電子辞書 PW-A8800 (16コンテンツ, 英語モデル, コンテンツカード対応)
B00061OJFK


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▼ 6. 専門単語について
もし試験が「辞書持込可」であるのなら、特別何もする必要はない。音読時、意味の知らない単語に注意を払い、そのつど確認すれば自然と暗記することができる。

試験に辞書を持ち込むことが出来なかったとしても、特別すべきことはなにもないが、心配であったら心理単語1000を確認すれば良い。いずれにせよ精読した文章をちゃんと音読しさえすれば、専門単語について特別勉強すべきことは何もないが、勉強した方がいいことは言うまでもない。

【補助参考書】
必修1000 心理学基本用語集
4874480136
必修心理学用語編集グループ


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