基礎心理学特論 002 心理学史
■ 基礎心理学特論 002 心理学史・近代以前からヴント心理学成立まで ■
▼ 1.近代以前
アリストテレスは、ある程度体制化された心理「学」を誕生させる。経験的事実を重んじ、心理学を体系的に論じた。プラトンは「心の座」を脳としたが、アリストテレスは心臓とした。
ヒポクラテスは四体液説(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁)、ガレノスは気質論(多血質、粘液質、胆汁質、憂鬱質)を展開。
トーマス=アキナスは神学大全の中で、心理学を進学の一部としていたが、アリストテレスの心理学を土台に人間の本質、能力、情念などについて心理学的思想を繰り広げた。
▼ 2.近代からヴント心理学成立まで
※大陸合理論とは、懐疑論(広く真であることを疑う態度)を深めることにより、どうしても疑いようのない立脚点をもとめ、そこから演繹(いくつかの前提から1つの結論を導くやり方)的に哲学体系を打ち立てようと考え。理性主義、生得主義ともいう。
※帰納とは
個々の事例から一般的な法則を導き出すこと。演繹の逆。
デカルトは、合理主義的帰納法を用いた哲学により、近代哲学の父とも呼ばれる。「コギト・エルゴ・スム(われ思う、ゆえにわれあり)」が有名。意識主義、生理心理学の淵源。
全ての存在は心とモノとに分かれるという心身二元論を提唱し、人間の身体に機械論の観念を適用した。プラトン以降多くの学者は心身二元論の立場であったが、デカルトは身体をはるかに重視し、精神はただ思考作用があるのみとした。
※機械論とは
機械をモデルにして宇宙を完全に説明しようとする哲学上の考え方。一般に機械論は唯物論と同じ意味で、自然主義と同義に使われることもある。自然主義とは、神や超自然的な知識をもちいず、化学や物理学の機械的な法則により自然現象を説明する思想。
※唯物論とは
物質を究極的な実在とする哲学上の説。この学説では、意識現象は神経系の物理的・化学的変化によって説明される。観念論(唯心論)に対立。
ライプニッツは、統覚の概念を提唱。モナド論。ライプニッツが主張する哲学によれば、宇宙は無数のモナドからなる。モナドとは表象と欲求という心的働きをもつ単純体。
▼ 3.連合主義心理学
連合主義心理学は、イギリスの経験論哲学に由来する心理学である。経験主義、連想(連合)主義とも呼ばれる。
イギリス経験論哲学とは、方法論としては帰納法(多くの事例や観察から一般的な結論を導き出す手法)、認識論的には経験説の立場をとる。人間の認識は経験によって獲得されるものであり、認識は経験の観察と分析から導き出されるとする。
連合主義心理学では、心理現象をすべて連合によって説明しようとする考え方をする。意識もその要素である観念の連合の法則により構成されている。連合は、青い水を見ると海を思い出すなど、知覚をきっかけにその知覚と関係ある概念が想起される現象をいう。
有名人は、ホッブズとロックの2名。
ホッブズは、「リヴァイアサン」を著し、全ての精神作用は究極において「感覚」に還元可能であり、心像や観念は感覚の余波であるとした。ちなみに「リヴァイアサン」は、自己保存をはかる利己的な存在としての人間が、各人の自己保存の自然権を行使すると、自然状態において「万人の万人に対する戦争」が起こる。そこで、人間は理性を発見する自然法によって各自の自然権を放棄する社会契約を結び、その遵守を保障する共通の権力としての国家を設立する、というのがその主旨。
ロックは、経験主義を創始したイギリスの哲学者。心理学上の連合主義の基礎を築き、認識そのものの起源および限界を経験に基づいて究明。ロックの経験主義は、知識の探求において感覚経験の重要性を強調。最初に経験主義学説を擁護したのはフランシス・ベーコンだが、ロックは上記の「人間知性論」において、経験主義学説に体系的な表現を与えた。
ロックは、生まれたばかりの人間の心はタブラ・ラサ(何も書かれていない板)であり、その上に経験によって知識が刻み付けられていくものと考え、直感も生得観念の理論も信じていない。「人は生まれながらの生得観念を持たず、全ての観念は生まれてから得られたものである」とする。また、ロックは、人間は全て生まれつき全であり、自立的であり、平等であると主張する。
その他、バークリー、ヒュームが有名。
バークリーは、物質は精神から独立に存在しえないと主張。一方、感覚現象は、人間の精神に常に知覚を呼び起こす神の存在を前提とするとも考えた。「存在することは、知覚されていることである」という言葉が有名。
ヒュームは、懐疑主義と経験主義の発展に貢献した哲学者。自然科学も形而上学も否定し、一切の知識は経験に基づくとした。病弱。全と悪の概念は合理的なものではなく、自分の幸福への関心から生まれると主張し、最高の道徳愛は博愛、つまり利他的な社会福祉の尊重であるとした。またヒュームは、富は貨幣ではなく商品に基づくという思想を展開し、経済に対する社会情勢の影響を認め、その経済理論によってアダム・スミスとその後の経済学者に影響を与えた。
19世紀に連合主義の心理学は完成期に達する。しかしヴントらの実験心理学により下火に。
ver1.1
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