基礎心理学特論 009 行動主義
■ 基礎心理学特論 009 行動主義 ■
ワトソンが提唱した行動主義は、行動を要素的レベル反応に分解し、複雑な行動も要素的な刺激(S)と反応(R)の関係に還元して考えることができるというものである。1920年代から1970年代まで「行動主義の時代」とされる。
▼ 1.ワトソン
アメリカの心理学者で、行動主義を提唱したことで知られる。1912年、キャッテルの招きによるコロンビア大学の講演で行動主義を提唱。ヴントの意識心理学を批判した。1915年、35歳でアメリカ心理学会(APA)の会長に就任するが、1920年、離婚問題で学会を去り実業界に転じた。
□ 1.基本的立場
心理学の目的は行動の予測とその支配であり、心理学は客観的、実験的な自然科学の一部門であるから、行動だけを問題にすべきであり、意識や内観は排除されなければならない。
行動は反応という要素からなり、反応は腺の分泌と筋肉の運動からなる。反応はそれを引き起こす刺激によって決定論的に決まる。従って、心は行動の随伴現象に過ぎない。
刺激→反応→行動→心
□ 2.ワトソンの研究
恐怖の古典的条件付け、アルバート坊やの実験が有名
▼ 2.新行動主義
新行動主義は、次の3つの思想的立場の影響を受け誕生する。
・哲学における論理実証主義
・物理学における操作主義
・ゲシュタルト心理学
新行動主義を積極的におしすすめたのはトールマンである。トールマンは、ワトソンの単純はS-R説に対して、SとRを媒介とする過程Oを考え、S-O-R説を提唱した。つまり、個体は特定の目標に向って指向的に行動するものであり、個体に内在する目標や状況の認知をその媒介過程の内容として考える必要があるとした。
□ 1.新行動主義に共通するワトソンとの相違点
・ワトソンよりも洗練された方法論で体系的な理論構成を目指した
・対象を分子的ではなく、巨視的として捉えた(ゲシュタルト的)
・刺激と反応の関係を機械論的にではなく、力動的に捉えようとした
・心理学を生理学に還元しようとせず、心理学のレベルで構築しようとした
□ 2.新行動主義の有名人
有名人は、トールマン、ハル、スキナーの3人。
▽ 1.トールマン
マサチューセッツ工科大学卒業後、ハーバード大学で学位を取得。ドイツ留学時にゲシュタルト心理学に触れる。SとRの間に媒介変数Oを組み込むことや、「サイン・ゲシュタルト」、「認知地図」などの概念を提唱した。
▽ 2.ハル
アメリカの心理学者。ハルの公準、動因低減説など。
▽ 3.スキナー
アメリカの心理学者で、オペラント条件付けの創始者。ハーバード大学で学位を取得。スキナーは条件刺激と強化の与え方(強化スケジュール)によってすべての学習行動を説明できると考え、刺激と反応を媒介する過程を問題としなかった。スキナーにとって、個体は空虚な存在に過ぎず行動が依存しているのは直接的な環境であり、従って環境条件を統制できれば行動を統制できると考えた。
ver1.1
| 固定リンク
「第25回 基礎心理学特論」カテゴリの記事
- 基礎心理学特論 002 心理学史(2004.12.20)
- 基礎心理学特論 003 生理学的研究と精神物理学(2005.01.22)
- 基礎心理学特論 004 ヴントの心理学(2005.01.28)
- 基礎心理学特論 005 ドイツ心理学(2005.02.06)
- 基礎心理学特論 006 アメリカ心理学・前篇(2005.02.06)
コメント