■ 心理学史 005 精神分析理論の発展 ■
精神分析(Psychoanalysis)とは、狭義にはフロイトが創始した心理療法の理論をさすが、そこから多数の心理療法理論が枝分かれし、その幅広い人間学的な視点によって20世紀の人間科学全体に大きな影響力をもった、いわゆる思想でもある。
▼ 1.アドラーの個人心理学
フロイトの「夢判断」を読んで精神分析に魅かれ、フロイトのもとに集まった一人。国際精神分析学会の創設に力をつくし、初期の精神分析運動の中心的メンバーの一人となった。しかし、フロイトの性欲説に不満を抱くようになり、人を行動にかりたてる動機はリビドーではなく、他者への優越の欲求(権力への意志)であると想定。この優越の欲求が主体の劣等感を補償しようとして生じ、その過補償ないしは補償不足が神経症をもたらすとした。
※フロイトと仲たがい
・人格の全体性
・劣等感
▼ 2.ユングの分析心理学
1907年のウィーン精神分析協会に参加しフロイトと出会い、国際精神分析学会の創設にアドラーとともに貢献してその初代会長となった人。フロイトがリビドーを「性的」なものとみなしたのに対し、ユングはもっと一般的な「心的エネルギー」とみなした。さらに無意識に対しても、フロイトのように快感原則に支配された「反理性的」なものとは考えず、むしろ意識を補償する積極的、肯定的な機能をもったものとみなす一方で、個人的無意識とならんで人類に普遍的な集合的無意識を仮定した。
※フロイトと仲たがい
・集合的無意識
・元型
・タイプ論
▼ 3.自我心理学
フロイトの娘、アンナ・フロイトによって創始された精神分析の一学派。一般心理学における自我心理学と区別するために、特に精神分析的自我心理学と呼ばれることもある。フロイトの自我・超自我・イドという構造論のうち、自我の機能を重視し、研究を発展させた。
※アンナ・フロイトは、最初は教育者として子供にかかわる仕事にたずさわっていたが、父親であるフロイトの影響をうけて、精神分析に児童分析という新分野を開拓する。その一方でフロイトとともに精神分析の理論の発展に大きく貢献した。クライントとは犬猿の仲。
・自我の適応的機能
・アイデンティティ理論
▼ 4.新フロイト派
フロイトの欲動論を批判し、文化的・社会的要因を重視した学派。フロイト左派とも呼ばれる。ホーナイ,K、フロム,E、サリヴァン,H.Sが有名。
・社会構造
・対人関係
▼ 5.対象関係論
精神分析的精神医学の一方法論。フロイトの理論を基にメラニー・クラインらが児童や精神病性疾患の精神分析に取り組む中で新しいやり方として発展させ、さらにそれをフェアベーン、ウィニコット、H.ガントリップらが推し進めた。
※クラインはアンナ・フロイトと犬猿の仲
・エディプス期以前の内的対象関係
▼ 6.その他:実存主義心理療法
フランクルは、第2次世界大戦中ユダヤ人であるという理由でアウシュビッツの強制収容所に送られ、家族や多くの知人をガス室で失った不遇な人(→人間は苦悩する存在)。
1950年頃、精神療法の一つとして実存分析(ロゴテラピー)を提唱。人間は身体的、心理的、精神的な3つの次元の統一体であり、フロイトの「快楽の意志」やアドラーの「権力への意志」だけでなく「意味への意志」をもつ精神的実存であると仮定した。だからこそ、人は心理的、身体的な欲求不満に陥るばかりでなく、みずからの生に意味や価値を見いだせない時に実存的欲求不満や実存的空虚感に陥り、それが解決されないときには精神因性神経症になると考えた。
・実存分析
・意味への意志
・実存的空虚
・実存的欲求不満
・精神因性神経症
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