■ 心理療法における諸問題 ■
▼ 1: 転移の発見
転移とは、治療者と患者の相互関係のことであり、フロイトにより発見される。フロイトは精神分析療法がある程度進むと、患者は治療者に対して愛情、賞賛、憎悪、不信といった強い個人的感情を向けてくることを経験した。しかも、それらは非合理的反応であり、原始的な仕方で表現される。
この現象に突き当たったフロイトは、患者が幼児期に重要人物(特に両親)に向けていた感情やイメージを、現在の治療状況の中で治療者に表現しているものと考え、これを感情転移と名づけた。
□ 1: 転移とは
(感情)転移とは患者から治療者に向けられるもので、患者が本来過去の重要な人物に向けるべき感情を治療者に向けてしまう現象である。転移は、対象へ近づこうとする肯定的で親近的な感情を伴う陽性転移と、対象を回避しようとする否定的で拒否的な感情を伴う陰性転移の2つに分けられる。
□ 2: 逆転移とは
逆転移とは、患者に対して引き起こされる治療者側の感情反応のことである。例えば、治療者が母親コンプレックスを抱いていると、同じように母親との関係でつまずいている患者には、自分の問題と重ねて必要以上に同調したり、反対に自分の問題に触れることを避けて防衛的になったりする。教育分析の必要性が説かれるものも、逆転移の弊害から免れるためである。
※教育分析とは
精神分析学の概念で、精神分析家になるため受ける分析のこと。自らの無意識的葛藤や抑圧されている問題を理解することが目的である。
※転移と逆転移
転移:クライエント(患者) →感情 →セラピスト
逆転移:セラピスト →感情 →クライエント(患者)
【キーワード】
●転移
●非合理的反応
●原始的
●過去の重要な人物
●感情
●陽性転移
●陰性転移
●逆転移
●教育分析
▼ 2: 共感
セラピストはまずクライエントを理解しなければならない。クライエントにとってこの理解されるという体験によって対人的な安全感が増し、治療促進的な場を作り上げることが出来る。クライエントの理解する方法は、知的な理解と体験的な理解の2つがあるが、共感は後者である。
体験的な理解とは、セラピストが自分自身の内的な体験(情緒を加えて)を通して、クライエントを理解することである。クライエントが感じていることを自分自身の中に移し変え、クライエントの内的世界と似た世界を自分の中に創り出していく。広範にはクライエントの内的状態をセラピストが体験的に把握することであるが、それは客観的・知的理解と機能的な調和をもつことにより意味をなすといえる。
▼ 3: 制限
□ 1: 面接時間
基本的に50分。患者が約束の時間に遅れても、時間は基本的に延長されることはない。
□ 2: 場所
面接室、プレイルームが使われる。場所も限定され、基本的に面接中は出入り禁止。時間と場所を特定化することで、面接の時間と場所が患者にとって安全で保護された空間、時間となりうる。また、心的交流が成り立つためには、現実的・物理的な構造条件が必要。
□ 3: 料金
患者は料金を払うことで、面接の時間を自分の時間だと感じることができる。自分の時間であるという感覚は、面接室での治療者に対する不満、否定的な感情を表現しやすくなる。
【キーワード】
●共感
●体験的な理解
●情緒
●クライエントの内的世界
●構造条件
▼ 4: 抵抗
抵抗とは、心理療法の過程でクライエントに見られる現象で、援助を求めながらも治療に反対しようとすることである。精神分析治療においては、無意識への到達を妨げるようなクライエントの全ての言動のことを指す。
一般には、面接によって無意識の欲望をあらわされることへの恐怖や心理的不快感から、連想過程や分析者の解釈、ひいては治療そのものに対して敵対的・拒否的になることである。遅刻、キャンセル、沈黙、話題の固定、話題の回避などがそれに当たる。
抵抗の分析は、特定の防衛の用いられ方や起源・発達を明らかにするものとし、転移の分析と共に精神分析療法において中心的な位置を占める。
▼ 5: 治療同盟
治療同盟とは、治療者・クライエント関係の中で、治療という共通の目的のために両者が手を組んでいる部分を示す構成概念である。
「やっていこう!」と契約を結ぶこと。
▼ 6: 治療構造論
治療構造論とは、時間、場所、治療形態などのセットのこと。ある病態に応じて処方されるべき手続きの全体を治療構造と呼ぶ。どのような契約を結び、構造を決定するかは治療対象や目標により異なるが、この治療構造はその後の治療者とクライエントの治療過程そのものを規定するため非常に重要。
▼ 7: 行動化(アクティング・アウト)
言語化を基礎とする心理治療において、無意識の衝動、記憶や態度や葛藤が言葉によらずに行動で表現されることを行動化と呼ぶ。狭義には精神分析の用語であるが、広義には、治療過程との関係なしに葛藤を外在化する行動一般を指す。自殺、自傷、他者に対する危害など。
【キーワード】
●抵抗
●無意識への到達を妨げる
●治療同盟
●治療構造論
●行動化
▼ 8: 心理療法におけるスーパービジョン
臨床心理士を志す人には、優れた専門的技術を持ち人間的修行につき合える指導者の存在が必要。スーパービジョンを受ける際の指導者をスーパーバイザーと呼び、被指導者をスーパーバイジーとよぶ。
【キーワード】
●スーパーバイザー
●スーパーバイジー
●スーパービジョン
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