長文論述・基礎篇 004 共感的理解と診断的理解
■ 長文論述・基礎篇 004 共感的理解と診断的理解 ■
■ 1: 問題 ■
心理臨床アセスメントにおける「共感的理解」と「診断的理解」の意義について述べよ。
■ 2: 解答 ■
心理アセスメントとは、心理的援助を必要とするクライエントに対して、面接、心理テスト、行動観察等により、その性格特性や能力等に関する情報を収集・分析し、クライエントの状態を理解し、処遇方針を定めていく方法と過程のことである。精神医学的診断と異なり、病理や問題点だけでなく健康的な側面や可能性にも着目するのが特徴である。その中で、心理臨床アセスメントにおける共感的理解と診断的理解は、クライエントと関わる臨床家にとっての基本的態度であると考えられる。
共感的理解とは、主観性を重視したクライエントを理解する方法である。目の前のクライエントの立場に自分を置き換え、クライエントの内面的な世界をあたかも自分自身であるかのように感じながら、一方でセラピストの個人性を失うことなしに、相手を理解しようとする態度である。一方、診断的理解とは、客観性を重視したクライエントを理解する方法である。心理検査などの客観的な状況を設定し、それに対するクライエントの反応から、クライエントに対する必要な情報を引き出そうとするものである。そして、これらの情報からクライエントの人格や行動およびそれらを規定している要因を多面的に捉え、客観的かつ総合的に判断を加えていくものである。
精神分析からはじまった心理療法の経緯を考えると、はじめはクライエントを客観的に理解する診断的理解が重視された。しかし、ロジャーズはこの情報収集的で技術的な診断的理解を批判し、出会いの体験を重視した共感的理解の重要性を強調した。現在では、この両者は共に補完しながらクライエントを理解する方法であり、どちらのアプローチも欠くことの出来ないものとして認識されている。この考え方は、新フロイト派サリヴァンの「関与しながらの観察」という言葉に集約されている。臨床家は、一方でクライエントと一体となり、一方で冷静かつ客観的な目で観察しなければならない。
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