カテゴリー「第22回 長文論述・基礎篇」の4件の記事

長文論述・基礎篇 004 共感的理解と診断的理解

■ 長文論述・基礎篇 004 共感的理解と診断的理解 ■

■ 1: 問題 ■
心理臨床アセスメントにおける「共感的理解」と「診断的理解」の意義について述べよ。

■ 2: 解答 ■
心理アセスメントとは、心理的援助を必要とするクライエントに対して、面接、心理テスト、行動観察等により、その性格特性や能力等に関する情報を収集・分析し、クライエントの状態を理解し、処遇方針を定めていく方法と過程のことである。精神医学的診断と異なり、病理や問題点だけでなく健康的な側面や可能性にも着目するのが特徴である。その中で、心理臨床アセスメントにおける共感的理解と診断的理解は、クライエントと関わる臨床家にとっての基本的態度であると考えられる。

共感的理解とは、主観性を重視したクライエントを理解する方法である。目の前のクライエントの立場に自分を置き換え、クライエントの内面的な世界をあたかも自分自身であるかのように感じながら、一方でセラピストの個人性を失うことなしに、相手を理解しようとする態度である。一方、診断的理解とは、客観性を重視したクライエントを理解する方法である。心理検査などの客観的な状況を設定し、それに対するクライエントの反応から、クライエントに対する必要な情報を引き出そうとするものである。そして、これらの情報からクライエントの人格や行動およびそれらを規定している要因を多面的に捉え、客観的かつ総合的に判断を加えていくものである。

精神分析からはじまった心理療法の経緯を考えると、はじめはクライエントを客観的に理解する診断的理解が重視された。しかし、ロジャーズはこの情報収集的で技術的な診断的理解を批判し、出会いの体験を重視した共感的理解の重要性を強調した。現在では、この両者は共に補完しながらクライエントを理解する方法であり、どちらのアプローチも欠くことの出来ないものとして認識されている。この考え方は、新フロイト派サリヴァンの「関与しながらの観察」という言葉に集約されている。臨床家は、一方でクライエントと一体となり、一方で冷静かつ客観的な目で観察しなければならない。

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長文論述・基礎篇 003 臨床心理学とカウンセリング

■ 長文論述・基礎篇 003 臨床心理学とカウンセリング ■

■ 1.問題 ■
心理療法における臨床家とクライエントの関係について、精神分析・来談者中心療法・認知行動療法では、それぞれどのように考えられているか述べよ。

■ 2.解答 ■
臨床家とクライエントの関係は、心理療法において不可欠なものであり、またそのアプローチ方法も心理療法によって異なる。まず、精神分析について述べる。精神分析は、フロイトによって創始された心理学理論であり、心理療法である。精神分析において治療者とクライエントの関係は、指示的・治療的関係が成立し、治療者と患者の関係が基本となる。自由連想法などにより、クライエントは自己の精神内界について思い浮かぶまま自由に報告する。臨床家は傾聴し、言語的に介入することで無意識的葛藤の意識化を取り扱う。その中心となるのは、直面・明確化・解釈である。

次にクライエント中心療法は、ロジャーズによって創始された心理療法である。クライエントの自己と経験を一致させ、自らその問題を解決できるようにすることがその目標。クライエント中心療法において治療者と患者の関係は、対等なものである。評価的ではなく受容的で、クライエントの主観体験に共感的で、かつ治療者が誠実であるような関係を作ることが目指される。態度条件としては、クライエントを共感的に理解し、無条件の肯定的配慮または関心を持ち、臨床家自身の感情とその表現、自己と経験が一致していることが必要である。このような関係においてのみクライエントの人間成長は促進される、というのがクライエント中心療法の考え方である。

最後に、認知行動療法における治療者とクライエントの関係も、対等なものと考えられる。ただし、クライエント中心療法と比べると認知行動療法では能動的に関わり、治療目標を設定し、治療方法や理論についての討議をリードする。そうした意味では教師と生徒の関係に近い。認知行動療法において治療者は、行動や情動だけでなく、考え方や価値観など認知的な問題も治療の標的とし、問題の改善を図る。したがって、臨床家はクライエントの認知の歪みに焦点をあてることにより、それに対抗し、修正し、適応を得られる行動を選択して実行していけるように指導する。精神分析やクライエント中心療法と比較すると、認知行動療法は治療者とクライエントの間に感情的な交流が生じる可能性は低い。

このようにアプローチ方法により関係も変わってくる。臨床家はそれぞれのアプローチによってクライエントと持つ最善の関係がどのようなものであるかについて、常に考慮に入れる必要がある。

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長文論述・基礎篇 002 臨床心理学とカウンセリング

■ 1.問題 ■
臨床心理学とカウンセリングの違いについて述べよ。
 
 
■ 2.解答 ■
日本では、臨床心理学とカウンセリングの違いが明確に区別されていない。この2つは、心理学を背景とし、個人の精神的・心理学問題を扱う専門的な援助活動である。しかし、アメリカではこの2つが明確に区別されており、臨床心理学とカウンセリングは共に独立した心理学の領域である。この両者の違いは、異なった観点から個人の適応問題にアプローチしてきたことに起因する。

臨床心理学の誕生は、19世紀末にウィットマーがペンシルバニア大学に心理クリニックを開設したときとされ、臨床心理学という用語もウィットマーにより初めて用いられた。臨床心理学の展開においては、精神測定法、精神分析理論が大きく寄与している。これにより臨床心理学が、「精神病理学的診断と治療に関与する」という特徴を生み出した。臨床心理学は、人の異常性や不適問題を生起させる潜在的な傾向や要因に焦点をあて、それらの問題を診断・変容・除去することを目的としている。

一方、カウンセリングは20世紀初頭の職業ガイダンス運動がはじまりである。これは生徒指導、職業指導、進路指導に心理測定や精神衛生など心理学的観点を取り入れたもので、教育現場を中心に普及した。カウンセリングを話し合い療法という意味で捉えるならば、原型はアメリカで形成されたといえる。この考えの中には「人は、自分を自己分析する力を持ち、その分析に基づいて賢明な選択をすることができる」という信念がある。カウンセリングは、予防・衛生に関与し、異常傾向や問題を持つ人であっても正常な部分に着目し、様々な事態に対処できる方法を援助していく。個人の資質や環境を最大限に利用し、よりよい成長や適応を援助することに関心をもっている。従ってカウンセリングは精神疾患の治療ではなく、健常者の問題解決、不適応問題の発生予防、人間成長への援助を目的としている。

このように、臨床心理学が精神病理の分野から誕生し、治療を目的としている。一方、カウンセリングは、ガイダンス運動、教育の分野から生まれ、予防・人間成長の視点から援助を目的としている。これが両者のアプローチ法の違いである。

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長文論述・基礎篇 001 使用法

■ 長文論述・基礎篇 001 使用法 ■

詳しいことは「補講:大学院試験勉強法」の「論述トレーニング」に記述してあるので、そこを参考にトレーニングを行って欲しい。

何度も言うようだが、論述では実際に書くという作業を含めて勉強する必要がある。まず問題を読み独力で答えを書きだす、その後、解答を読んで書きだす。これを何回も繰り返す。繰り返すうちに論述のコツやパターン、覚えるべきポイントがだんだんとわかってくる。

論述は勉強した分だけ確実に記述出来るようになる。手を抜かず勉強することが大切である。

※注意
この長文論述はあくまで解答例に過ぎません。論述勉強の参考に利用してください。
 

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