■ 基礎心理学特論 008 個人差の研究 ■
個人差の研究で有名人は以下の12人。
・ガル(骨相学)
・シャルコー
・ダーウィン
・ゴールトン
・ビネー
・キャッテル
・ターマン
・ヤーキーズ
・ウェクスラー
・スピアマン
・サーストン
・ギルフォード
▼ 1.フランツ・ヨーゼフ・ガル
脳は心の機関であると考え、機能局在の考えに基づき骨相学を着想した。骨相学とは、頭蓋骨の形によって人間のパーソナリティや知性がわかるという説で、19世紀欧米に広く普及した。
科学的な裏付けはなく、やがて信用をなくし、忘れ去られていった。
▼ 2.シャルコー
フランスの神経科医で臨床精神医学の父。サルペトリエール病院のスタッフに加わって精神科の診療所を開設し、この診療所は当時最高の評価を受けた。専門は、ヒステリー、催眠、失語症の研究。
シャルコーのもとには世界中から弟子と研究者が集まった。最も有名な弟子はフロイト。
▼ 3.ダーウィン
イギリスの博物学者。全ての生物は自然選択の作用によって時間をかけて進化するとの立場から、現代進化論の基礎をきづいた。
ダーウィンは「種の起源」(1859)で、自然選択(自然淘汰)を次のように述べている。
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あらゆる生物は、生存できる以上の子どもを産むため、必然的に生存競争が生じる。子どもの間には個体ごとの違いがあるため、生存競争においてはより適応した個体が生き残る。この過程の集積によって変種が生じ、変種が新しい種の発端になる。
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つまり、種の進化をもたらす「自然選択/自然淘汰」、「適者生存」の鍵となるのは、個体差に存在し、生存確率を高める遺伝的変異をもつ種は繁栄するという考え方である。
▼ 4.ゴールトン
優生学の創始者で、チャールズ・ダーウィンの従兄弟。遺伝と人体測定に興味をもち、身長、体重、体力など人間の特徴に関する数多くの統計を集めた。
メンタルテストを提唱する。精神現象の分析ではなく、全体的な結果に着目し多人数からデータを取った。その結果の処理に統計的方法を導入。実用化するために、多くの項目と器具を開発した。
※優生学
優生学とは、人間の遺伝についての研究から派生した考え。同じ血統には多くの優秀な人物が出ていることを調査で明らかにし、優れた才能は遺伝すると結論。すぐれた両親の子を多くすることにより、人類の遺伝学的形質を向上させることを目的とした。人間間にも優劣の差があると主張。
ちなみにこの優生学は、1925年頃から人種差別をしていること、主観的で偏見にとらわれた論拠の上で成立していること、科学的精密さが欠けていることなどを指摘され、厳しい批判にさらされる。
今日、優生学はまったく評価されていない。
※ダーウィンと同じ血筋で自分もここまで有名人だと、劣等遺伝子を排除しようとする気持ちがわからないわけではない。また、優生学がここまで厳しい批判の対象とならざるをえない事実は、目を背けたくなるような事実を優生学が照らしているからと思わなくもない。
▼ 5.ビネー
フランスの心理学者。フランスの小学校の特殊学級設置のため教育当局の諮問委員会に属し、「異常者の知的水準診断の新手法(ビネー=シモン式知能検査)」を考案した。
この知能検査は、年齢と共にしだいに難度の高い問題が解けるようになっていくという発達の一般的事実に基づき作成されたもので、当該年齢の子どもの大半が解答できる6問ずつの問題によって各精神年齢を定義し、子どもがどの年齢の問題まで解けたかによって精神年齢を判定する。
このビネー=シモン式検査は子どもが正常児であるか、または知的遅滞児であるか、という子どもの知能水準を測定することが主眼である。
※ビネーは、知識を単一の能力とみなさず多面的で高次な精神活動の複合と考えた。
▼ 6.キャッテル
アメリカ的な実験心理学の基礎を作ったのが、このキャッテルである。ヴントの元で研究助手を務め、個人差に着目した。その後ゴールトンに出会い精神検査/メンタルテストの研究をはじめた。
▼ 7.ターマン
1916年、ビネー=シモン式知能検査を改訂し、スタンフォード=ビネー改訂版を作成。適応年齢の範囲を広げて健常児の知能測定をはじめ、シュテルンの知能指数(IQ)という考えを導入して、検査結果をIQで表した。
この知能指数(IQ)は、IQ=精神年齢÷生活年齢×100で表される。平均的な子どもは100。
▼ 8.ヤーキーズ
アメリカの心理学者・霊長類学者。アメリカの第1次世界大戦参戦時に軍隊用の集団式知能検査を作成した。α式が言語性で、β式が非言語性。
▼ 9.ウェクスラー
ルーマニア生まれの心理学者。幼児から児童までしか測定できなかったビネー式知能検査の欠点を補い、さらに知能の因子構造を意識した知能検査を開発した。対象年齢によって、幼児用、児童用、成人用に分けられる。
・WISC(WISC-R)知能診断検査法
・WAIS成人知能診断検査法
・WPPSI知能診断検査法
※機会があればWISCを受けることをお薦めする。自分の知的機能に関する長所や短所を同時に把握することができ、自分の知的機能に合った勉強法を見出すことが(たぶん)できる。
▼ 10.スピアマン
イギリスの心理学者。34歳で心理学を志し、ヴントに弟子入り。知識の二因子説を提唱する。知識に因子という概念を導入し、すべての知的活動に共通に働く一般因子(g因子)と、相互に独立し個々の知的活動のみに特有の特殊因子(s因子)からなると考えた。
▼ 11.サーストン
アメリカにおける心理測定分野の第1人者。ギルフォードらと同じく、知識を構成している因子を研究し、知能の多(群)因子説を提唱。一般因子としてではなく、7つの群因子である基本的精神能力因子(言語理解・語の流暢性・数・記憶・知覚速度・帰納的推理・空間視覚化)であるとした。
▼ 12.ギルフォード
アメリカの心理学者。因子分析により、扱う情報の内容、必要とされる情報の操作、情報処理の所産の3次元からなる知能の構造モデルを提唱。それぞれ内容は4つの情報、操作は5つの思考、所産は6つの概念から構成され、これらの組み合わせ120種により知的処理を表現できると考えた。
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