カテゴリー「第20回 心理学用語・社会・1」の50件の記事

心理学用語集・社会 050 マネジリアル・グリッド

■ 心理学用語集・社会 050 マネジリアル・グリッド ■

マネジリアル・グリッドとは、ブレークとムートンによって提唱されたリーダーシップ理論である。この理論では、「生産(業績)への関心」と「人間(部下)への関心」の2次元から捉え、それぞれの次元を9段階に分ける。ここにできる計81の格子(グリッド)をマネジリアル・グリッドとよぶ。

ブレークらは、計81の格子から典型的な5つのリーダーシップ(1・1型、1・9型、9・1型、9・9型、5・5型)の類型を考える。

1・1型は、生産にも人間にも無関心な放任型リーダー、
1・9型は、生産を犠牲しても人間への関心が高い人情型リーダー、
9・1型は、人間を犠牲にしても生産最大化への関心が強い権力型リーダー、
9・9型は、生産にも人間にも最大の関心をしめる理想型リーダー
5・5型は、生産にも人間にもほどほどな妥協型リーダー、となる。

この5つの中では、両軸への関心が共に高い9・9型リーダーの管理スタイルが理想とされる。

※まとめ
[生産]・[人間]型という順序。数値が大きいほど能力が高い。

1・1型は、のび太
1・9型は、しずか
9・1型は、ジャイアン
9・9型は、できすぎ
5・5型は、スネ夫
といったところかと。
 

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心理学用語集・社会 049 PM理論

■ 心理学用語集・社会 049 PM理論 ■

PM理論とは、三隅二不二によって提唱されたリーダーシップ理論である。三隅はリーダーシップをP機能とM機能の2つの機能に分類し、リーダーシップの類型化を試みた。

P機能とは、課題解決ないし目標達成に関する機能で、問題解決に向けての計画を立てたり、部下を統率する行動を意味する。M機能とは、集団の存続や維持に関する機能で、人間関係に配慮したり、部下の意見を求めたりするなど集団の満足度や凝集性を高める行動を意味する。

PM理論は縦軸にM機能、横軸にP機能をとり、これらの機能をそれぞれ強く果たす場合(P╱M)と、弱く果たす場合(p╱m)に分けて表すと、リーダーシップは、PM、Pm(P)、pM(M)、pmの4類型となる。

一連の実証研究の結果、部下の意欲・満足はPM型>M型>P型>pm型の順となり、生産性した場合、短期的にはPM型>P型>M型>pm型となり、長期的にはPM型>M型>P型>pm型の順であることが明らかにされている。

※まとめ
P=課題解決
M=人間関係
両方備わっている場合が1番望ましく、PとMはPの人間関係の方がより評価される。
 

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心理学用語集・社会 048 リーダーシップ・スタイル論

■ 心理学用語集・社会 048 リーダーシップ・スタイル論 ■

リーダーシップ・スタイル論では古くからレヴィンらの研究が知られている。レヴィンらはリーダーの指導スタイルとして民主的リーダー、専制的リーダー、放任的リーダーの3つを設定し、成員の行動や態度を観察した。

民主的なリーダーは、作業の手順や目標はリーダーが議長となる集団討論によって決め、評価は客観的基準によって行なう。専制的リーダーは、全て自分が決める。放任的リーダーは、関与せず評価も行なわない。

その結果、民主的なリーダーの集団では、能率的で人間関係も良く、作業への意欲も高かった。専制的なリーダーの集団では、作業成績は高かったものの、意欲が低く、リーダーへの敵意や不満も強かった。放任的なリーダーの集団では、非能率的で意欲も低かった。

これらの結果から、民主的なリーダーの集団が最も優れているという結論が導かれた。

※まとめ
民主的なリーダー
質○・量○

独裁的なリーダー
質×・量○

放任的なリーダー
質×・量×

※この実験の結果は、民主的なリーダー賛美となったのは、民主主義の下僕レヴィンが行なったというところが大きい。またWW2やナチスという時代的背景も忘れてはならない。いずれにせよ、「あやしい」。
 

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心理学用語集・社会 047 ソシオメトリー

■ 心理学用語集・社会 047 ソシオメトリー ■

集団内の対人関係における選択・排斥・無関心というような心理的関係や集団構造に関して、モレノが考案した理論。文字通り「社会測定」という意味であり、今日ではその技法のひとつであるソシオメトリック・テストを意味することが多い。

ソシオメトリック・テストは、手段の描く成員に対してその成員が牽引(attraction)ないし反発(repulsion)の感情を抱く成員を指名させ、それによって、誰が誰を選び、誰に反発しているのかを明らかにすると共に、その関係や構造を調べ、それらを改善することを目指している。得られた結果はソシオグラムやソシオマトリクスによって整理される。

モレノ自身は、こうしたソシオメトリック・テストを非行少年収容施設で実施し、その結果に基づいて採光性を試みたところ大きな効果をあげたといわれている。しかし、このテストの実施そのものが潜在化していたネガティブな人間関係を顕在化させたり、負の関係を強化したりする可能性もある。

ソシオメトリーによる分析は、集団を相互に比較することを可能にし、人間関係の結合の強さを数量的・客観的に表示できるため、その後の社会心理学の研究に大きな影響を及ぼした。
 

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心理学用語集・社会 046 集団思考

■ 心理学用語集・社会 046 集団思考 ■

ジャニスにより提出された概念で、凝集性の高い集団において、集団過程が意思結果の質や量を低下させることをいう。

大きく以下の3つに分けられる。
タイプ1.集団全体として過度の楽観主義。
タイプ2.外集団の蔑視や軽視、スローガン的単純思考(ステレオタイプ的思考)などの閉鎖的な心理傾向。
タイプ3.集団の中での意見の一致追求傾向、疑問の抑圧など斉一性への圧力。
 

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心理学用語集・社会 045 集団極性化(集団極性現象)

■ 心理学用語集・社会 045 集団極性化(集団極性現象) ■

集団意思決定では、個人の意思決定をする場合よりも、集団の態度がより極端な方向へシフトする現象。一般的には、個々人の当初の判断や行動傾向、感情などが、集団全体を通してより強められることをさす。

集団がより危険性の高い勇ましい決定になることをリスキー・シフトといい、集団がより慎重な決定になることをコーシャス・シフトという。
 

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心理学用語集・社会 044 集団凝集性

■ 心理学用語集・社会 044 集団凝集性 ■

集団の成員を自発的にとどまらせる力のことを、集団凝集性という。個々の成員が集団全体や他の成員に対して感じる魅力などを反応指標に測定したり、ソシオメトリーの手法によって測定される。

一般に、凝集性の高い集団は、成員間での相互理解・受容、役割分化、類似した意見・態度、相互魅力などにより特徴付けられる。凝集性の高い集団は動機付けが高いが、場合によってはその高さが決定の柔軟性や情報探索の範囲を狭めることもある。

▼関連知識
※ソシオメトリー
ソシオメトリーは、モレノにより考案されたもので、「集団の心理的な特徴を数学的に研究すること」であり、「数量化のための実験的技法や得られた結果そのもの」をさす場合もある。現在では、その技法のひとつであるソシオメトリック・テストをさす場合が多い。
 

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心理学用語集・社会 043 アナウスメント効果

■ 心理学用語集・社会 043 アナウスメント効果 ■

アナウンスメント効果とは、投票行動研究の用語で、マスコミが世論調査に基づいて選挙結果の予測を報道すると、それが実際の選挙に影響を与えること。影響の方向には、バンドワゴン効果とアンダードッグ効果の2つが考えられる。

バンドワゴン効果とは、有力と報道された候補者や政党に対する票が増大する現象をいう。一方、アンダードッグ効果とは、バンドワゴン効果とは逆に、不利と報道された候補者や政党に対する同情票が集まる現象である。

※全体として影響の方向は相殺されやすい。
 

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心理学用語集・社会 042 多数の無知

■ 心理学用語集・社会 042 多数の無知 ■

オルポートの造語で、多次元的無知ともいう。集団や社会の成員が互いに感情や意見を知らないために生じる認知状態のこと。

たとえば、多数の人がソニーはもうヤバイと思っているのにも関わらず、お互いにそうした真意をしたらないため、表面的には「ソニー・ブランドは世界水準!」という多数の一致した意見が形成されるような場合をいう。
 

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心理学用語集・社会 041 沈黙の螺旋

■ 心理学用語集・社会 041 沈黙の螺旋 ■

沈黙の螺旋とは、ノエレ・ノイマンが提唱した、世論形成に関するモデルである。大部分の個人は孤立することを非常に恐れるため、自分の意見が劣勢であると認知すると、意見表明を控えるようになる。それにより特定の意見が実際以上に優勢であると認知するものが増え、多数派への同調行動が生じ、少数意見はますます表明されずに減少する。

このようなダイナミズムの中で優勢な意見が世論となっていくというものである。

1.多数派の意見は声高々に言われる!
2.孤立はイヤなので、自分は多数派だと思うものが増える。
3.少数派は孤立するのがイヤなので、意見表明を控える。
4.このダイナミズムの中で優勢な意見が世論となっていく。

▼関連知識
※第三者効果
世論形成に関するモデルで、マス・メディアの影響は自分ではなく他者に及ぶとみなす傾向。
 

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心理学用語集・社会 040 議題設定効果

■ 心理学用語集・社会 040 議題設定効果 ■

マス・メディア、特にニュースなどで大きく取り上げられた特定の争点やトピックの扱われ方、強調のされ方が、われわれの現実生活に直接影響を及ぼす効果をさす。メディアが何を取り上げ、何を取り上げないかによって、マス・メディアはわれわれの認識に影響を与えている。

たとえば、本来M&Mなどは経営陣らの問題であり、われわれには全く関係ない話なのだが、その問題が今の最重要トピックで、それ以外のトピックは重要度が低いように認知されている(2005/03/28)。
 

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心理学用語集・社会 039 コミュニケーションの2段の流れ

■ 心理学用語集・社会 039 コミュニケーションの2段の流れ ■

コミュニケーションの2段の流れとは、1950年代のアメリカでラザースフェルドらによって主張されたマス・コミュニケーションの需要過程に関する仮説である。マス・コミュニケーションの影響は、まずマス・メディアからの情報に積極的に反応するオピニオン・リーダーが受け止め、次いでオピニオン・リーダーがパーソナル・コミュニケーションを通してフォロワーに伝わり、効果を及ぼすとする。

マス・メディアからの影響は、直接集団内の個々人に伝わり、効果を及ぼすものではない。

マス・メディアの効果よりも、個々人の対人的なコミュニケーション効果を強調した仮説であるが、命題のあいまいさや調査結果の過度の一般化への批判も少なくない。
 

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心理学用語集・社会 038 暗黙の性格理論

■ 心理学用語集・社会 038 暗黙の性格理論 ■

暗黙の性格理論とは、ブルーナーらが提唱した人が他者のパーソナリティや、パーソナリティと関連する属性間の相互関連について漠然とした形で抱いている考え方や信念の体系である。

例えば、血液型やルックスと性格の関連、ステレオタイプ、さらには「暗い人は神経質」といったような性格特性の相互間に仮定された関連性などが含まれる。

「暗黙」とされるのは、こうした信念が社会生活の中でいつの間にかに獲得され、意識的に対人場面に適用するのがマレだからである。暗黙の性格理論は、個人に固有の認知的システムであるが、個人間に共通の構造を見出す試みがなされている。この暗黙の性格理論や対人認知構造の解明は、対人認知研究における重要な課題の1つである。
 

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心理学用語集・社会 037 ネガティビティ・バイアス

■ 心理学用語集・社会 037 ネガティビティ・バイアス ■

ネガティビティ効果ともいう。一般に印象形成など事態において、評価的にポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が重視されやすいことをいう。

こうしたバイアスが生じる原因としては、人は一般に他者をポジティブなものとして認知する傾向がある(パーソン・ポジティブ・バイアス)ため、ネガティブな情報を与えられると、その情報がより注目されやすくなり重視されることになる。また、ネガティブな情報の方が、曖昧性が低く、診断的価値をもつなどの説明がされている。
 

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心理学用語集・社会 036 ピグマリオン効果

■ 心理学用語集・社会 036 ピグマリオン効果 ■

ピグマリオン効果とは、人が他者に対して抱いた期待が後で成就するように機能してしまう効果のこと。とくに教育場面では、教師が生徒に対してある期待をもつと、実際にその期待が実現されてしまう現象をさす。ピグマリオンはギリシア神話からとったものであるが、ローゼンソールらの実験が有名で「ローゼンソール効果」、「教師期待効果」ともよばれる。
 

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心理学用語集・社会 035 印象形成

■ 心理学用語集・社会 035 印象形成 ■

印象形成とは、他者認知において他者に関する限られた情報を手がかりとして、全体的なパーソナリティを推論することである。

この印象形成の概念を最初に取り上げ、ある人物についての印象がどのような心理的機制によって形成されるかを実験的に検討し、それによって対人認知に関する研究を切り開いたのはアッシュである。

アッシュは、性格特性を表す形容詞のリストを用いて、そうした人物についての全体的な印象を記述させるという実験を行なった。その結果から、ある人物の全体的印象は「暖かい」、「冷たい」といった中心的特性を核として他の情報が体制化されることで形成され、決して個々の特性がモザイク的に合成されるわけではないことを主張した。さらにアッシュは、同じリストであっても呈示順序で全体的印象が異なることを示した。

今日では、性格特性について限られた情報から全体的な印象が形成されるのは、パーソン・スキーマや暗黙の人格観の働きと考えられている。また、印象形成の過程で、光背効果、寛大効果、ステレオタイプ化といった様々なバイアスが混入しやすいことも指摘されている。
 

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心理学用語集・社会 034 帰属理論

■ 心理学用語集・社会 034 帰属理論 ■

われわれは自己や他者の行動、出来事について、その原因を推論し、自己や他者の内的な特性・属性に関する知識をえる。こうした帰属過程に関する理論の総称を帰属理論とよぶ。

この帰属理論を最初に提唱したのはハイダーである。ハイダーは、人々は断片的であれ、対人関係に関する素朴な理論や知識をもって対人関係を営んでいる。それゆえ心理学はこの人々の素朴心理学を学び、それを再構成する必要があると考えた。

ハイダーは内的帰属(行為者の能力、性格に帰属させること)と外的帰属(環境、状況などに帰属させること)という概念を提唱。その後、ケリーの分散分析(ANOVA)モデル、ジョーンズとデーヴスの対応推論理論、ベムの自己知覚理論、シャクターの情動のラベリング理論、ウィナーの達成場面における成功・失敗の原因帰属の理論などが提出されている。

今日では帰属過程はモデルで必ずしも説明できるものではなく、認知要因や自尊感情などによって誤りやバイアスが生じやすいものであることが明らかにされている。
 

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心理学用語集・社会 033 基本的な帰属の誤り

■ 心理学用語集・社会 033 基本的な帰属の誤り ■

基本的な帰属の誤りとは、他者の帰属において行為者本人の側の内的な原因が重視されすぎて、外的状況要因によって決定された行動からも、行為者の態度や性格などが推測されてしまう傾向。非常に広範にみられる。

この概念は、たんなる帰属判断のエラーの一現象にとどまらず、帰属理論の展開において推論過程の再検討を促す契機となった。
 

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心理学用語集・社会 032 ステレオタイプ

■ 心理学用語集・社会 032 ステレオタイプ ■

社会に存在するさまざまな対象に対して、人は多種多様な認知や情動を抱く。これを態度という。これに対し、ステレオタイプ(紋切型)とは、態度の認知成分に関わるもので、その文化や社会に共通される信念のことである。われわれは通常、周囲の人々やメディアを通して経験的にステレオタイプを形成している。

このステレオタイプは、自分なりの考えを作り出すことを阻害し、偏見や差別意識を生み出すこともある。しかしその一方で、ステレオタイプの働きにより、複雑で流動的な世界を効率よく認知し、適応的に行動できているともいえる。
 

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心理学用語集・社会 031 単純接触の効果

■ 心理学用語集・社会 031 単純接触の効果 ■

相手に対して積極的に働きかけなくとも、ただ一緒にいて接触の頻度が高まれば高まるほど、相手への好意度や魅力が増す現象。ザイアンスは、顔写真を見る回数(接触頻度)とその顔写真に対する好意度との間に正の相関があることを見出し、この結果を実証した。

ザイアンスは、新奇な対象に対して不安や嫌悪感を生じる傾向があるが、繰り返し対象に接触することにより慣れはじめ、不快感が消失し、結果として好意度が増すと説明した。

同じ職場の男女が最初はお互いそれ程意識しなかったのに、いつの間にかひかれ合っていくという事実は、この説によって説明できる。
 

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心理学用語集・社会 030 社会的ジレンマ

■ 心理学用語集・社会 030 社会的ジレンマ ■

社会的ジレンマとは、個人の利己的関心から利益につながる合理的行動と、社会の成員たちの協力によって成り立つ全体的な利益確保との両立が不可能な事態をさす。

社会的ジレンマ問題は、環境問題や公共財問題などわれわれの社会における諸問題と密接に関係しているため、この問題の理論的・実践的解決に向け様々な学際的アプローチがなされている。

※たとえば、夏場の暑さを免れるために各自がエアコンをそなえると、電力供給力を超えて停電したり、年の温暖化現象を招いたりするような状態である。「自分ひとりぐらいは」という考えで社会的コストの負担を免れようとみなが思うことで、結局は全員が損失を被ることになるのが社会的ジレンマである。

※社会的陥穽(かんせい)
プラットは社会的陥穽という、社会的ジレンマに類似した概念を提唱した。これは個人の利益追求が長期的な罰をもたらすというもので、3つのタイプに分類される。

1.自業自得
目先の利益追求。「アリとキリギリス」のキリギリス。

2.英雄不在
誰かが動けば現状打開できるのに、誰もそのような行動を取らない状態。全員苦痛を味わう。

3.個人にとっての善と集団にとっての悪
各個人が自分の利益を追求する結果、全体の利益が危うくなる場合。社会的ジレンマの場合のこと。
 

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心理学用語集・社会 029 囚人のジレンマ

■ 心理学用語集・社会 029 囚人のジレンマ ■

ゲーム理論における非ゼロサムゲームのひとつ。すなわち2人のプレイヤーにとって相手の出方に関わりなく遊離になる戦略が決まっている。

2人の囚人がいて、方略は以下の通り。
・双方(AとB)が自白しなければ共に1年の服役
・一方(A)が自白し他方(B)が黙秘したときAは釈放で、Bは10年の服役
・両者が自白した場合、共に5年の服役

もし両者が協力して自白しなければ両者には明白な利益が存在するが、協力関係にない場合は最悪の事態を避けようとして、結局は両者共に自白するという行動が取られる。

このように、すべての者が一致して望む結果が存在するのにも関わらず、それは選択されず相対的に劣る事態が均衡として選択される状態を囚人のジレンマという。

※ちなみに、囚人のジレンマにおける最適な戦略は「しっぺ返し(応報戦略)」。相手が行なった行動をマネするというもの。つまり、「黙秘」したら「黙秘」を、「自白」したら「自白」するという戦略。

※ゼロサムゲームとは、相手が「+」になると自分が「-」になるゲームのこと。足して「0」になることから、ゼロサムゲームという。典型的なのは株式市場。何も考えない初心者の金は、熟練者に吸い上げられる。何も考えない初心者は「-」となり、熟練者は「+」となる。
 

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心理学用語集・社会 028 パーソナル・スペース

■ 心理学用語集・社会 028 パーソナル・スペース ■

パーソナル・スペースとは、対人関係の距離に関する要因で、自分の身体の一部ではないがまるで自我の延長のような空間である。パーソナル・スペースは、性別、年齢、パーソナリティ、心的障害、文化的要因によって影響される。

通常、パーソナル・スペースが他者による侵入を受けると不快な緊張状態に陥るが、その侵入が好意を解釈されれば親密な行動をその他者に返すことが指摘されている。
 

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心理学用語集・社会 027 攻撃行動の社会的学習説

■ 心理学用語集・社会 027 攻撃行動の社会的学習説 ■

攻撃は社会生活の中で獲得・維持される行動であるという説。他者の子攻撃行動を観察することによってモデリングが生じ、学習が成立するという。

子どもがテレビや漫画の登場人物の攻撃行動を見た後で、攻撃行動が現れやすいのはそこで観察学習が行なわれているからである。
 

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心理学用語集・社会 026 攻撃行動の情報発散説(攻撃手がかり説)

■ 心理学用語集・社会 026 攻撃行動の情報発散説(攻撃手がかり説) ■

バーコウィッツは、欲求不満が攻撃を生む必要条件ではあっても十分条件ではないと考え、攻撃手がかり説を提唱した。

これは怒りなどの不快な情動状態には、攻撃への動機が含まれると仮定し、そこに攻撃的な意味を帯びた手がかり(銃やナイフ)が与えられると、攻撃行動が促進されるとする説である。

たとえば、怒りがあっても手がかりになるものがなければ壁を蹴っ飛ばす程度であったかもしれないが、銃があったばかりに相手を撃ってしまうことも。
 

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心理学用語集・社会 025 攻撃行動の情動発散説(欲求不満-攻撃仮説)

■ 心理学用語集・社会 025 攻撃行動の情動発散説(欲求不満-攻撃仮説) ■

攻撃は、環境によって誘発された内的動因が刺激される結果生じるという立場。この考えの発端になったのはダラードらの欲求不満-攻撃仮説である。

ダラードらは、欲求不満(フラストレーション)が攻撃動因を喚起し攻撃行動を引き起こし、攻撃行動の裏には欲求不満があるとした。攻撃動因が外部刺激を通して生じると仮定する点で、本能説とは基本的に異なる。またダラードはその一方で、カタルシス効果も取り上げた。攻撃以外の形でカタルシス(不快感情の発散)が得られれば、必ずしも攻撃行動に結びつかないという。

この説をきっかけに攻撃行動に関する研究が活発に行なわれるようになった。しかし、この欲求不満-攻撃仮説自体は曖昧さや矛盾を含んでいたためさまざまに批判された。

そしてこれを修正したのが次の「攻撃手がかり説」である。
 

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心理学用語集・社会 024 攻撃行動の本能説(内的衝動説)

■ 心理学用語集・社会 024 攻撃行動の本能説(内的衝動説) ■

これは攻撃行動が本能的な内的衝動からもたらされるという立場である。この立場をとるのは、精神分析学のフロイトと動物行動学のローレンツの2人。

フロイトは、性の本能(エロス)と死の本能(タナトス)の2大本能を仮定し、攻撃性は死の本能から派生したもと考えた。この死の本能は自己破壊の衝動であるため、これが生の本能と妥協することにより転化され、他者や外部を破壊する攻撃衝動になるとした。

動物行動学のローレンツもこれに似た立場に立ち、攻撃は個体や主の保存に必要な生得的本能であると考える。すなわち、個体には「本能的な攻撃エネルギー」があり、このエネルギーが高まったとき攻撃を誘発する刺激があれば攻撃行動が生起し攻撃が行なわれる。

フロイトとローレンツの理論はいずれも攻撃が本能的なものであり、不可避的に生じるという点では共通している。しかし、フロイトが攻撃性を破壊的で反生命的な性質としか見なかったのに対し、ローレンツは種の維持と進化に貢献する有益な特性であると捉えた点で異なる。
 

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心理学用語集・社会 023 傍観者効果

■ 心理学用語集・社会 023 傍観者効果 ■

援助が必要とされる事態において、自分以外に援助可能な他者の数が多いほど個人が援助を控えてしまうという逆説的な効果のこと。

ラタネとダーレーは援助事態に多くの人間がいるにもかかわらず、援助が行なわれない原因を追求して、この現象の存在を明らかにした。

これによると、
・他の人が何もしないのを見ることにより、事態が必ずしも援助を必要としないと解釈されやすい
・他に人がいるために不介入の責任が分散される
・自らの援助が失敗したときに、それを他者に見られる可能性を警戒する
という説明がなされている。
 

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心理学用語集・社会 022 向社会的行動

■ 心理学用語集・社会 022 向社会的行動 ■

他者の利益のために、報酬を期待することなく自発的になされる行動のことをいう。利己的行動に対応させて利他的行動ともいう。
 

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心理学用語集・社会 021 社会的手抜き

■ 心理学用語集・社会 021 社会的手抜き ■

集団で共同作業するとき一人当たりの作業量が、人数が多くになるにつれて低下する現象。社会的インパクト理論によれば次のように説明される。作業者が多数になるほど「できるだけ一生懸命やる」という圧力が分散され、一人に与えられるインパクトの量が弱まるためである。

※1人で歌うカラオケは気がすむまで声を出して歌うが、グループ合唱の時は口パクになるのは、この現象のためである。

▼関連知識
※社会的インパクト理論
社会的インパクト理論とは、ラタネの提唱した理論で他者の存在が個人の心理や行動に及ぼす影響を定式化しようとする考え方である。影響源の強度(S)、影響源と受け手の近接度(I)、影響源の人数(N)から構成されている。

この理論では、社会的インパクト(Imp)に及ぼすこれらの関係が、

Imp=f(S×I×N)

で表される。また影響源となる他者の人数が増加した場合、社会的インパクトは大きくなる。逆に影響源である他者は一人で、これを受ける個人の人数が増加すれば、社会的インパクトは分散し小さくなる。
 

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心理学用語集・社会 020 同調行動

■ 心理学用語集・社会 020 同調行動 ■

同調とは、個人が集団や他者の設定する基準や期待に沿って行動を変化させることである。アッシュは、線分の長さを判断する課題を用いて、集団圧力下に於ける同調行動の問題を検討した。

実験
・7人の実験協力者と1人の真の被験者
・真の被験者は標準刺激と同じ長さの線分を比較刺激の中から選択する
・正解は明らかな容易な課題
・協力者は次々と誤答する

→1人で課題に取り組んだときは正答したのにもかかわらず、協力者の答えに同調して誤答するようになった
・協力者7人の一致の時が最も同調行動が多くみられる
・協力者1人でも正答すると同調行動は大幅に低下した
・その正答した協力者が誤答すると真の被験者の同調行動も増加した
・協力者が3人の場合が最も同調行動が多い
・協力者の人数を増やしても同調行動の変化は見られない

これらのことは同調行動が多数であるがゆえ生じるのではなく、多数派が一致した行動をとるとき斉一性への圧力が高まり同調行動が起こりやすくなることを示している。

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心理学用語集・社会 019 社会的勢力

■ 心理学用語集・社会 019 社会的勢力 ■

社会的勢力とは、他者の行動、態度、感情などを望むように変化させる能力のことである。社会的権力ともいう。権力という場合、受け手の抵抗を排除して、強制的に影響を及ぼすことをさす。

他者に影響を及ぼすことの出来る源泉として、フレンチとレイヴンは5種類(報酬勢力・強制(罰)勢力・正当勢力・専門勢力・参照(関係)勢力)の勢力に分類し、社会的勢力の基盤に何があるのかを考察した。

1.報酬勢力
他者が自分にとって報酬となるものを与える能力があると認知するとき

2.強制(罰)勢力
他者が自分にとって罰となるものを与える能力があると認知するとき

3.正当勢力
社会的・文化的規範などにより他者が自分に影響を及ぼす正当な権利を持ち、自分はそれに従うべきだと価値観を内在しているとき

4.専門勢力
ある特定の領域における他者の知識や技能が自分よりも優れていると認知するとき

5.参照(関係)勢力
自分が他者に同一化して、その他者が考えたり行動したりするのと同じように自分も考えたり行動したりしようとするとき

これらの場合、その他者は自分に対して社会的勢力を有する、という。これらのうちいずれが用いられるかは、年齢や、性別、領域などの要因によってさまざまに異なる。
 

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心理学用語集・社会 018 ブーメラン効果

■ 心理学用語集・社会 018 ブーメラン効果 ■

唱導方向とは逆への態度変化。送り手の意図に反して、唱導された立場から離れる方向へ、受け手が意見や態度を変える現象。ブーメラン効果は、説得への抵抗の中でも動的・積極的で以降である。

この現象が生じる要因としては、
 ・テーマに関する自己関連度の度合い
 ・送り手と受け手の立場の違い
 ・送り手からの圧力
など、さまざまな指摘がある。

たとえば、バランス理論ではこの現象が生じるメカニズムを、好ましくない、あるいは外部集団である他者が自分と同じ意見を主張すると、その他者とは異なる方向に意見を変えることが起きうる、と説明している。また、リアクタンス理論によれば、自由を回復するべく唱導方向とは逆に態度が変化する、としている。

※「勉強しなさい」という脅威に対し、私は「遊ぶ」ことで自由を回復してきたといえる。
 

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心理学用語集・社会 017 リアクタンス

■ 心理学用語集・社会 017 リアクタンス ■

態度や行動の自由が脅かされたときに生じる、自由の回復を目指す動機付け。説得への抵抗をもたらす要因のひとつ。

人は自分の意見や態度を自由に決定したいという動機を持っており、それが脅かされると、自由回復へ動機付けられ、これを心理的リアクタンスとよぶ。自由が確信されているほど、自由が重要であるほど、自由への脅威が大きいほど、喚起されるリアクタンスも大きい。態度の自由は、唱導された立場をとらないことによって回復する。

人が説得を受けるとき、唱導方向に態度を変えるよう圧力がかけられると、受け手は態度決定の自由が脅かされたと感じ、唱導された態度をとらないことで自由の回復を獲得するとこの論では説明する。

※たとえば、
1.「勉強しなさい」と親や教師(送り手)が言う。
2.子ども(受け手)は。「勉強すること」が自由への脅威になると感じ、心理的リアクタンスが生じる。
3.子どもにとって自由は重要であり、親の説得や勉強の脅威が大きいため、必然的にリアクタンスは大きいものとなる。
4.子どもは、勉強をしないという対処法略により、自由の回復を獲得する。
従って、子どもに対する親や教師の「勉強しなさい」という脅迫的説得は、望ましいものではない。私が今まで「勉強しなさい!」と言われて意地でもしなかったのは、このためだったのか・・・。
 

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心理学用語集・社会 016 接種理論

■ 心理学用語集・社会 016 接種理論 ■

接種理論とは、説得への抵抗をつける方法を扱った理論。「健康のために運動した方が良い」のように、社会のなかで疑問の余地のないものとして受け入れられている「自明の理」を扱う。こうした「自明の理」としての信念は、「免疫」がない状態であり、そのため「運動することは健康を害する」という逆宣伝に対して容易に説得されてしまい、態度変容が起こってしまうことになる。

※常識ほど説得されやすいということ。

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心理学用語集・社会 015 精緻化見込みモデル(精緻化可能モデル)

■ 心理学用語集・社会 015 精緻化見込みモデル(精緻化可能モデル) ■

説得による態度変化の生起する過程と、変化後の態度の性質を話題ついての熟考が生じるかどうかによって説明する理論。

「精緻化見込み」とは、説得内容についてその論拠を精緻に調べる可能性をさし、精緻化する「能力」と「動機付け」があるかどうかによってその可能性は異なってくるとされる。

このモデルでは、態度変化にいたるルートは、中央ルートと周辺ルートの2つ存在する。中央ルートは、説得内容を調べる能力と動機付けがあるとき、このルートにより処理される。従って好意的な思考が優勢になれば態度変化が生じるし、非好意的な思考が優勢になれば否定の方向へと態度が変化する。

一方、周辺ルートは、説得内容を調べる能力と動機付けがないとき、このルートにより処理される。このルートでは、周辺的な手がかりにより態度変化が生じたり生じなかったりする。この周辺的な手がかりとは、
 ・説得相手の魅力や信憑性
 ・論拠の数
 ・自分の過去の行動
などである。

一般に中心ルートによる態度変化は、本質的な認知変化を伴う。これに対し周辺ルートによる態度変化は、表面的な変化にとどまりやすい。
 

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心理学用語集・社会 014 スリーパー効果

■ 心理学用語集・社会 014 スリーパー効果 ■

一般的に信憑性の高い送り手のメッセージが、説得効果をもつ。しかし、信憑性の低い送り手であっても効果が生じることがあり、これをスリーパー効果とよぶ。

すなわち、メッセージの受け手は、相手が信憑性の低い送り手であるため、内容を受け取らず態度変化は生じない。しかし、時間の経過と共に送り手とメッセージが分離するため、相対的に説得効果が上がると説明される。

たとえば、「この株を買えば絶対儲かる」というあやしい雑誌を見たときは、額面どおりには受け取らない。しかし、しかし、しばらく時間が経つと、あやしい雑誌のことは忘れてしまい、情報だけ単独で思い出され、結果的には説得効果が増すような場合をスリーパー効果という。

※ちなみに信憑性の高い送り手の説得は、時間と共に効果が減少する。
 

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心理学用語集・社会 013 社会的態度

■ 心理学用語集・社会 013 社会的態度 ■

社会的態度とは、人の社旗宛期行動を予測・説明するために考案された仮説的構成概念のひとつ。単に態度とも呼ばれ、社会心理学の中心的概念である。態度という言葉を心理学で最初に用いたスペンサーは、態度を判断や思考を一定の方向に導く先有傾向という意味で用いている。

また社会学者のトマスとズナニエツキは、態度を「社会的世界の中で、各人の現実の反応および潜在的反応を決定する個々の精神的過程」と定義し、社会の中で個人の行動を説明するための概念として導入している。

オルポートは、これらを吟味した上で、次のように定義している。「経験を通して体制化された精神的、神経的な準備状態であり、個人にかかわりを持つあらゆる対象や状況に対するその個人の反応に、指示的ないし力動的な影響を及ぼすもの」である。


態度の形成、構造、変容、機能に関してはいろいろな意見がある。具体的には、均衡理論もしくは一貫(斉合)性理論、機能的アプローチ、情報論的アプローチ等に大別される。ハイダーに代表される均衡理論は、態度成分間に均衡が保たれているとき人は快適と感じ、不均衡であると不快を感じる。それゆえ均衡に向かって全体が構造化されるという原理に基づいている。

機能的アプローチは、個人の動機的側面を重視するもので、カッツは態度の機能として適応機能、自我防衛機能、価値表出機能、知識機能の4つを挙げた。

適応機能とは、人は態度が指し示す行動をとることによって、快や報酬を最大化し、苦痛や罰を最小化しようとする機能である。つまり、好きなものに接近することで快を得たり、嫌いなものを回避することで苦痛を回避したりする。この態度に従って行動することで、環境への適応が図られる。

自我防衛機能とは、自我を脅かす内的葛藤を処理する働きがある。つまり、望ましくない自己を直視する苦痛から、自我を保護する仕組みが備わっている。たとえば、好きな子に告白しようとしても出来ないとき、それを認めてしまうと自分が惨めになる。そこで投影が起こり、好きな子は他の人が好きに違いないと思う、などである。

価値表出機能とは、自己概念の妥当性を確認し、自尊感情を高める働きである。

知識機能とは、複雑な社会を理解し、効果的な対処を可能にするような判断の枠組みを提供することである。たとえば「私は心理家である」などのように、ある立場をとることにより、その視点から社会が整理され首尾一貫したものとして認識することが出来る。
 

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心理学用語集・社会 012 没個性化

■ 心理学用語集・社会 012 没個性化 ■

没個性化とは、集団・群集状況では、個人が自分自身に注意を向けず集団の中に自己を埋没させてしまう。それにより平常状態では抑圧されていた行動、特に非合理的、攻撃的、反社会的行動が起きやすくなるといった現象。

※没個性化の概念変容の流れ
1.フェスティンガー
「個人が集団に埋没する現象」と呼んだ。

2.ジンバルドー
匿名性により自己評価や社会的評価の関心が低下し、罪や恥などによる統制が弱まるとした。ただし、匿名性が常に脱規範的行動を導くというわけではなく、条件によっては社会思考的行動にも結びつく場合も。

3.ディナー
没個性化を、集団活動によって自己注意が低下した状態と捉え直した。すなわち注意の焦点が集団に向くことにより、自己評価を気にしなくなり、自己規制力が低下して脱規範的行動が出現しやすくなる。バーゲンやいじめが、その典型。

4.グリーンウォルド
没個性化の肯定的側面も。例えば、スポーツ、軍隊など。こうした状態では、自己意識は低下しえるが、他者からの評価への関心は逆に高まっており、それが集団の秩序ある行動を生み出しているといえる。
 

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心理学用語集・社会 011 自己開示

■ 心理学用語集・社会 011 自己開示 ■

自分自身に関する情報を、自分の意思のもとに特定の他者に対して言語的に伝達することをいう。自己開示には、3つの機能がある。1つ目は、他者に開示することによってカタルシスを得られることである。対話することにより精神的健康を維持することができる。2つ目は、開示した相手との人間関係が変化することである。自己開示を受けると自己開示で返す傾向があり、これを自己開示の返報性という。2者関係ではこの自己開示の返報性に沿って、親密さを増していく。3つ目は、開示したことによりフィードバックが得られることである。それにより自分自身をよく知り、自己概念を明確化することが出来る。このように自己開示は、個人の問題ばかりではなく、他者との関係においても重要な役割を果たしている。

※まとめ・自己呈示との違い
自己開示は、通常開示しない事柄を相手に開示して表現することである。これに対して、自己呈示は他者によりよく印象付けるための戦略的対人行動である。
 

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心理学用語集・社会 010 自己呈示

■ 心理学用語集・社会 010 自己呈示 ■

自分にとって望ましい印象を他者に与えるための振る舞いをさす。つまり、他者からの肯定や承認、あるいは物的報酬や地位や援助を得る目的で、自己に関する情報を他者に提示すること。自己の情報を他者に伝達する面では自己開示と類似しているが、自己呈示は自己イメージに関して「見せない」ことも含めた戦略的自己イメージである。

自己呈示には、3つの機能がある。1つ目の機能は、報酬を得ることと損失を回避することである。デートで清潔なカッコをすることで恋人に受け入れられようとすることなどである。2つ目の機能は、自尊感情の満足と自己の維持である。デートで待ち合わせに遅刻しない状態を保つことを心がけることで、時間守る人と評価されることで自尊感情が高まる。3つ目の機能は、自己概念ないしアイデンティティの明確化である。自分では漠然と「恋人にやさしい」人間だと思っているところに、「冷たい」と自己概念に矛盾した評価が下されるとき、賢く振舞うことで他者の評価を打ち消すとともに、自己概念を再確認し、アイデンティティを確立するなどである。
 

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心理学用語集・社会 009 栄光欲

■ 心理学用語集・社会 009 栄光欲 ■

高い評価を受けている個人・集団と自己との結びつきを強調することで、自己評価を間接的に高めようとする自己呈示の一方略。自尊感情を維持、高揚させる効果がある。一般的に一次的に自尊感情が低下している時に生じやすい。

たとえば、「ウォーレン・バフェットは私の親戚だ」とか「自分の母校の吹奏楽部が世界大会で優勝した」など、自分と他者との結びつきを他者に積極的に伝える状態。
 

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心理学用語集・社会 008 セルフ・ハンディキャッピング

■ 心理学用語集・社会 008 セルフ・ハンディキャッピング ■

ある課題を行なう際に、その行なった結果の評価をあいまいにするために、課題の妨害となる障害を自ら作り出す行為。「能力の欠如」があらわにならなくてすむ状態を自ら作り出すこと。また、もし良い結果がだせれば、ことさら能力の高さを示すことになる。

学校のテストでいい点を取れそうにないとき、あらかじめ勉強してないことを周囲に言ったり、実際に授業を休むこと。

※セルフハンディキャップにはさまざまな方略がある(2×2の4方略)。
1.ハンディキャップを実際に主張するか、作り出すか。
2.ハンディキャップを内的なものにするか、外的なものにするか。
 

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心理学用語集・社会 007 セルフ・サービス・バイアス

■ 心理学用語集・社会 007 セルフ・サービス・バイアス ■

たとえば、株を買って、上がったら自分の采配のおかげ(自己高揚的帰属)で、下がったら市場が悪い(自己防衛的帰属)と考えること。

たとえば、デートをしていてたまたま入った飲食店の料理が、安くておいしかったら自分の判断のおかげ(自己高揚的帰属)で、不味くて高かったら恋人のミスのせい(自己防衛的帰属)と思うこと。

自分の成功は、自分の能力や努力などの内的要因に帰属させ、自分の失敗は、運や課題の困難さなどの外的要因に帰属させやすい傾向のこと。
 

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心理学用語集・社会 006 セルフ・ディスクレパンシー理論

ヒギンズ.の提唱したセルフ・ディスクレパンシー理論とは、経験される感情、認知、動機づけが個人によって、また状況によって異なることを、とるべき態度としての自己像と現在の自己概念との際によって説明しようとするものである。

例えば、「今日のデートで好きな人に告白するはずだったが、何も言えずに終わってしまった」という場合、人は自分に不快感情を抱いたりする。このときの不快感情が、なりたい自分と現実の自分との差異によって生じると、このモデルは考える。

この場合のなりたい自分とは、理想自己(ideal self)、当為自己(ought self)という2つの自己表象を指す。これらの自己指針と自己の現在の状態で現実自己との間に慢性的に差異があるとき、それぞれ異なる不快感情が生じる。理想自己と現実自己との差異は、失望、悲しみなどの失意落胆に関する感情が引き起こされ、当為自己と現実自己との差異は、恐怖、心配、緊張など同様に関する感情が引き起こされやすい。

また自己指針と現実自己との差異は、不快感情に関連するばかりでなく、認知や動機づけともそれぞれに関連することが指摘されている。
 

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心理学用語集・社会 005 自己知覚理論

■ 心理学用語集・社会 005 自己知覚理論 ■

ベムによって提唱された、自己知覚が他者知覚と同様にプロセスを持っているとする理論。行動やその状況といった外部的な手がかりから自己の内的状態を推論する。例えば、恋人をいつも迎えに行く自分について、改めて「やさしいなあ」と思うことがこれに当たる。

自己知覚理論は、当初スキナー流の行動主義的な立場にたって認知的不協和理論の観点から説明されてきた用語を「不協和」という特別な動機状態を仮定することなく解釈しようとする試みから出発した。
 

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心理学用語集・社会 004 社会的比較理論

■ 心理学用語集・社会 004 社会的比較理論 ■

人は社会環境を適応的に生きていくために、自分の意見や能力を正しく評価したいという動機があり、そのために自分と意見や能力が類似した他者との比較を行う。

しかし社会的比較では、必ずしも類似した他者が比較対象となるわけではない。自己を高め、望ましいものとして知覚したいという自己高揚動機が作用する場合、自分より劣った他者が比較他者として選択される。これを下方比較という。一方、自尊感情が高まっている場合や自己向上動機が作用する場合は、自分より優れた他者と比較を行う。このときの比較他者は自分にとって性向のモデルとなり、これを情報比較という。
 

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心理学用語集・社会 003 役割葛藤(role conflict)

■ 心理学用語集・社会 003 役割葛藤(role conflict) ■

個人や社会や集団の中で、他者が期待する行動様式を役割という。現代社会では、同時に複数の集団に所属するため、必然的に複数の役割を担うことになる。ところが、ある場面で個人が期待される役割に矛盾・対立すると、一定の緊張が喚起される。この状態を役割葛藤という。

例えば、家庭では母でありながら、社会では管理職である女性が、自分の子どもが病気のとき仕事を休むかどうか迷う、などはその典型。
 

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心理学用語集・社会 002 一般化された他者

■ 心理学用語集・社会 002 一般化された他者 ■

一般化された他者とは、特に自分の属する共同体全体の態度や行動様式として組織化された表象をさす。簡単にいうと、他者一般の期待や社会のルールで、ミードがその自己発達論において使用した。

ミードは、自己が未組織の衝動を含む主体性の根拠となる「主我(I)」と、他者の態度や役割の取得により社会化された「客我(me)」という2つの局面から成り立つ仮定とした。生まれたばかりの子どもは、主体的・能動的な主我(I)だが、他者の態度や役割、期待を内在化させることにより客我(me)へ至る。自分の属する共同体の態度が自己に内在化されたとき、客我は、一般化された他者の態度を取得したものとされる。
 

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心理学用語集・社会 001 セルフ・モニタリング

■ 心理学用語集・社会 001 セルフ・モニタリング ■

自分の振る舞いが社会的に適切かどうかを、状況や他者の行動に基づいて観察し、自己の行動をモニターすること。

スナイダーは、ジェームズの社会的自己やゴフマンの自己呈示に関する考え方を背景に提出した概念で、自己呈示や自己の表出表現が社会的に適切かどうかを、状況や他者の行動に基づいて観察し、自己をモニターすることをセルフ・モニタリングとよぶ。

このモニタリングは個人差が大きく、測定するためにセルフ・モニタリング尺度が開発されている。これによればセルフ・モニタリングの高い人は、状況における自己呈示の仕方や、他者が示す手がかりに敏感で、自己の様子をモニターしながら行動を行うことができる。一方、セルフ・モニタリングの低い人は、状況にかかわらず内的に一貫した行動をとることを重視し、他者の行動や状況における適切さへの関心も低い。つまり、セルフ・モニタリングとは、人の「内面的な現実」と「外見的装い」の落差が生み出す個人差とされる。
 

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