カテゴリー「第27回 臨床心理学特論・2」の6件の記事

臨床心理学特論 036 精神分析療法の回復過程

■ 臨床心理学特論 036 精神分析療法の回復過程 ■

精神分析療法の中では、その各段階に応じて、さからう相手になる治療的な方向への努力と対をなしているが、それは次のようなものである。

※1.「プラスに働く力」
※2.【マイナスに働く力】

「患者は分析医から助力を得ることを期待する」
【しかし、それはお金と時間のかかる不可解なやや気味悪いものだ等々】

「患者は協力し、指示に従い、“すべてを話そう”等々と思う」
【しかし、それは自尊心を傷つけ羞恥心や困惑等を引き起こす】

「患者の分析医がどんな人物を意味しようとも、その人物から愛を得たいと思う」
【しかし、愛を得ることは、危険であてにならないことだし犠牲を要することだ】

「患者の分析医があまり沈黙し、受動性を保つので腹立ちを感じ分析医にそういいたくなってくる」
【しかし、それを口にすると結果は不愉快で、危険なことさえ起こるかもしれない】

「患者はある程度まで、あなたの思う通りにやっていくようにとの分析医と分析状況の励ましに応じる」
【しかし、この努力は分析医の自己評価を傷つけ“自分がバカに見えたり”不自然で礼を失したもの、また“恐らくは、意味のないことをやっているように見える”】

「患者は抑圧した記憶や抑制した空想を打ちあけるようにすすめられる」
【しかし、“そんなことはできない”、“そんな自分なんてあったはずがない”】

「患者は長年の間抑圧していた無意識の衝動について明確な認識を得ようと努力する」
【しかし、“それはあまりにおっかないことだとしても、私には直視することができない・・・”】

「患者はどんなに自分が幻想や憎しみに惑わされていたかを、ついに垣間見はじめる。そして患者は“今までより、もっとよいやり方”あるいは少なくとも何か一つのより良いやり方で、今までよりは知性的で現実的な選択を見出す」
【しかし、“私には混乱したり困り果てたりする習慣が身についてしまっている。どうしてもそれをやめて、よりよいものに取り替えなければならないのだろうか?本当に私はそれを捨て去りたいと願っているのだろうか、どうしたら私にその確信が得られるのだろうか?”】

「患者はしだいに分析治療と分析医に対する依存心を捨て、分析医に対する自分の非現実的な期待を放棄する。今や患者は自分の人生の問題を自分ひとりで、しかも今までよりはもっと適切に解決できるようになっている」
【しかし、“本当に私には、それだけの準備ができているだろうか?失敗しはしないだろうか?また病気がぶり返しはしないだろうか?”】

分析治療の様々の段階を表すこれらの上旬かされた変化表は、対抗の各段階に見られる典型的な合理づけを示している。それらは精神分析法に含まれる活動的な前進的過程に備わった永久に葛藤的な本性を反映している。

精神分析療法を受ける患者は、”よくなる”ためにはもっと”悪く”ならなければならない。そして、そのいずれの変化も、それに逆らう努力を必然的に引き起こす。抵抗という言葉で正確に呼ぶべきものは、この求められる変化に逆らう反対の努力の、あらわな、そして多彩にわたる現象である。

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臨床心理学特論 035 青年境界例の治療

■ 臨床心理学特論 035 青年境界例の治療 ■

なぜ、入院治療をするのか?
通常入院治療が必要とされるのは、その人を保護しなければならないときである。ひどく混乱し、殺人や自殺をしそうな人は入院させるべきである。しかし、青年期境界例の入院には、もう1つもっと積極的に適応すべき理由が存在する。外来治療では、患者の見捨てられ抑うつを解決するのに十分な影響を及ぼせない場合が多い。

しかし、病棟という構造化された環境では、患者の全24時間の行動が観察され、思考、感情、行為の全てが精神療法面接に注ぎ込まれるという独特の利点がある。これにより患者は、否認、投射、行動化など、個人に特有な諸防衛をもはや維持することが極めて困難になる。治療計画は、青年期境界例の精神病理に基づき、その治療のニードに応えられるようにつくられている。

※見捨てられ抑うつとは
見捨てられ抑うつとは、患者が自己の一部、生存にとって不可欠な一部を喪失すること、あるいはその恐怖から生じるもので、抑うつ、怒りと憤怒、恐怖、罪悪感、受動性と無力感、空虚と空しさの6つの構成成分の複合から成り立っている。境界例の青年は、この見捨てられ抑うつを精神内界に保持し、主観的に体験することに耐えられず分離の事実を否認したり、投影したり、個別化を促す刺激を回避したり、再統合を求める要求を行動化したりする。それが様々な自己破壊的行動として現れる。

▼ 1.青年期境界例の目立った特長
1.生育暦上口唇期に厳しい愛情剥奪と欲求不満。

2.自己愛的な口唇期に固着した正確構造を有し、次のような自我欠陥を伴う。
・・・快楽原則によって特徴づけられ、即時的満足と即時的緊張開放を求める。欲求不満に対する低い耐性、貧弱な現実検討能力、脆弱な自我境界、自分の感情を抑制する場合の欲求不満に耐えられないこと、それゆえに感情を行動化する傾向をもつこと。満足を得るためには現実よりむしろ空想に頼り、感情と生活状況を取り扱うのに合理的活動よりも非合理的活動に重点をおく。

3.防衛機制としては、否認、投射、回避、行動化などの不適応的な防衛を主として用いる。
行動化の取り扱いは治療上とりわけ重要である。行動化は感情を放出してしまうため、感情が意識に上がるのを妨げ、面接で感情を治療的に利用できなくしてしまう。

4.不適応的な対象関係。
両親の態度を取り入れるため、患者は非常に貧弱な対象関係しかもっていない。他者との関係は、両親に由来する自分の内的態度を他者に投影することに基づいており、それゆえ現実よりむしろ空想をあらわすことになる。

5.人との付き合いかつ仕事をするのに必要な技術の発達が不適当であることに見られる成熟の遅れ。
6歳から12歳までの主要な発達課題の1つは、ここにいる人と付き合ったり物事を達成する技術、すなわち環境支配のための道具の獲得にある。

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臨床心理学特論 034 親―子関係の治療

■ 臨床心理学特論 034 親―子関係の治療 ■

多くの臨床家が、親―子関係の無意識的側面を扱うためには、様々な「中間的」技法が必要だと指摘している。この中間領域の両親とワークに用いられる治療用式を「親―子関係の治療」と呼ぶ。これは両親にとって子どもが持つ無意識的な意味を明らかにしていく自我の明確化と、準洞察療法のプロセスで、実際に様々な解釈や解明的介入がなされる。

このプロセスは重要な境界線を持ち、その線に沿って転移を制限し、転移性の退行をコントロールして行く。このアプローチの原理は、次のように考える。

子どもとのワークが一段落したところで、治療が袋小路に入ってしまったが、どうやら治療が進んでいくことで、両親の中に何らかの強い不安が引き起こされたと考えられるような場合である。両親がこの子どもを通して何を行き直しているのかについて、両親が理解したり、何らかの視点が得られるように援助できれば、治療のプロセスは再び進んでいく。

典型的には、解釈に必要な修正を加えた部分的心理療法がなされ、何らかの無意識的な空想に光を当てることになる。

このワークの有効な両親の条件は、準洞察療法が可能な一定水準の健康な自我と心理学的思考力が備わっていることである。特定の治療目標をはっきりと認識し、効果的な自己観察をする能力を持っていることが必要である。

このワークの本当の狙いは、家族内の静的・動的な病理的相互作用を取り扱うことある。そして、この技法を応用すれば親が子どもに当たる影響を、親が外在化させるニードも綿密に評価することが可能となる。そして洞察を進めるだけではなく、再構成もされる。

また治療者が親に対しても、「この素材は、今、あなたとお子さんの間で起きていることにどんな影響を与えているのでしょうか」と問いかけることによって、ワークの境界を設定し、転移や退行を制限・コントロールしている。

▼ 1.親を解した治療
親ワークのもう1つの形態である「親を介した治療」は、クリーブランドの児童分析グループによって提唱された形態である。これは子どもが葛藤を既に発達的に内在化している場合、親が直接、子どもに治療ワークをすることや、親にとって子どもがどんな無意識的・内的意味をもっているのか、親が多少とも理解することを狙った援助である。

この技法によって、子どもの直接的な心理療法というコストの高いプロセス、と治療のために親が抱きがちな治療者に子どもを「取られる」感覚を回避できる可能性があるということが重要である。親を介した治療には、まず親が参加するため、子どもが苦しんでいる心理的ダメージを修復していくことで、親としての積極的な働きや親らしさの感覚を維持できる。

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臨床心理学特論 033 親ガイダンスと転移性親機能

■ 臨床心理学特論 033 親ガイダンスと転移性親機能 ■

親ガイダンスとは、最初に親との間でなされる最も一般的なアプローチで、以下の4点が前提となる。
 ・支持的ワーク
 ・親に比較的な良好な自我機能が認められること
 ・治療者と親の治療目標が一致していること
 ・解釈的なプロセスではない

▼ 1.サンドラー
親ガイダンスの役割は、子どもの治療に対する「継続的な情緒的かつ実際的な指示の提供」を保証していく過程であり、「親の自尊感情を支持するべき」作業と定義。

▼ 2.アーノルド
親ガイダンスとは、必要とされることに応じた、単純な情報提供や教育から、許可、明確化までの様々なワークの連続体と定義。

▼ 3.ワイスバーガー
親ガイダンスとは、家庭環境を変化させ、よりよい親機能を支持し、その結果、子どもへの非現実的で不健康な圧力が軽減されるようにするべきもの。成長や発達に関する情報を提供し、子どもに接する上での実際的な援助を行なう必要性があると説く。

■ 1.親ガイダンスのワーク(SCになったときもこれが重要) ■
 1.家族内の情緒的バランスに作用するもの
   A.親機能脳能力に影響しそうな、親の生活上に一般的問題へのワーク
   B.子どもとの接し方をめぐる両親間の相違へのワーク
   C.子どもが治療を受けているという事実のために、親に生じているストレスのワーク
 2.まず子どもを中心とするもの
   A.両親から、子どもや家庭の出来事について現実の情報を得ること
   B.両親に子どもの発達や、子どもの内的情緒生活についての一般的理解を伝えること
   C.子どもの症状や行動が変化した際、両親にこれに関する特定の理解を伝えること
   D.親子間の問題のある相互作用について、親に明確化すること

▼ 1.転移性親機能
親の中には、自分自身に幼少期からの問題があったり、急性のストレス状態にあったりするため、子どもの治療者とのワークにおいて親ガイダンスの枠を越えて、さらに支持する必要のある人もいる。

また悩める大人に取って、治療者が養育的な親の機能を果たすこともある。この「はぐぐみ」により、親がより適切に自分の子どもを養えるようになるというプロセス、親ガイダンスと同じく洞察や理解が主役にならない支持形式の心理療法、その眼目は子どもの親と治療者の間の転移の中で体験される親機能的な関係である。

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臨床心理学特論 032 境界例の子どもの治療について

■ 臨床心理学特論 032 境界例の子どもの治療について ■
境界例域の障害は支持的技法がよく用いられる。支持的技法の目的は自我の支えと構築であり、これは自我機能の発達や特定の自我防衛を安定させ、成長をはかることによってなされる。

■ 1.マーラーによる乳幼児の愛着と分離の過程 ■

▼ 1.第1期 :生後2ヶ月頃までは、対象にまだ愛着していない「正常な自閉」の段階である。

▼ 2.第2期 :快楽原則の守りのもとで対象へ愛着する。
 ・『一時的自己愛段階』(フロイト)
 ・『共生的一体性段階』(マーラー)
   1.特徴 :子どもは自己と他者の区別ができない
   2.特徴 :万能感や魔術充足がしだいに強くなる
   3.特徴 :良い体験は全て顕在的自己の一部とみなされ、悪い体験は自己の外部に排出される(分裂が生じる)

▼ 3.第3期 :生後1年目の後半から、子どもはしだいに共生期から分離―固体化段階へと進歩し、生後3年目の終わりごろに達成される。この過程で、子どもは魔術的な世界から現実へ、正常な自己愛段階から対象と共存する世界に移行する。

1.課題 :徐々に万能感を放棄していくこと
2.課題 :自己を対象から分離する能力を身につけること
3.課題 :対象を自己の「良い」面と「悪い」面を統合する能力を身につけること

この段階での問題は、「境界例域の」障害や「自己愛」障害の温床になることであり、境界例域の病理は、共生的一体性の過程からの部分的逸脱を反映していると考えられる。境界例域の子どもは「分裂」を保持し、対象と自己表象は必ず「良い」と「悪い」とに分裂されてしまうため、この段階の子どもの仕事はこれら異なる対象イメージを統合して、双方の様々な特性を保持する能力を養うことである。

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臨床心理学特論 031 治療プロセス上のアセスメントの役割

■ 臨床心理学特論 031 治療プロセス上のアセスメントの役割 ■

■ 1.精神力動的専門アセスメント ■
専門アセスメントで取り上げられる主なトピックは以下の通りである。

▼ 1.欲動のアセスメント(リビドー的欲動及び攻撃的欲動)
心理的発達段階、発達水準、(主にリビドーに関しての)対象関係の質、量、攻撃性の配分

▼ 2.自我のアセスメント
 A.防衛機制 :優先される防衛、適切性、効率
 B.対象関係の質 :関係する能力の幅
 C.現実との関係 :適応能力
 D.思考プロセスの性質 :抽象対具象、空想の利用
 E.欲動の調節とコントロール :欲動資質の発達、超自我機能、衝動性、欲求不満耐性、注意持続時間のアセスメント
 F.自律機能 :知能、記憶(短期及び長期記憶の過誤や歪み)、運動機能(調節と身体言語の使用)、知覚(器質的あるいは心理的歪み)、言語
 G.統合機能 :経験を統合し組織化する能力のアセスメント
 H.年齢と発達に相応した自我機能のアセスメント

▼ 3.超自我のアセスメント
罪悪感対外的権威への恐れの性質と程度の全体的アセスメント

▼ 4.子どもの発生的―力動的見立て
下記の事項に関わる葛藤の主な源泉についての見当
 ・心理性的発達段階
 ・子どもに関わる外的及び内的葛藤
 ・主たる同一化とそれによる適応の促進度

▼ 5.治療方針の設定


■ 2.治療のための情報 ■
アセスメントの利用法は、治療目標の設定である。たいていの状況では、症状や行動上の問題は、受け入れられなかった内的衝動ゆえに生成してきたものである。こうした「否定的」なあるいは禁止された自己の部分に対する反応様式は、自らの内的生活の洞察によって、根本的な修正が可能となる。そこで診断プロセスにより、本能生活のどの面が最も問題なのかを特定する必要がある。

1つの目標は、治療を通して禁止された衝動を子どもの心的生活の中で表現させ、話し合い、再統合させていくことである。さらに自我の面、すなわち受け入れられない衝動の意識化を回避したり、抑圧したり、防衛したりするために患者が用いる特別な反応の面にも目を向ける必要がある。これらの自我反応(抵抗など)は、子どもが自分の厄介な面から逃避するために用いる典型的な反応で、治療場面で使用する抵抗パターンとなって現れる。それゆえ特定の抵抗を予測する必要があり、予測できていれば治療の中で出現した際に治療者はその歪んだ反応を説明することで、子どもは人格の主要部分たる自我機能を自覚していけるようになる。

治療過程で現れうる転移の性質も、予測できる領域といえる。各発達段階での重要な対人関係や子どもの成育史における過去の重要な事件を理解しておけば、関連する要素が出現した際に治療者が言語化や再構成を行なうことができる。治療者が、転移での自分の役割と転移が生じる文脈を予測できるのである。

※子どもが主観的にどのように体験しているのかが大切である。


■ 3.プレイの中心的意味 ■
大人と子どもの心理療法の主な違いは、治療の時間に患者が感情的なものをどのように持ち込むか、その素材の形にある。大人は言語表現を、子どもはプレイを用いる。子どもは様々な面で情動生活に密着している。プレイという手段は、こうした世界を引き出すのみならず、そこにまとまりのある体系付けられた形態を与える機会を提供する。プレイすることそのものには変化を起こす力はなく、治療者がプレイに介入し、プレイを活用することが決定的なポイントである。臨床家はしばしばプレイの進展がある一定順に継起していく経験をする。この継起とは以下のような順である。

▼ 1.初期非関与の段階:舞台設定
子どもは遊ばないか、あるいは一人遊び、そのプレイは理解できなかったり、活用できないものであったりする。しばしば治療者は困惑し、理解不能の状態に陥る。子どもの症状や「心配ごと」、行動について多少「お話」しだしたりする。ワーク初期の課題は、子どものワークが「意味のあるプレイ」となっていくようにゆっくりと援助することである。意味のあるプレイとは、エスの派生物と自我機能との間に想像的なバランスが保たれ、両者の間を往復しやすいプレイのことである。

▼ 2.早期情緒的関与の段階
治療者はゆっくりとプレイに心が向うようになり、プレイの中に出てくる特定の意味深いメタファーを共有しはじめる。子どもがますます身をいれるようになってくることがはっきりし、治療者との結びつきは、強いリビドーに向けられる性質を帯びはじめる。

子どもの治療では多くの場合、治療者が遊び手になることが、「自我のための退行」をはぐくむうえで非常に役に立つことがある。自我のための退行とは、大人の患者と治療者が情緒生活を吟味できるように、患者の思考に潜む通常のタブーや障壁を除々にゆるめ、それらを言語化していくことをさす。治療時間中の自由な構造や禁止された本能的素材に対する治療者の受容的態度、セッションそれ自体の境界は、大人、子どもいずれのワークにおいても、初期の「自我のための退行」を促進する。

▼ 3.中心的ファンタジーの出現
子どもはゆっくりと重要な意味を持つ空想世界を、とても熱中して練り上げていく。しかし、治療者はその意味に漠然と気付くだけかもしれない。そもそも変化はどのようにして起こるのか。(再演された)新たな転移状況の中に特別な機会は存在する。その時に治療者が解釈したり、患者が支配的な無意識の考えや不安を理解するのを手助けする機会がでてくる。

治療者が、患者を支配する恐怖の意味を言葉にするとき、患者の合理的な部分(自我)は、潜在的にはその意味を把握できる。そしてこの理解(洞察)が恐怖の影響力を緩和する。洞察ができるようになると行動機能が変化するのである。

▼ 4.徹底操作
しばしば遅ればせにではあれ、治療者は明るみに出てくる素材の様々な意味を統合し、介入する。それは治療の成果を安定させたり、治療プロセスをコントロールしたりするのに役立つ。

心理療法における「徹底操作」の概念は、症状に変化をもたらすのに必要とされる一連の多様な解釈のことをいう。変化は解釈の1つだけで起こるのではなく、いろいろなレベルの無意識的意味が解きつくされる(=徹底操作される)まで、症状形成にあずかる様々な要素を、別々の文脈で繰り返し語る必要がある。

▼ 5.まとめ
治療過程を観察すると、大人と子どもの心理療法には明らかな類似点がある。患者が素材を生み出す方法や、治療時間中の防衛/抵抗の性質に関するアセスメントもそうであるし、治療者の共感能力、治療時間の境界を確定する能力の双方によって進行する「自我のための退行」を生み出すプロセス、そして過去の外傷的な出来事を転移の中で安全に「反復強迫」できるようにする治療者へのリビドー的愛着などがそうである。

主な相違点は、コミュニケーションの形態である。子どもの言葉より具体的で、患者-治療者間の対話はしばしば活動と行動、すなわちプレイという言葉でなされる。行為を必要とするため、治療者は部分的に子どもの監督の元で演者になる。治療者は、演者としては治療関係の中で転移的側面を、観察者としては子どもとの関係の中の治療同盟の側面を体現している。

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