カテゴリー「第29回 基礎篇 感覚・知覚」の20件の記事

感覚・知覚 020 感覚遮断

■ 感覚・知覚 020 感覚遮断 ■

▼ 感覚遮断(Sensory deprivation)
行動環境から刺激が減じられるか、またはなくなることにより現実世界への注意の切り離しが行われ、意識が変容する状態。

※Hebbの実験
目にゴーグルをし、耳には耳栓をし、手足には厚手の筒をつけて、感覚的刺激を極度に制限された状態に長時間さらすと感覚遮断が生じる。

感覚遮断の状態に長時間さらしていると注意の集中が困難になり、課題解決能力が低下し、いらいらするようになる。また視・聴覚の幻覚や脳波の異常も認められる。人は刺激が多すぎてもストレスになるが、少なすぎてもストレスになる。

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感覚・知覚 019 注意(attention)・2

■ 感覚・知覚 019 注意(attention)・2 ■

▼ 1. 注意のモデル(フィルター説 byブロードベント)
処理機構の入り口付近に複数のフィルターが存在し、情報の内容によってではなく、物理的特性によってそのうちのあるフィルターだけが選択され、聞かれ、そのフィルターを通過した情報のみが処理されると考えた。従って、注意を向けていない対象に対しては何も知ることができないということになる。

 ①感覚系
 ②短期貯蔵
 ③選択的フィルター
 ④限界容量チャンネル(Pシステム)(→②へ)
 ↓(⑤は2つに分かれる)
 ⑤-1過去の事象の条件つき確率の保存(→⑤-1 or ③へ)
 ⑤-2いくつかの入力が確保されるまで出力を補正する系
 ⑥効果器

注意モデルの対立理論として

▼ 2. 選択的反応理論
情報の意味内容によっては、注意を向けて処理できる。注意を向けなかったものでも、関係があると思ったら処理できるとする。

▼ 3. フィルター説への反対実験
“Bank”という単語は、「土手」と「銀行」の両方の意味がある。注意を向けなかった方に「川辺に~」と流すと「土手」と捉え、「お金が~」と流すと「銀行」と捉える。だから全く処理されないというわけではない。


減衰モデル byトレイスマン
注意を向けていない方の耳からの情報もある程度の処理がなされる。注意を向けていないものは、減衰されられるが、全く通過できないわけではない。それゆえ、それが重要であれば時には発見され受け入れられる。

※フィルターモデルと減衰モデルは、初期の段階で選択されると考えられる(初期選択説)。

▼ 4. 覚醒水準モデル byドウィッチ
覚醒水準によって情報の入力、処理の量が異なってくる。覚醒水準が低いとあまり注意が向けられず、覚醒水準以上の重要なもののみ処理される。

▼ 5. 容量モデル byカーデマン
自分の処理する容量に余裕があれば、たくさん処理できる。

▼ 6. 知覚循環モデル byナイサー
注意とは知覚すること。スキーマの役割が重要。

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感覚・知覚 018 注意(attention)・1

■ 感覚・知覚 018 注意(attention)・1 ■

注意の諸相
 1. ビジランス
 2. 注意の容量
 3. 選択的注意

▼ 1. ビジランス
長時間注意を持続して信号がくるのを見張っている状態をビジランスと呼ぶ。ビジランスの作業成績は20分~30分で次第に低下するが、この原因の1つには覚醒水準の低下がある。

▼ 2. 注意の容量
一目で見て把握できる量。ドットなら7個から8個。

※ドット
ローマ字などになると注意の容量は小さくなる

▼ 3. 選択的注意
我々の感覚器官が受け取る刺激エネルギーは、その全てが知覚されるのではなく、感覚中枢によって選択される。我々の感覚器官に多くの情報が入る時、選択的にどれかの刺激に注意を集中することを選択的注意という。

□ 3. 選択的注意の例

カクテルパーティ効果
:パーティ会場のような人が、大勢いてガヤガヤしているところでも、特定の人の声だけ聞き取り会話できること。

カクテルパーティ効果について調べる実験
・両耳分離聴(dichotic listening)
:右耳にA、左耳にBという言葉を流し片方を追唱させる。後で追唱させなかった方の音について質問すると、内容はほとんど覚えていなかったが、男性の声か女性の声かぐらいはわかった。

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感覚・知覚 017 視覚・生理

■ 感覚・知覚 017 視覚・生理 ■

▼ 1. ヒューベルとウィーゼルの貢献
ネコの大脳皮質視覚野の1つの細胞に電極をさして、どのような刺激に対して反応するかを調べた。

→ その結果、以下の3つを見つけ出した
  1. 単純細胞
  2. 複雑細胞
  3. 超複雑細胞

▼ 1. 単純細胞(simple cell)
ある特定の傾きをもつ線状の刺激に対して、選択的に反応する。網膜のある特定の位置に投影されたパターンに特異的に反応。

▼ 2. 複雑細胞(complex cell)
単純細胞と同様に方位選択性を示すが、単純細胞よりも大きな受容野をもつ。網膜上の位置によらず、ある特定の傾きを有するパターンに特異的に反応する。

▼ 3. 超複雑細胞(hyper complex cell)
単純細胞・複雑細胞は、刺激線分が受容野を超えて長くなっても反応に変化がないのに対し、超複雑細胞では線分が長くなると反応が弱まる。

▼ 4. モジュール性(モジュラリティ)の発見
人間の脳の処理システムが、それぞれ独立した機能をもつ多くの下位システムから構成されるとする考えのこと。別々の情報が別々に処理される。

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感覚・知覚 016 正常な知覚の欠如

■ 感覚・知覚 016 正常な知覚の欠如 ■

▼ 1. 子猫のゴンドラ実験 Byヘルドとハイン
生後8から10週の子猫を縦縞模様の環境に1日3時間入れ、それ以外の時間はたの兄弟と共に暗闇の中にいる母親の元に戻した。一方の猫は、自分の脚で歩くことができるが、もう一方の猫はゴンドラに入れられており、自分で動ける方の猫が動くと同じ距離だけ動かされるようになっている。

その結果、ゴンドラを経験して大きくなった猫は、空間認知(奥行き知覚)や視覚誘導性行動がひどく劣っていることが明らかとなった。

→能動的に知覚しないとダメということが明らかに!

▼ 2. 先天盲の人が、開眼手術を受けた後の知覚世界を調べた
→奥行き知覚がわからない!
→色→形→物体の順でわかるようになった

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感覚・知覚 015 錯視(illusion)

■ 感覚・知覚 015 錯視(illusion) ■

▼ 1. 恒常性をこえて知覚される事物の性質が大きく異なること

1. 物理的錯覚の例
 ・夏の強い日差しの道路の逃げ水を見る
 ・耳に押し当てた貝殻に海鳴りを聞く

2. 生理的錯視の例
 ・矛盾冷覚

3. 触覚的錯視の例
 ・アリストテレスの錯覚
 ・・・・手の指(例えば人差し指と中指)を交差させ、その間に1個のもの(例えば鉛筆)をはさむとその事物が2個に感じられる現象

4. 運動感覚による錯覚
 ・シャンパンティエ効果(シャンパンティエの錯覚)
 ・・・・等しい重さのおもりは体積(見た目)の大きいものの方が、軽く感じられる

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感覚・知覚 014 色覚理論

■ 感覚・知覚 014 色覚理論 ■

色覚の生理学的機構を説明しようとする理論であり、現在では一般的に段階説が受け入れられている

▼ 1. ヤング・ヘルムホルツの三原色説(Young-Helmholtz trichromatic theory, three color theory)
ヤングによって提唱された三原色説を、後にヘルムホルツが修正を加えた理論

全ての色は、赤、緑、青の三色からなっていると考え、3種の光受容器を想定している。赤領域の長波長スペクトルに対して最も敏感な赤受容器:R、緑領域の中間波長スペクトルに対して最も敏感な緑受容器:G、青領域の短波長スペクトルに対して最も敏感な青受容器:Bの3種である。赤、緑、青以外の色は、これら3種の組み合わせによって知覚される。

この説が発表されたときは、根拠がなくただの仮説にすぎなかったが、現在では、色を知覚する錐体にこの3種の視細胞があることがわかり、この説に対する生理学的裏付けがなされている

▼ 2. ヘリングの反対色説(Hering’s opponent-color theory)
網膜上に黄—青(Y-B)物質、赤—緑(R-G)物質、白—黒(W-Bl)物質の3種類の視物質を仮定した。各々の視物質は、長波長の光なら分化反応、短波長の光なら同化反応が生じ、短・長の両波長が目に入ってきた場合は、分化と同化の反応の差によって各色の感覚を引き起こす。

この説も提唱された当時は、証拠がなく単なる仮説にすぎなかったが、現在は生理学的証拠が見つかっている

▼ 3. 段階説(stage theory of color vision)
視覚系の最も初期の錐体視細胞レベルでは、3種類の錐体細胞による三原色説的な情報処理が行われ、次の段階である水平細胞や外側膝状体のレベルでは、その三原色的な信号が反対色説的な信号へ変換され、脳に伝達され色を知覚できるという説。

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感覚・知覚 013 運動の知覚

■ 感覚・知覚 013 運動の知覚 ■

対象や自己の静止ないし運動の知覚は、網膜上の情報、身体や眼球の随意的な運動に伴う神経情報運動視差の情報などが中枢で処理された結果と見なされる

▼ (広義の)仮現運動
実際は運動していないものが、運動しているように見える(さらに4つの下位カテゴリー分かれる)

▼ 1. 誘導運動(induced movement)
電車に乗っていいて、駅で並んで止まっている反対方向への電車が走り出したとき、自分の乗っている電車が走り出したように思う

▼ 2. 自動運動(autokinetic movement)
暗闇で静止している光点を見ていると、ふらふらと動いているように見える

▼ 3. (狭義の)仮現運動(apparent movement)
1. β運動(=※ファイ現象)
踏切の警報機のように静止している刺激が、交互に点滅するんを見ていると、いったりきたりしているように見える

※ファイ現象とは
2つの刺激のおのおのは静止状態であるにも関わらず、実際の運動と変わらない、一方から他方への明らかな運動知覚が生じること
→ 2つの点の提示時間間隔をかえると見え方が変わる
 1. 30ミリ秒以下
  :2光点の同時点滅が知覚される(同時時相)
 2. 60〜100ミリ秒
  :滑らかな運動(ファイ現象)(最適時相)
 3. 200ミリ秒以上
  :2光点の継続的な点滅(継時時相)

2. α運動
そのうち図形の大きさの変化を示す場合

▼ 4. 運動残効(motion after effect)
一定方向へ動く対象をしばらく見た後、静止した対象を見ると、この静止対象が順応時とは逆方向に動いて見える現象(滝の錯視などがこれにあたる)

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感覚・知覚 012 知覚の恒常性

■ 感覚・知覚 012 知覚の恒常性 ■

▼ 知覚の恒常性

▼ 1. 遠刺激
ある対象を見ているとき、外界にある対象そのもの

▼ 2. 近刺激
見ている対象によってもたらされる網膜上に投影された刺激

刺激対象と自分との間の距離や位置関係などにより、網膜上にできた像(近刺激)は変化するが、近くされた見え(大きさ、色、形など)が同じであるとわかる傾向を知覚の恒常性と言う。

例えば、友達が遠くに歩いていって、小さく見えても、友達が小さくなったとは思わない。
→ 理由(3つ)

▼ その1. 斟酌(しんしゃく)説
我々は、網膜上だけで知覚しているのではなく、周りの環境、距離の条件との計算によって大きさを導いている

▼ その2. エンメルトの法則
網膜上の大きさが一定であれば、見かけ上の大きさは距離に比例して変わるという仮説(Amesの部屋や月の錯視(月はどこにあっても同じ大きさのはずなのに、地平線や水平線近くの月は大きく、天頂にある月は小さく見える)はこれから来ている)

▼ その3. 大きさ・距離不変仮説
エンメルトの法則を定式化したもの
S’=θ・D1(S’:対象の見かけの大きさ、θ:視覚、D:距離)

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感覚・知覚 011 空間知覚(奥行き知覚)・2

■ 感覚・知覚 011 空間知覚(奥行き知覚)・2 ■

▼ 乳幼児を対象とした奥行き知覚の研究

1. 視覚的断崖(visual cliff)
床面が深く遠く見える高さ(約1m)に透明ガラスがおかれ、その向こうから母親が呼んだときに、乳児がその上にハイハイしていくかで奥行きを知覚しているかどうかを調べた。
→ 6ヶ月児(ハイハイができるようになる頃)は行かない

ハイハイができないくらい小さい子どもを、そのガラスの上に寝かせようとしたときの心拍数の変化を調べた。
→ 2ヶ月でも心拍数が増加し、奥行き知覚をしていることが明らかに

▼ 乳幼児を対象とした視覚能力の研究法

1. 選好注視法(preferential looking method)
乳児の目の前のパネルに2枚の刺激図形を並べて提示し、乳児がどちらの図形を長く注視するかを実験者がパネルののぞき穴から観察・記録(ファンツの実験)。
→ 赤ん坊は人の顔にとても興味を持つことが明らかに

2. 馴化・脱馴化(habituation / dishabituation)
ずっと同じ刺激を提示していると、その刺激に対する注意や反応が減少する(馴化)。そして、新たな刺激が提示されると再び注視反応などの行動が喚起される(脱馴化)。

赤ん坊におしゃぶりを与えて、ある空間解像度のAを見せ、赤ん坊が飽きておしゃぶりを吸い始めたら、違う空間解像度のBを見せる。おしゃぶりを吸うのをやめてBを見たら、違いがわかった(見えている)ということである。

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感覚・知覚 010 空間知覚(奥行き知覚)・1

■ 感覚・知覚 010 空間知覚(奥行き知覚)・1 ■

▼ 奥行き知覚
空間内の対象の距離(遠近)や、対象の3次元的な広がりの知覚を「奥行き知覚」という。連合心理学者Berkeley.Gが18世紀初頭、『同じ方向にあるものの映像は遠くても近くても網膜の同じ点に像を結ぶ(→網膜には3次元のものが2次元に映っている。では、そこからどうやって3次元のものとして知覚するのか)。従って知覚における奥行きの違いは、網膜像以外にあるであろう』と指摘した。

▼ 奥行き知覚の手がかりとなる要因(生理的要因と経験的要因)

▼ A. 生理学的要因

1. 調節
遠くを見るときは水晶体が薄くなり、近くを見るときは厚くなる。この厚みを調節する筋肉の収縮が奥行きの手がかりとなる。

2. 輻輳(ふくそう)
近くを見るときには、2つの視線のなす角度が大きくなり(より目がち)、遠くを見るときには、ほぼ平行している。左右の視線が作る角度は輻輳角と呼ばれ、この角度を制御する眼筋の伸縮が奥行きの手がかりとなる。

3. 両眼視差
右眼と左眼の網膜像に生じる差のこと。この差(ズレ)を脳の中で融合することにより奥行きを感じる。

 Ex: 1. ステレオグラム
 肉眼で見ても何が書かれているかわかる図を2枚ステレオスコープで見て、2枚が融合するように見ると飛び出して見える。

 Ex: 2. ランダムドットステレオグラム
 何が書いてあるのかわからないものの両画像が融合されると正方形が浮き上がる。

4. 運動視差
自分の始点から近くのものよりも遠くのもののほうが、ゆっくりと動く。また遠くのものは自分の進行方向に、近くのものは逆方向に動いて見える。電車の中からの風景が典型である。

▼ B. 経験的要因(心理的要因)

1. 大小遠近法
人の姿など、すでに大きさを知っているものは網膜像が小さいほど遠くに知覚される。

2. 線遠近法(一点透視)
遠ざかる平行線は、一転に収束するように感じる。

3. 大気遠近法
遠くにあるものほど大気の中に含まれる塵や水蒸気の影響で色や形がかすんで見える。

4. 重なり合い
重なりが見えるということは、知覚のものが遠くのものを覆い隠しているということである。

5. 陰影
陰のつき方によって対象の凹凸や厚みがわかる。下側に陰があるとふくらみと知覚し、上側に陰があるとへこみと知覚する。

6. きめの勾配
小石やタイルなどの一様なものが広がっているとき、近くのものはきめの密度が粗く、遠くのものはきめが細かくなる。

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感覚・知覚 009 視覚(視知覚の機構)・3

■ 感覚・知覚 009 視覚(視知覚の機構)・3 ■

▼ 視知覚の諸現象

群化の法則・プレグナンツ傾向
・・・視野に与えられた図形や図形群は、そのときの与えられた条件内において全体的に最も単純で、最も秩序ある最もよい形にまとまろうとする傾向をもっている

▼ 群化の要因

1. 近接の要因
近いものが、まとまり群を形成する。
 ・・・
 ・・・
 ・・・
これは「・・・」が縦に並んでいるようには見えず、「・・・」が横に並んでいるように見える。

2. 良い連続の要因
良い連続、滑らかな連続をなすようにまとまる。

3. 良い形の要因
簡潔、規則性、シンメトリー、同じ幅というような形はそうでない。形よりもまとまる傾向がある。

4. 共通運命の要因
同じように動いたり、同じ変化をするといったように運命を共にするものは、1つにまとまる傾向がある。
 △△△  △△△
 △     △
これは近接の要因で、左右の4つずつの2つに分かれて見えるが、、
 △→ △→ △→  △→ △→ △→
 △           △
これは上の6つと、下の2つに見える。

5. 類同の要因
多くの種類の対象があるとき、他の条件が一定ならば同じ種類の対象がまとまって見える。
 ○●○●○
 ○●○●○
 ○●○●○
白同士、黒同士でまとまって見える。

6. 閉合の要因
閉じた領域をつくるものがまとまって見える。
 ▽
 △

7. 客観的態度の要因
図形が継時的に提示されるとき、その経過の状態によってまとまり方が影響を受ける。

8. 経験の要因
あるまとまりを何度も経験すると、そのまとまりが他のまとまりよりも現れやすくなる。例えば、斑点でかかれたダルマチア犬など。

▼ 反転図形(reversible figure)
「ルビンの盃」の例で有名。白い盃か黒い人の顔が見える。ただし2つの図形が同時に見えることはない。白い盃が見えているときは、白いところを「図」、黒いところを「地」と呼び、黒い顔が見えているときは、黒いところが「図」で、白いところが「地」になる。どちらかを見続けようとしてもそれは無理で、見え方がコントロールできない。

▼ 多義図形(ambiguous figure)
「若い女性と老婆」や「うさぎとアヒル」で有名。これも2つの図形が同時に見えることはないが、どちらかを見続けることができる。

▼ 主観的輪郭(subjective contour)
明度に差はないはずなのに、ひし形がより白く手前に見える。ひし形の線はないのに見える。
 ▼▼
 ▲▲

▼ 幾何学的錯視(geometrical-optical illusion)
ある物理的条件化で刺激を配置すると、変化がないのに変化して見える。錯視は視覚の誤りではない。ミューラーリヤー、月の錯視など。

▽ 錯視の特性
 1.錯視だとわかっていても正常に知覚できない
 2.両目から情報が各々脳内で収束された以降のレベルで起こる(脳内で右と左を1つにした後で起こる)
 3.眼球運動によって起こるものではない
 4.視覚の異常ではない(起こらない方が異常なときも)

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感覚・知覚 008 視覚(視知覚の機構)・2

■ 感覚・知覚 008 視覚(視知覚の機構)・2 ■

▼ 錐体・桿体の働きによる視覚現象

1. プルキンエ現象(Purkinje phenomenon)
昼は波長の長い赤や黄が鮮やかに見えたのに、夕方になると短い波長の青や紫などが鮮やかに見える。明所視のときは、光に対して最も敏感(最大感度)な波長が555um(黄緑)付近であるのに対し、暗所視のときのそれは510um(青緑)付近であるため。

2. 明順応(light adaptation)
暗い場所から、急に明るい場所に出るとすごくまぶしい。桿体から錐体に機能が移行する。

※錐体は桿体よりも働き出すのが早い。完全に働き出すまで7、8分。

3. 暗順応(dark adaptation)
明るい場所から暗い場所へ入ると、はじめは何も見えなかったのが、だんだん見えてくる現象。はじめは強い光でないと検出されないが、時間がたつと弱い光でも見えるようになる。つまり、検出閾が低下する(感度は上昇)。普通の順応とは逆。

暗いときから桿体が働くべきだが、完全に働き出すまでは40分ほどかかる。

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感覚・知覚 007 視覚(視知覚の機構)・1

■ 感覚・知覚 007 視覚(視知覚の機構)・1 ■

▼ 1. 可視スペクトル(visible spectrum)
・人間が見ることのできる範囲の光のことを色彩順に並べたもの

▼ 2. 眼の構造と視覚特性
・視覚系の受容器は網膜上にある
・網膜の中には光を受容する細胞(視細胞:photorecepter)、
・錐体(cone)と桿体(rot)とがある

☆ 1. 錐体
・・・中心窩に多く色彩視、視力にすぐれている。視野の中心のはっきりと見える中心視で使われる

☆ 2. 桿体
・・・中心窩の周辺に多く、明るさに対して敏感。注目していないところが、ぼんやりと見える周辺視ができる

※明るい所でものを見るとき(明所視)には凝視して像を網膜の中心に結ばせると錐体の働きでよく見えるが、暗いところで見るとき(暗所視)は、かえって周辺視した方が桿体の働きでよく見える(※暗いところでは桿体細胞が働くため)

☆ 3(1と2をあわせて). 視覚の二重作用説(duplicity theory)
・・・錐体と桿体は違う働きをしているということ

1. 中心窩(ちゅうしんか)(fovea centralis)
最も視力がいいところ
解像度がいい
ここに錐体が密集していて、周辺部には桿体が多い

2. 盲点(blind spot)
錐体も桿体も存在しないから見えない

▼ 3. 視覚伝道路
1.網膜 → 2.視交叉 → 3.LGN → 4.大脳・V1野
※もの見るための神経の流れ

1.網膜

2.視交叉(視神経交叉)
・・・視神経が交叉しているところ(右の左視野は右半球に、左の左視野は右半球に)

☆ 右目も左目も
・右視野は網膜の左に投影される
・左視野は網膜の右に投影される

3.LGN(外側膝状背側体)
・・・交叉してきた軸索と交叉しないでできた軸索を整理するところ

4.線条野(17野)(V1野)
・・・色を処理するところがある

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感覚・知覚 006 聴覚

■ 感覚・知覚 006 聴覚 ■

▼ 音
空気の振動

▼ 聴覚
空気の分子の粗密度によってできる波(音波)が聴覚器官を刺激して生ずる感覚

※われわれは一般に20Hzから20kHzまでの10オクターブの音を聞くことが出来る。

周波数
・・・1秒間に何回波があるか。20Hzは1秒間に20回波があるということ。周波数は音の高さを表す。波が多いほど高い。振幅が大きいほど音が大きい。波の形が音色をあらわす。

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感覚・知覚 005 順応(adaptation)

■ 感覚・知覚 005 順応(adaptation) ■

▼ 順応
同じ刺激が長時間持続すると、その刺激に対する感受性が次第に減少すること。感覚の順応に伴って刺激閾が次第に上昇し、感覚の大きさは減少する。

例えば
45度のお湯に入るとはじめは熱いと感じる。けど、そのうち感じなくなる。
・・・順応
 ↓
この時、熱いと感じるにははじめ熱いと感じた45度よりも高い温度のお湯がいる。
・・・閾値が上昇

感覚の順応による錯誤の例
・・・42度と28度のお湯に片手ずつつけて慣れたら、両手を35度くらいのお湯につけると、片手が温かく、片手は冷たい。

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感覚・知覚 004 精神物理学(Psychophysics)

■ 感覚・知覚 004 精神物理学(Psychophysics) ■

▼ ☆Weber.E.H(ウェーバー)
弁別閾(difference threshold)
・・・違いがわかる、一番最低ラインの差

※身体を2点の針状のものでさしたときの弁別閾(=触二点弁別閾)
・・・これは
※重さの弁別閾=丁度可知差異(just noticeable difference)についての発見

▼ ☆ウェーバーの法則(Weber’s law)
弁別閾(ΔI)の値は、元の刺激の重さ(I)の大小によって異なるが、その比はほぼ一定の値(ΔI/I=C(一定))をとる

▼ ☆Fechner.G.T(フェヒナー)
ウェーバーの法則から、「精神物理学(psychophysics)」を成立。この精神物理学は、「精神と身体の関係について数学的に明示する」という考え。
 ↓発見!
フェヒナーの法則
・・・感覚の大きさ(S)の変化は外的刺激の大きさ(I)の変化と対数関係(S=k log I:kは定数)

フェヒナーが本当にやりたかったのは
内的精神物理学
・・・身体の内的機能と心の関係(→心理学が科学的なものとなる出発点)
 ↓でも実際は
外的精神物理学
・・・物理的刺激と感覚の関係どまり
 ↓
今「精神物理学」というと、これ!

▼ ☆Stevens.S.S(スティーブンス)
マグニチュード測定法(method of magnitude estimation)
・・・感覚の直接的な量判断を被験者に求める。例えば基準を10とし、半分なら2倍の20と答えさせる。
 ↓これを用いて次のものを発見
スティーブンスの法則
・・・感覚の大きさ(E)が、刺激量(I)のベキ関数E=a I bとなる(a.bは定数)

フェヒナーは精神物理学的測定法(psychophysical method)を確立した。代表的なものは次の3つ。

1. 極限法(method of limits)
音の刺激閾の例でみる。
絶対聞こえる!という強さから、一定のステップで弱めていって聞こえないと思ったら言ってもらう。(聞こえないところからはじめて、聞こえるところで言ってもらうのもあり)そこから閾値を決める。
 ↓
一定に変化するので、被験者の予測が入りやすい。そこで、予測できないように開発されたのが、次の恒常性。
 ↓
2. 恒常法(constant method)
いろんな強さの刺激をランダムに出す。聞こえるものだけ反応してもらい、出現率から閾値を出す。

3. 調整法(method of adjustment)
ある強さの音を提示し、同じ強さになるように被験者が自分で動かす(主観的等価点をみる=主観的に同じだと思う点=ミューラーリヤーもこれ)。調整値のバラつきから弁別閾を求める。

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感覚・知覚 003 感覚の測定(精神物理学的測定法)

■ 感覚・知覚 003 感覚の測定(精神物理学的測定法) ■

■ ☆ウェーバーの法則(weber) 19世紀半ばのアメリカ
「例えば、100g(標準刺激)と105g(比較刺激)で、初めて違いがわかったとすると、200gとの違いを感じるには205gではなく、210gでないといけない」

つまり
 ・弁別閾÷もとの刺激強度=一定
 ・元の刺激強度・・・I
 ・弁別閾・・・ΔI
とすると

・ΔI÷I=k(一定)・・・ウェーバー比

このウェーバーの法則を発展させて

■ ☆フェヒナーの法則(Fechner) 1860年

※フェヒナーは、ウェーバーの法則を発展させてフェヒナーの法則を考え、物理的強度を感覚(心理学的な)大きさの関係を調べる学問、「精神物理学」を提唱。精神世界を数学的に示そうとした。

「例えば、10gのものをもっていて、感覚的に2倍だと感じるには、20gではなく100gにしなくてはならない」

つまり
 ・E・・・感覚の強度(感じた重さ)
 ・I・・・刺激の強度(物理量)
 ・k・・・定数
とすると

・E=k log I・・・フェヒナーの法則
・「感覚の大きさは、刺激の大きさの対数に比例する」
※フェヒナーの法則は、すべてのものに当てはまるわけではない
※ウェーバーの法則とフェヒナーの法則では、極にある領域(ex:1g.1000kg)は測れない

このフェヒナーの法則から

■ ☆スティーブンスの法則(Stevens) 1960年
フェヒナーは弁別閾を使って間接的に感覚を測ろうとしたけど、スティーブンスはもっと直接的にどれくらいの量に感じるのかを聞いた
 ↓
「マグニチュード推定法(べき法則)」
 ・「どれくらいの重さ?」
 ・「どれくらいの明るさ?」
 ・「これが10ならこれはどれくらい?」
と被験者に聞いた

 ↓これを使って導いたのが
 ・E・・・感覚の大きさ
 ・I・・・刺激量
とすると

・E=k I a(aはものによって違う)
・「感覚の強度は原刺激のべき乗に比例する」

☆ウェーバーとフェヒナーは、感覚量が直接に測れないと考え、原刺激と比較刺激をつかって、感覚の量を間接的に測ったのに対し、スティーブンスのマグニチュード推定法は、感覚を直接に測ったもの

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感覚・知覚 002 感覚・知覚


■ 感覚・知覚 002 感覚・知覚 ■

■ 1.感覚と知覚
知覚(perception)
 ・感覚器官を通して、周囲や自分の身体などの状態を認知する機能
 ・例「今、固い石に触った」とわかる

感覚(sensation)
 ・知覚の基礎的な過程
 ・例「今、触った」とわかる

■ 2.感覚の種類=感覚モダリティ(様相)
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・皮膚感覚(イタイとか温かいとか)・運動感覚・平衡感覚・内臓感覚(吐き気とか)

→感覚は、受容器がある特定の刺激に反応することによって生じる。この刺激量と感覚量の関係を研究するのが「精神物理学」である。

▼ 1. 受容器(receptor)
特定の受容器が、特定の刺激に対して神経興奮を生じる。光なら目、音なら耳など。しかし、ろうの人が風船を使って、振動を通して触覚として音を処理することも一応可能。

▼ 2. 適刺激(adequate stimulus)←→不適刺激(inadequate stimulus)
各受容器がそれぞれ選択的に受容する刺激。
 ・視覚・・・光380m~780mの範囲の電磁波
 ・聴覚・・・音波20Hz~20kHzの範囲の空気圧の変化
 ・嗅覚・・・空気中の化学物質の分子

※不適刺激でも一応、知覚は起きる。
 ・目を殴ると星が飛ぶ・・・光がなくても視覚が生じる
 ・矛盾冷覚・・・冷刺激に反応する冷点は43度以上の温刺激にも反応し、冷覚を生じさせる(あついお湯に手をつけると、一瞬冷たく感じる)

▼ 3. 近刺激(proximal stimulus)
感覚の末端(例.網膜)に達して何らかの作用を引き起こす刺激
例.網膜に写った樹木の大きさ

▼ 4. 遠刺激(distal stimulus)
人から離れたところにある刺激
例.実際の樹木の大きさ

※近刺激の変化にもかかわらず、遠刺激の大きさを不変のものとして知覚する傾向を知覚の恒常性という。知覚の恒常現象は多くのモダリティで認められる。

■ 閾値
刺激を受容し、感覚を生じさせるには、刺激強度内の範囲でないとならない。

▼ 1. 刺激閾(=閾値)(stimulus threshold)または絶対閾(absolute threshold)
感覚を生じさせる最小の値
 ・例.聴覚検査はこれを調べるもので、聞こえていない間でも大人張っている
 ・例.目 380um(←これ)~780um
 ・例.耳 20Hz(←これ)~20kHz

▼ 2. 刺激頂(terminal threshold)
刺激の強度が強すぎて、これ以上強くしたら正常な感覚が生じなくなったり、感覚の大きさがこれ以上変化しなくなるような刺激の強さの限界(変化しても変化の違いがわからない)
 ・例.大きすぎる音を聞くと、音が割れて聞こえたり痛く感じたりする
 ・例.目380um~780um(←これ)
 ・例.耳20Hz~20kHz(←これ)

▼ 3. 弁別閾(difference threshold、 differential limen=DL) ΔIであらわす
感覚的に2つの違いがわかる最小の値
 1.100gと100g
 2.101gと100g ・・・違いがわからない
 3.105gと100g ・・・はじめて違うとわかる(ΔI=5)

2007/11/15

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感覚・知覚 001 もくじ

■ 感覚・知覚 001 もくじ ■

・感覚
・知覚
・錯覚
・大きさの恒常性
・ゲシュタルト
・奥行き知覚
・明るさの知覚
・運動の知覚
・明所視と暗所視
・感覚尺度
・感覚様相(モダリティ)
・両眼視差
・実際運動
・SOA(stimulus onset asynchrony)
・☆明順応と暗順応
・精神物理学的測定法
・☆カクテルパーティ効果
・☆両耳分離聴
・刺激閾
・刺激項
・弁別閾
・☆ウェーバーの法則
・☆フェヒナーの法則
・☆スティーブンスの法則
・プルキンエ現象
・☆群化の法則
・調節と輻輳
・仮現運動
・ヤング=ヘルムホルツの三原色説
・ヘリングの反対色説
・段階説
・フィルター説
・減衰説
・初期選択説
・感覚遮断
・選択的注意
・視覚の二重作用説
・誘導運動
・自動運動
・運動残効
・☆群化の要因
・☆知覚の恒常性

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